老犬もお世話をする側も癒やしが大事 介護で必要なのは「人に頼る」こと
保護犬の預かりボランティアをする、インテリアデザイナーの小林マナです。犬や猫と暮らしやすい住空間をつくり、いまは保護猫1匹と、預かり犬1匹と生活をともにしています。第41回は「犬の介護で必要なこととは?」をお伝えしていきます。
犬にも鍼灸!?
預かりボランティア中の老犬「ニハチ」が歩けなくなってからは、週に1回動物病院の診療に行くようになりました。検診というよりは、鍼灸(しんきゅう)の治療をしてもらうためです。
以前、病院に行った時に鍼灸をしているのは知っていましたが、ニハチが受けるようになるとは思いもしませんでした。というのも、ニハチが鍼灸を受けている間、静かにできるのかがわからなかったからです。
治療を受けている犬たちは大抵が寝たきりで、だいぶ動けない子たちのように見えました。ニハチは老犬で下半身が動かなくなっていても意思がしっかりしていて、嫌なことは嫌だとはっきり意思表示をして、何か気にさわることがあると頭をブルブルブルっと高速で回転するのです。
歩けなくなる前から、ちょっとでも気に入らないことがあると、自分が倒れそうになりながらも頭を高速にブルブルブルとしていました。よろけるほどの高速ブルブルはいつも笑いを誘っていました。
そんなニハチなので、じっとしていられるのかとても心配だったのです。
ニハチだけでなく自分も癒やす
ところが実際にやってみると、案外おとなしく鍼灸を受けているのです。
まあ、時にはブルブルっとしてしまい針をぶっ飛ばしていましたが、大抵は気持ち良さそうに受けることができました。
それを見ながら「私の方がやってもらいたいなあ」と笑いながら先生とお話ししていました。
以前からニハチは脚のマッサージをしてもらっていて、それは大好きで抱っこされてマッサージをされるとうっとり夢見心地になっていたのですが、鍼灸も結構気持ち良さそうに受けることができました。
歩けなくなっても立たせるトレーニングは続けていて、壁を頼りに立って、ご飯を食べさせるということもしていました。
ちゃんと見ていないと危ないのですが、バランスよく立たせると不思議とそのままの姿勢で食べてくれたのです。
老犬が毎日気持ち良く過ごすためには、お世話をする私自身も気持ちよく過ごすということが大事です。
ニハチのお世話や自分の仕事もしながらも、私はプールへ行ったり、ジムに行ったり、近場の温泉に行ったり、ニハチに負けないくらい自分を癒やすことをしていました。
それからニハチの診察の時間は何もしないで先生とお話しする時間になっていて、ニハチや他の患者さんの犬猫たちを見ながら癒やされていました。
介護で必要なこと
長く続く介護で一番大事なのは、人に頼るということではないかと思います。
時には病院に預けて海外にも行っていました。短期の出張の際は、スタッフにニハチを見てもらうこともありました。そうやって頼れる誰かがいることはとても必要だと思います。
そして、自分自身が健康で余裕のある状態で望むことだなぁと思います。
賛否はあると思いますが、昼間はほとんどそばにいることができる環境にし、仕事が終わるとニハチを1階に置いて、私は2階に上がり自分の睡眠を優先していました。
そうしてたくさん働ける体力を温存して、昼間は仕事に介護にと精いっぱいやり、夜はぐっすり眠る方法が私にはベストでした。
あくまで自分の出費で預かりボランティアをしているので、仕事もちゃんとしないと犬を支えることはできないですよね。
自分の年齢もありますが、楽しい犬ライフは介護になると楽しいだけではなくしんどいことも多くなってきてしまいます。ですので、自分の気持ちを1番優先する方法を模索してあげることが必要だと感じています。
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