地域でネコと生きる

 気持ちよい風が吹き抜ける境内の昼下がり、墓地の近くでのんびりと寝転がる猫たち。参拝客が触っても、気持ちよくゴロゴロと喉を鳴らし、逃げる様子はない。

 

 ここは、猫好きがよく訪れる関東地方のある寺。境内に姿を見せる十数匹の猫が人慣れしているのは、ボランティアの人たちが愛情を込めて面倒を見ているからだ。

 

「地域猫」の活動には苦労も多い。この寺の猫を守るボランティアは4人。担当制で毎日、時間をやりくりしながら、エサを与え、糞尿を始末し、動物病院で避妊手術や病気の治療を受けさせている。


 ボランティアの一人、寺の近くに住む女性は、東日本大震災のとき、たまたまボランティアをサポートしたことをきっかけに、この寺の猫たちと関わることになった。女性も相性や持病の問題から寺で暮らすのが難しい猫を十匹以上、自宅で保護している。

 

 寺側も猫が集うことに、悩みを抱えている。

 

「保護したい気持ちはあるのですが、檀家さんの全員が猫好きというわけでもありません。寺に猫が多いという評判が立つと、猫好きの方が訪れるだけでなく、捨て猫が増えたり、猫が虐待されたりという弊害もある。全面的に保護活動に関わるのが難しい立場なんです」と広報担当は話す。

 

 

 

 

 その時々の課題をしのぎながら、それでも長年、続けられるのは、関わる人の誰もが「猫がかわいい」と思っているからだ。寺猫のなかに長寿の13歳や16歳の猫がいるのは、その愛情の表れだ。

 

 先の女性も「大変」と話す一方で、「やっぱりかわいい」と面倒を見ている猫を次々と紹介してくれた。人見知りが激しい猫も女性には甘えてくる。愛情をかければ、素直に返してくれる姿を知っているからこそ、彼らの将来が気になるのだ。

 

「誰かが面倒を見なければ、この子たちはどうなるのでしょう。のら猫の保護は、個人のボランティアに頼るだけでなく、地域全体の問題として考える必要があると思うんです」

 

 

 

 

sippo
sippo編集部が独自に取材した記事など、オリジナルの記事です。

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