狭い隠れ家がネコに与える影響とは? 好む理由とストレス軽減が明らかに
ふと気がつくと、通販で届いた段ボール箱や買い物で使った大きめの紙袋に愛猫が入っていることがあります。なぜそんな狭いところに!?と不思議に思うものの、ネコ自身はとっても快適そう。
ネコが狭い隠れ家を好む理由はいくつか考えられますが、隠れ家があることによってネコ自身にはどのような影響があるのかはわかっていませんでした。今回はそんなネコの隠れ家について調査した論文“Will a hiding box provide stress reduction for shelter cats?”を紹介します。
段ボール箱が隠れ家に
ネコが狭い場所を好む理由のひとつに、野生の名残として外敵から身を守るための安全な場所だからという説があります。飼いネコにとっては、飼い主さんと暮らす家は安全な場所だと感じているでしょう。しかし、狭い場所がネコにとって本当に安心できる場所かどうかはわかっていませんでした。そこで、オランダ・ユトレヒト大学の研究チームは、隠れ家があることによってネコ自身にはどのような影響があるのかを調査しました。
オランダの保護施設で保護されたネコは、検疫のために金属製のケージに2週間収容されます。しかし、初めての場所で狭いケージにいることは、ネコにとって大きなストレスとなるのではないかと考えられていました。そこで、隠れるための段ボール箱を用意することでストレスを減らすことができるのではないかという仮説をもとに、研究チームは保護施設にて隠れ家を使った調査をおこないました。
実験に参加したのは、保護されたヨーロピアン・ショートヘアの19匹のネコたちです。10匹を箱あり、9匹を箱なしのケージにいれて、ネコの行動を記録しました。収容してから24時間経ってから連続6日間、そして14日目の行動を記録しました。
隠れることのできる箱は段ボール製で、2つの出入り口がありました。ネコのストレス値を測定するため、ネコの体勢や行動をチェックし数値化するストレススコア(Cat-Stress-Score: CSS)を使用しました。これは、数値が低いほどストレスが少ないという評価になります。
隠れる場所があるとストレス行動が減る
結果は、箱があるケージのネコは3日目と4日目で箱がないケージのネコに比べ、ストレススコア(CSS)が下がりました。箱がないケージのネコが、箱ありのネコと同じくらいまでストレススコア(CSS)が下がるには、5日間が必要でした。
また、箱があるケージのネコは、観察時間の55%を箱の中で過ごし、箱がないケージのネコは45%の時間をトイレで過ごしていました。これは隠れられる箱の代わりに、トイレの後ろに隠れていたと考えられます。
保護施設など新しい環境で飼育しなければならない場合は、特にネコが隠れることのできる場所を用意してあげることが重要というわけです。もちろん、家庭で飼っているネコにとっても、隠れることのできる場所があるとよいでしょう。
とはいえ、意気込んで飼ってきたネコ用隠れ家に全く入ってくれない時もありますよね。なぜ、荷物で届いた段ボールには入るのに、ちょっとお高いハウスには入ってくれないのか。その謎はいまだわかっていません……。
今回ご紹介した論文
Will a hiding box provide stress reduction for shelter cats?
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