ネコは空気を読める? 飼い主の反応を見て行動を変えるか実験
ネコはどのくらいヒトの行動に影響を受けていると考えますか? 以前、ネコはヒトの表情や感情を読み取れるという論文を紹介しました。ヒトは周りにいるヒトの表情や感情によって行動を変えたり、影響を受けることがあります。
では、ヒトが楽しいときや怖がっているとき、ネコはヒトの感情を読み取って自身の行動を変化させたりするのでしょうか? そこで今回は、ネコが飼い主の反応によって行動を変えるかどうか調査した論文“Social referencing and cat–human communication”を紹介します。
はじめて見るモノにどんな反応をするのか!?
ネコは、飼い主の表情や行動を読み取ることができるといわれています。他人の行動を見て自分の行動を変えるのは、「社会的参照」と呼ばれています。ヒトやイヌには、「社会的参照」があり、相手の行動によって自身の行動を変化させることがあります。いわゆる“空気を読む”ことができるのです。しかしネコにおいては、この「社会的参照」があるのかはわかっていませんでした。
そこで、イタリア・ミラノ大学の研究チームが調査をおこないました。参加したのは36組のネコと飼い主で、大学の研究室でおこなわれました。ちなみに、月に2回程度はキャリーバッグで旅行しているという、外出に慣れたネコたちでした。
ネコが出会ったことのないと考えられる、緑色のリボンがついた扇風機について、どのような反応をするのか観察しました。次に、飼い主がその扇風機に対してポジティブなリアクションをするグループと、ネガティブなリアクションをするグループにわけ、ネコの行動を記録しました。
ポジティブなリアクションでは、楽しげな声で扇風機とネコを交互に見つめたり、扇風機を触ったりします。ネガティブなリアクションは、恐怖に満ちた声でネコと扇風機を交互に見つめたり、扇風機から離れたりします。なお、実験が終わった後には扇風機の前でおやつをあげ、今後ネコが扇風機に対して過敏にならないように配慮したとのことでした。
ネコは飼い主の反応を見て行動を変える
参加した36組のうち、飼い主が手順を誤るなどしてデータがとれたのは24組でした。その24組の結果は、初めて見る変わった扇風機と接した際、ネコの79%(24匹のうち19匹)が、少なくとも1回以上多くは8回も飼い主と扇風機を交互に見るという行動を示しました。これは、不安や戸惑いを感じたヒトの子どもや犬と飼い主にも見られる、「交互注視」と呼ばれるものです。
また、飼い主のポジティブなリアクションとネガティブなリアクションを比べると、ネガティブなリアクションのほうが、飼い主と扇風機を交互に見る回数が多くなりました。これはイヌとは異なる結果で、ネコは不安になると逃げ出したくなる習性があるためだと研究者は述べています。ネコは不安になり、出口のほうを見つめる回数も増えていました。つまり、強い不安を感じたと考えられるのです。
ネコは自分の行動を飼い主の感情に影響され、自身の行動を変えている可能性があると考えられます。もし家に新しいモノがやってきた際には、ネコを怖がらせないように、ポジティブな声かけ(それが掃除機などヒトにとって怖くないモノであっても……)をすると良いかもしれません。
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