寝たきりの老犬が歩行器で体力維持 歩くだけじゃない便利な使い方があった

歩行器で立つトレーニング

 保護犬の預かりボランティアをする、インテリアデザイナーの小林マナです。犬や猫と暮らしやすい住空間をつくり、いまは保護猫1匹と、預かり犬1匹と生活をともにしています。第40回は「歩行器の新たな使い方を発見」をお伝えしていきます。

(末尾に写真特集があります)

寝たきりの老犬が歩行器で体力維持?

 預かりボランティアをしている保護犬のニハチは高齢のため、ある日、突然立ち上がることができなくなりました。以前、預かっていた黒柴のおばあちゃん「チョコ」も寝たきりになったのですが、その時にやっていたことがあります。それは、脚の筋肉を弱らせないように、立たせるようなポーズをとることです。

 筋肉が衰えてくるとそのほかの部分も悪くなってくると言う獣医師の指導のもと、ハーネスを前と後ろに付けて、歩かせるようにしていました。

 そんな経験があったので、二ハチが自力で立ち上がれなくなってからも、数時間に1回はハーネスを付けて、わずかに動く脚のトレーニングをしていました。ところが私には、7キロのニハチが重すぎたので、ある日から歩行器を使うことにしたのです。 

 犬の歩行器は歩く補助だけでなく、筋力維持にも使えるのではと気づき、購入は遅くなってしまったのですが、結果、便利に使えるようになりました。

ニハチ(左)とイチゴ

食事に歩行器って?

 寝たきりになった老犬にごはんを食べさせるのは、一苦労です。というのも、頭を起こしてあげて食べさせるのですが、そのとき私自身はちょっと変な姿勢になってしまうので、ごはんをあげた後、私の体はバキバキと音が鳴るほど。これは長くは続かないなと思っていました。

 そんなとき歩行器に乗せて食べさせてみたら、こちらがほとんど手をかけずともニハチは自分で食べてくれたのです。

 どんどん歳を重ねて食べにくそうになっても、ニハチは歩行器に乗り自分で食べられる方が今までのようにできるし、何より食べやすそうでした。

 床に水やフードが飛び散っても構わないというこちらの条件はありますが、老犬にとっては寝ている姿勢ではなくなるので、誤嚥の心配もありませんでした。

 そんな食事タイムと給水タイムは、老犬の床ずれ予防にも一役買ってくれて、①右側を下にして寝かせる、②左側を下にして寝かせるの2択だったところに、③起きている姿勢の選択肢も増えました。

いろんな体勢で寝かせていた

 そこで私は、ニハチを朝、昼、夕、晩の計4回、毎回30分くらい立たせることにしていました。

 ずっと食欲旺盛でよく食べていましたが、老化にともないどうしても体重は少しずつ減ってしまい、骨がゴツゴツと出ていましたが、人間用のベッドパッドをベッドとして使用していたこともあってか、ニハチはずっと床ずれ知らずで過ごせました。

歩行器の意外な使い方

 歩行器を使ってごはんを食べさせることや水を飲ませること、脚を踏ん張り立たせて体力維持することも、ニハチにとってはとても具合が良さそうで、負担もかけない方法だったと思います。そしてお世話する側の私も楽ちんでした。

 介護期間がとても長いニハチに歩行器を買ってあげたことは、本人(犬)だけでなく、私にとってもとてもいい買い物になりました。寝たきりになってから1年半も使ってくれたのですから、なくてはならない存在でした。

 もともと歩行器は歩かせるためにあるのかもしれませんが、我が家ではニハチのごはんやお水のときの補助、また体力維持も歩行器が担っていました。このことを知っていたらもっと早く買っていたと思います。迷われているかたは、ぜひ良き歩行器を入手してくださいね!

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      自力で立ち上がれなくても「歩きたい」

      【前の回】老犬の食欲がなくなってきた… いつものドライフードで対処する方法を発見

      小林マナ
      設計事務所イマ/インテリアデザイナー。内装設計やインテリアデザインをメインに活動。東日本大震災をきっかけに保護犬や老犬の預かりボランティアを始める。2019年に<SLOW>のイベントを開催。猫2匹、預かり中の保護犬2匹と暮らす。犬や猫たちのために自宅と事務所を併設、家族と事務所のスタッフたちと保護犬の預かりボランティアをしている。インスタグラム @imanimaltokyo

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      この連載について
      預かりマナの老犬日記
      保護犬の預かりボランティアをしているインテリアデザイナーの小林マナさんが、預かり犬の魅力や老犬との快適な暮らし方をお伝えします。
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