赤い蝶(ちょう)ネクタイの母犬「ぐら」と、青い蝶ネクタイの息子「ぐり」(GGママ子さん提供)
赤い蝶(ちょう)ネクタイの母犬「ぐら」と、青い蝶ネクタイの息子「ぐり」(GGママ子さん提供)

日本各地を訪れたトラベラー犬! 与論島生まれの母犬とその息子、「ぐり」と「ぐら」

目次
  1. 【基礎データ】白に薄茶色が混ざった長毛の小〜中型雑種犬
  2. 与論島で保護され、東京で出産
  3. 飛行機も新幹線もSUPも何でも乗れる
  4. シニアの今は飲食店大好き

 個性豊かな雑種犬の魅力を紹介する連載企画。第26回は、鹿児島県の与論島で生まれた母犬「ぐら」と、その息子「ぐり」。12年前に東京で暮らす飼い主さんに母子一緒に譲渡が決まり、以来、北海道から沖縄まで日本全国お出かけを楽しんできました。シニアになった最近は、飲食店巡りがブームとなっています。

(末尾に写真特集があります)

DATA
《名前》ぐら、ぐり
《年齢/性別》推定15〜17歳/メス(ぐら)、12歳/オス(ぐり)
《役割》日本全国どこへでもお供するお出かけ犬!
《サイズ》体高32cm・体⻑34cm・体重4kg(ぐら)、体高40cm・体⻑42cm・体重8kg(ぐり)
《チャームポイント》薄い茶色の混ざった白いフワフワの被毛
《特性》
人慣れ度★★☆
犬好き度★☆☆
食いしん坊度★★☆
運動量★★☆
トレーニングしやすさ★★★
ケアのしやすさ★★☆

 海や温泉、観光地、カフェ、イルミネーションなどなど、「ぐり」と「ぐら」のインスタグラムは楽しそうなお出かけの写真でいっぱい。かわいい服を着ていたり、カートに乗っていたり、記念写真でポーズを決めていたり——。

飲食店も大好き!な2匹(GGママ子さん提供)

「雑種犬や保護犬に対して『かわいそう』っていうイメージを持ってもらいたくなくて。雑種犬はすごくかわいいのに、犬を選ぶときに『保護犬を助けたい』っていう人以外には、選択肢にも入れてもらえないことが多いですよね。だから私は、『倍返しで楽しい犬生にしちゃおうぜ』って明るい気持ちで雑種犬を迎える人が増えてほしいなと思っています」と、飼い主のGGママ子さんは話します。

保護主さん宅で出産したぐらと、生後1カ月の子犬たち(GGママ子さん提供)

 もともとぐらは、鹿児島県の奄美群島の一つである、与論島の保健所にいた犬。収容された経緯ははっきりしませんが、個人宅の多頭飼育崩壊で持ち込まれた可能性があるとのこと。東京で保護活動をしていた保護主さんによって引き出され、飛行機で東京へやってきた後、保護主さん宅で3匹の子犬を出産しました。

GGママ子さん夫妻が初めて会いに行ったとき。ぐりは生後2カ月(GGママ子さん提供)

 ちょうどそのころ、先代犬を亡くしたばかりだったGGママ子さんは、保護犬の預かりさんのブログで、与論島で保護されて東京・神奈川に来た保護犬たちの記事を目にします。その後、3〜5歳の犬が3匹の子犬を産んだ話を聞いてすぐに「みんな子犬に目がいって、この母犬が残ってしまうだろうな」と考え、まだ飼い主募集前の段階で、母犬と子犬1匹の引き取り希望の連絡をしたそう。

 そうしてやってきたのが、息子のぐりと母犬のぐらです。

迎えた初日(GGママ子さん提供)

 GGママ子さん宅にやってきたとき、ぐらは推定3〜5歳、ぐりは生後3カ月。2匹とも存在を感じられないほどにおとなしく、そしてとても仲良しでした。そんな2匹を見て、一緒に暮らし始めてすぐに、「この子達ならどこへでも連れて行ける。それなら、いろんなところへ連れていってあげたい」とGGママ子さんは思いました。

お出かけデビューもへっちゃらだった(GGママ子さん提供)

