老犬とお泊まりに行ったら脱走 まさか、どこにもいない!?

いつもの舌だしをしているニハチ

 保護犬の預かりボランティアをする、インテリアデザイナーの小林マナです。犬や猫と暮らし
やすい住空間をつくり、いまは保護猫1匹と、預かり犬1匹と生活をともにしています。第33回は「老犬ニハチの大脱走」をお伝えしていきます。

(末尾に写真特集があります)

ニハチと泊まりがけで友人宅へ

 その日はとてもよく晴れていて、遠出するにはぴったりのお天気でした。いつもなら外泊するときは、ニハチを友人か動物病院に預けることがほとんどだったのですが、その時はちょうど新車も来たばかりだったので、ニハチも連れて友人宅へ行くことになりました。

 広大な土地でハーブや果物を育てながら、醸造所を営んでいる友人の家があるのは、小さな山に囲まれた谷間。役場や図書館、野球場、グラウンドなどに囲まれており、民家が近くにないような立地にあり、道路に出るまで歩いても10分ほどかかるような場所です。

 その敷地にある建物に住んでいる友人の2階のリビングダイニングには、いつも誰かしらがいるだろうと、ニハチはノンリードにしてリビングにいてもらい、私たちは敷地の散策に行ったのでした。

ニハチはどこ!?

 友人家族は、町が運営していたハーブ園を譲り受け、庭の手入れをしながら育てた植物や果物で蒸留酒を作っていました。そんなすてきな敷地を案内してもらい、お昼ご飯を食べにリビングに戻ったところ……いるはずのニハチがいない! え? ニハチはどこ!? 誰に聞いても首を横に振るばかり……。

 2階のリビングから出るには、階段を下りなければなりません。しかしどうやらニハチは、私を探してその階段を下りてしまったようなのです。まさかニハチが階段を下りられるとは思っていなかったので、ノーリードにしたことを後悔しました。

 そして猫用に開けてあった玄関の隙間から、出て行ってしまったようです。目が見えないニハチがその隙間から出られるなんて、想像もできませんでした。ニハチが敷地から出ていくなんてありっこない、ひとまずお昼を食べてから、みんなで探しに行くことにしました。

帰っておいで〜!!!

まさか、どこにもいない…

 友人や子どもたち、クロアチアから蒸留所を見学がてらボランティアで働くために来ていたカップル、私たち夫婦で探すことになりました。

 手分けして山を見に行ったり、ハーブ園の側溝をのぞいたり、敷地をくまなく探し回りました。みんなで「ハッチャーン!!!」「ハッチャーン!!!」「ハッチャーン!!!」と大きな声で呼んで探したのですが、うんともすんともニハチの声は聞こえず、何も手がかりはありません。

このクネクネ道を降りたのか!?

 ですが、ニハチは老犬です。敷地から道路に出るまでは10分はかかるし、道まで出たとは考えられません。敷地内のどこかにひっかかって、身動きがとれないでいるのでは? という気持ちが拭えなかったのです。

  日が暮れてくると、このあたりは漆黒の闇です。懐中電灯で照らしながら探してもらちが明かないので、その日の捜索は諦めたのです。

あの時は寝てたのに

(次回に続く/8月12日公開予定)

【前の回】犬種や年齢は関係ない 預かりボランティア体験から見えた犬の魅力とは?

小林マナ
設計事務所イマ/インテリアデザイナー。内装設計やインテリアデザインをメインに活動。東日本大震災をきっかけに保護犬や老犬の預かりボランティアを始める。2019年に<SLOW>のイベントを開催。猫2匹、預かり中の保護犬2匹と暮らす。犬や猫たちのために自宅と事務所を併設、家族と事務所のスタッフたちと保護犬の預かりボランティアをしている。インスタグラム @imanimaltokyo

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この連載について
預かりマナの老犬日記
保護犬の預かりボランティアをしているインテリアデザイナーの小林マナさんが、預かり犬の魅力や老犬との快適な暮らし方をお伝えします。
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