想像以上に大きく成長した雑種犬「くま子」 プチ脱走事件を経て絆が深まった
個性豊かな雑種犬の魅力を紹介する連載企画。第19回は、シェパードっぽい雰囲気もある和犬系雑種の「くま子」。初めて犬と暮らす飼い主のもとでぐんぐん成長し、大きな犬ならではのトラブルを経験しつつも、飼い主とともに心も成長を続けています。
【基礎データ】シェパードっぽい和犬系の大型雑種犬
- DATA
- 《名前》くま子
《年齢/性別》4歳/メス
《役割》飼い主夫妻や近所の人、犬友達をつないでくれる存在
《サイズ》体高65cm・体⻑67cm・体重24kg
《チャームポイント》耳の下の柔らかいくせ毛と、いろいろな色の毛が混ざったふわふわのシッポ
《特性》
人慣れ度★★☆
犬好き度★★★
食いしん坊度★★★
運動量★★★
トレーニングしやすさ★★☆
ケアのしやすさ★★☆
黒くてふわふわのクマのような子犬
愛知県の山中で生まれた、「くま子」とそのきょうだい5匹。飼い主のクカダさん夫妻が当時住んでいた地元の動物保護団体が生まれて間もないところを発見して、6匹を保護しました。
一方、クカダさんの旦那さんは小さいころから犬と生活していたこともあって、また犬を迎えたいと思っていました。そんなときに、知人が保護犬の預かりボランティアをしていたことから、夫妻は保護されたくま子きょうだいを見に行くことに。
「初めて会ったときは生後2カ月ぐらいで、きょうだい3匹でいて。3匹の中で一番大きくて、ふわふわしていて、黒くて、目に入ったのがくま子でした。雑種ということで、成犬時にどれくらい大きくなるか不明だったことだけが心配でしたね」とクカダさんは当時を振り返ります。
トライアル期間として自宅に迎えた当初、困ったのは夜鳴き。くま子は一人で寝るのが寂しかったのか、夜中鳴き続けたため、旦那さんが布団を移動して一緒に寝てあげたそう。2週間ほどのトライアル期間を経て正式譲渡になった後も、クカダさんはくま子のしつけに苦労して、育犬ノイローゼ気味になるほどだったと言います。
「具体的に何がすごく大変だったというわけではないと思うのですが、犬と暮らすのが初めてだったので、しつけがうまくできなくて。力の抜きどころもわからず、ワタワタしてしまって、精神的にしんどいときがありました。当時はかわいいよりも大変がまさっていましたが、今写真を見返すと小さくてコロコロしていてかわいさが爆発していて、『あ〜、この頃に戻りたい』って思います(笑)」
その後、ぐんぐん成長を続けたくま子。心配だった成犬時の大きさは、体重24kgというほぼ大型犬サイズに。それでも、実際に日々成長を見守ってきたクカダさんは「大きくて抱き心地最高です!」と笑顔を見せます。
ハーネスが外れてプチ脱走事件に
クカダさんたちが最も手を焼いたのは、ワクチン接種も無事終わって散歩デビューした後の、散歩でした。最初はハーネスを着けるのにも苦戦したものの、外に出ると意外と最初から歩いてくれて、外が大好きになったくま子。うれしくてリードを引っ張ったり、他の犬と遊びたくて突進してしまったり、自転車に飛びかかりそうになったり……ぐんぐん体が大きくなっていっただけに、くま子のテンションの高さにクカダさんはてんやわんやでした。
そしてついに、トラブルを巻き起こしてしまいます。
「生後半年ぐらいのころ、私の仕事中に母が散歩に行ってくれたのですが、テンションが上がっていきなり飛び出したら、ハーネスが体から外れてしまったみたいで……。母が慌てて、大声で名前を呼びながら走り続けて、近所の方も外に出てきてくれて。母は途中でくま子を見失ってしまったものの、けっきょく自分で家まで戻ってきてくれて、約30分後に捕まえることができました。でも、車通りの多い道路の横断歩道も往復していたそうで、車の方々が止まってくれたからよかったものの、本当に危なかったと思います」
引きが強いため、もともと手から外れないようショルダータイプのリードを使用していましたが、これを機にハーネスに加えて首輪も着けて、ハーネスと首輪にダブルで着けられるリードを購入。その他にも、体が大きいこともあって、ドッグランでの他の犬との関係に悩むことがあったり、苦手な中年男性に吠えてしまったりすることもあったため、クカダさんはドッグトレーナーに相談することにしました。
「ドッグトレーナーさんって犬をトレーニングしてくれるとばかり思っていましたが、犬を世話する飼い主のトレーニングだとわかって、まず、自分の考えが浅はかだったと思いました。そしてだんだんと、散歩中に他の犬に吠えてしまうのには理由があることや、吠える前に飼い主がとるべき行動などがわかってきたんです」
散歩で引っ張らずに歩くトレーニング、他の犬と会ったときの対応、災害時などのためのクレートトレーニングなどをドッグトレーナーに学び、どうしたらいいかわからないという悩みは少しずつ解消されていきました。「ただ、くま子ではなく私たちの力不足で、うまくいかないことも多いですが……」とクカダさん。これからも、クカダさん夫妻とくま子の成長は続きいていきます。
手作りの洋服のモデル犬に!
くま子と一緒に近所の海や旅行に出かけたり、くま子のきょうだい犬の飼い主家族と仲良くなって一緒にドッグランへ行ったり、くま子と散歩中に知らない人と会話するようになったり。くま子を迎えたことで、夫妻の生活の変化もいろいろありました。そのうちの一つが、犬の服を手作りするようになったこと。
「くま子に服を着せようと思ったときに、雑種犬はサイズ感が難しい、売っている犬服には好みのものが見つからない、そもそも大きなサイズのものが少ないといった悩みがありました。そこで、服飾の専門学校に通っていた夫が『ないなら自分で作る』と言い出して。好みのシンプルな柄や古着をリメイクして、工業用ミシンで作り始めたんです」
手作り服のことをインスタグラムに投稿すると、それを見た人から欲しいという声が上がり、インスタグラムを通してオーダーを受けていたこともありました。現在はライフスタイルが変わって受注を停止していますが、できるタイミングがあれば再開したいとのことです。
そして4カ月前、なんとくま子に人間の妹ができました。「これからのくま子と娘さんとの関わりも楽しみ」とクカダさんは話します。
「今はまだ娘との絡みはありませんが、仲良くなってくれたらうれしいです。でもくま子は怖がりなので、実際娘が歩くようになってくま子に近づいていったら、逃げそうな気がしますけどね(笑)」
(次回は7月26日公開予定です)
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