国内食鳥処理場が鶏を生きたまま茹で殺した数61万羽に増加 今すぐ防ぐための努力を
日本の食鳥処理場(家禽の屠殺場)の精度が劣化し続けている。2022年に首を斬ることに失敗して熱湯処理に進み、意識のあるまま62度の熱湯につけられ、皮膚が熱傷で真っ赤になって死亡した鶏の数は……61万6,864羽と、過去最悪の犠牲数となった。この数字、6年連続で悪化し続けている。
茹で殺されるという苦しみ
生きたまま茹で殺すという極度に残虐な行為は、鶏やアヒルたちを意識のある状態でその脚をシャックルに引っ掛けて逆さ吊りにし、さらには意識あるまま首を斬ろうとすることにより、もがいて暴れる鳥たちの首を斬るのに失敗し、起きる。
全身やけどで真っ赤に変色した皮膚は痛々しく、その苦しみは想像を絶する。だが、これが今の日本の食料システムのあり方であり、目を背けてはいけないと思う。
2022年度、61万6,864羽の鶏たちは、周りの鶏がバタバタしながらも失血死していくのを横目に、逆さ吊りの苦しみと、中途半端に切られた首の傷の痛みに耐え、次にやってくる62度の熱湯の中に逆さ吊りのまま入れられた。熱湯の中で、全身に火傷を負い、息もできず、熱湯が口や目に入り、いわば、拷問によって虐殺される。アニマルライツセンターに内部告発された映像では、熱湯に入れられていく最後まで脚を動かそうともがいていた姿がうつしだされていた。また、米国の事例だが、以前にタイソン・フーズで働いていた人の証言では、鶏が熱湯タンクの壁を蹴る音が聞こえたという。
最終的に、その鶏たちの死体は食用には回すことはできず、全廃棄される。
世界は改善し日本は悪化
動物愛護法にも違反する状態であるし、また国際基準であるWOAH(世界動物保健機関)の規約にも違反している。WOAHの規約はたいてい緩めの規定なのだが、この部分は以下のように最大限強い表現で禁止している。
「意識がある又は生きた鳥が、熱湯処理タンクに入ることがないよう、あらゆる努力がなされること。」
重要なことは、この事故は容易に防ぐことのできる事故であるということ。実際に欧州ではこのような事故が起きれば違法であり英国では罰金刑に処せられたこともある。そのためその数は基本的にゼロだ。また、米国は日本の10倍以上の数の鶏を屠殺するが、この事故の数は30,137羽だ。米国では改善を続け、ここまで数字を落としてきた。
日本も今すぐ、防ぐための努力を
方法は、失敗しないようにガスで意識を失わせてから屠殺の工程に入ることで防ぐことが最も確実である。しかし、ガスでの意識喪失の機械を導入していなかったとしても、確実に首を切っているかどうかを監視する人員を、WOAHの規定通り配置していれば、ある程度防ぐことができる。
“国産”の鶏肉を扱う企業はこの極度の暴力を容認しているということだ。鶏肉を調達する食品企業は、今すぐに、この極度の動物虐待から離れることが、その責任のとり方である。
また、動物愛護を管轄する環境省は、この極度の動物虐待を今すぐ是正する策をとる責任がある。厚生労働省や食鳥処理場に対して、改善を促さなくてはならない。
そして、このあまりにひどい状況を許容し続けている厚生労働省は、今すぐ勧告を出すべきだ。そして食鳥処理場がガススタニングに移行するための手助けをする責任があるだろう。
(次回は4月8日公開予定です)
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