 初めてのお出かけは、迎えて10日目に車に乗せて訪れた木更津のアウトレットモール。カートに乗せてモール内を回っても、何の問題もなかったそう。そこから少しずつ自信をつけて、日帰りも泊まりもキャンプも、いろいろな場所へ一緒にお出かけするようになりました。

ぐらの生まれ故郷、与論島はとにかく海が美しい(GGママ子さん提供)

 中でもいちばん印象的なのは、年1回の与論島への里帰り旅行。鹿児島か沖縄本島で飛行機を乗り継いで与論島に渡り、現地で4〜5泊ほど滞在するのを、コロナ禍前まで5〜6年続けていました。

乗り物に乗ってじっとしているのは2匹の得意技。おかげでSUPもお手のもの(GGママ子さん提供)

「与論島は海がすごくきれいで。最初は観光したりもしていましたが、その後はほとんど海で遊んだり、SUPしたり。こう見えて、ぐらは泳ぎが上手なんです! 体重はぐりの半分ぐらいだし、走るのはぐりのほうが全然速いんですが……。一度、泳ぐ姿を水中から撮影してみたら、ぐりは前脚だけでバタバタしていたのに対して、ぐらは4本の脚を上手に使って進んでいました」

 他にも、飛行機やフェリーで4回ほど北海道へ旅行に行ったり、東北への出張へ新幹線で一緒に行ったりと、いろいろな乗り物に乗って全国各地を旅してきたそう。お出かけの写真の一部は、インスタグラムでも共有されています。

 これまでアクティブにお出かけを楽しんできた2匹ですが、今やぐらは推定15〜17歳、ぐりは12歳とすでに立派なシニア。衰えを感じることも増えてきたと言います。

 飼い主のGGママ子さんは、ぐりとぐら以前にも2匹の雑種犬と暮らしてきています。どちらも譲り受けた時点ですでにシニアで、迎えてからわずか2年で看取ることになり、悲しい思いをしてきた経緯があります。

寄り添って眠る。2匹は大の仲良し(GGママ子さん提供)

「そういう意味で、とくにぐらに関しては、年を取ったなと思う反面、『ここまでよく育てられたな』という気持ちもあります。持病で腎臓が悪いので、それがどんどん悪化して弱っていくのかなと思っていたんですが、ここ最近は老化のほうが追いついてきそうな感じで。よくここまで持ちこたえてきたと思います」

 コロナ禍による移動制限が落ち着いた今も、年齢や健康状態を考えると、「もうぐらを飛行機に乗せることはない」とGGママ子さん。与論島への旅はもうできないし、泊まりの旅行に出かける機会も減りましたが、その分、最近は日帰りで出かけることが多くなりました。

犬も同伴できる飲食店にて(GGママ子さん提供)

「ぐりもぐらも『外食』が好き(笑)。飲食店に行くのが楽しいみたいなんです。1回行った店は必ず覚えているし、特にぐりは犬連れで入れるお店を見つけるのが得意で、引っ張っていって止まった店がたまたま犬連れOKだったということが何回もありました(笑)」

 GGママ子さん夫妻とともに楽しい犬生を駆け抜けてきた、ぐりとぐら。いろいろなことを飼い主さんと一緒にできる2匹だからこそ、シニアになってもまだまだ新たに楽しめることがありそうです。

(次回は2月28日公開予定です)

【前の回】犬がこわかった飼い主をメロメロにさせた雑種犬「タッチー」 拾い食い克服への道

山賀沙耶
フリーランス編集ライター。北海道大学文学部卒業後、編集プロダクション、出版社勤務を経て、独立。現在は雑誌や書籍、ウェブメディアを中心に、犬やアウトドアなど幅広い分野で活動中。犬メディアとのかかわりは、約20年前の編集プロダクション時代から。プライベートでは、2頭の雑種犬と外遊びを楽しむのが至福の時。

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この連載について
雑種犬図鑑
見た目も性格も個性豊かな雑種犬の魅力を、犬種図鑑のパロディで紹介。毎回1匹の雑種犬にフォーカスし、チャームポイントから生い立ち、暮らしのエピソードまで情報や魅力をふんだんに伝えていきます。
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