ガクンと音をたてるかのような急激な変化… 17歳目前の老犬「ココ」と向き合う

7年前の夏。まだ目が見えていた「ココ」(手前)と「ハンター」と

 8月で17歳の誕生日を迎える「ココ」。皮膚が弱いことと目が見えなくなってしまったこと以外は、食欲も旺盛だし、意志表示もキチンとできるし、バルコニーに出て行った帰りも、玄関まで歩いて行った後も、ちゃんと自分のベッドに戻ってこられるのです。つまり、家の中の様子は全て把握できているということ。そんなココの様子を見ては、「元気だなぁ」「立派だなぁ」と思っていた私。

 だから17歳の誕生日もココは鮮やかに通り抜け、気が付けば18歳になっているのではないかと信じていました。

ココの急激な変化

 そんなココがこの1週間ほど、ガクンと音をたてるかのように老け込んでしまいました。トイレのためにしゃがみこむと、時折よろけてしまったり、尻もちをついたりしてしまうことが。さらに、完食まで時間はかかるものの、朝晩のご飯を残さず食べていたココが半分以上、残すようになってしまったのです。

 実はそれよりさらに1週間ほど前は、食べたご飯をほぼ丸々吐いてしまうことが2度、続いたため、慌てて「動物医療センター赤坂」に連れて行きました。

 血液検査やエコーをしていただき、結果からいうと、大きな心配は必要なかったのですが、間もなく17歳と高齢であることと、私が入院治療を拒否していることをよくご存知の西田純平院長先生が、「ひとまず、ご飯をハンターちゃんと同じ『消化器サポート』に替えてみましょう」とアドバイスをくださいました。

入院はさせたくない

 なぜ入院治療を拒んでいるのか。それは、悪性リンパ腫のため1年4か月も闘病しながら旅立った長女「ピン」に、何度も長期入院させ、寂しい思いをさせてしまったことを今も後悔しているからです。

 最期の晩もピンは動物病院に入院していました。発作を起こしたものの、最期、静かに息をひきとるまでの20分間、ココと夫と共に一緒にいられたものの、いま、これを書いているだけでも涙があふれ、「ピンちゃん、ごめんね」と心の中で何度も詫びる私がいます。

 以来、動物病院が大嫌いになってしまった私。初めての犬であるピンに対し、私は明らかに勉強不足でしたけれど、私はずっとピンは治ると信じていたのです。ピンがどういう状況であるかの説明をちゃんと受けた記憶がないまま、最期、ピンの面会に行ったとき、初めて「ステージⅤです」と獣医さんから言われてビックリ仰天。程なくして「ピンちゃんが発作を起こしました」と看護師さんが飛んできて……。いや本当に「そんなの聞いてないよ」という思いでした。

 私は1年4か月の間、獣医さんに言われるままに、ピンを何度も長期入院をさせていたのです。ピンは、あんなに家が大好きだったのに……。

ココと向き合う

 もう、あんな思いはしたくないし、させたくない……と思いつつ、なかなか、いい動物病院に出会えないまま、瞳が白くなりつつあったココの白内障が進行してしまい、結果、失明させてしまいました。ダメな飼い主です。

 いま、ココと共に保護犬の「ハンター」や「マル」に愛情を注いでいるのは、“罪ほろぼし”とも言えます。そしてココには、まだまだ長生きしてほしい……。心からそう思い、恒例のバルコニーでのピンとのやりとりでは、「ピンちゃん、ココのこと、まだ連れていかないで」「ココに、もう少し、がんばるように、お空から伝えて」と空に向かって言っています。

 私の腕の中でその話を聞いているココは、以前は「ピン」という私の声と同時に首をクイッと空に向けてピンと話しているようでした。最近は、その首の角度が小さいです。それでも「ピン」には反応するココ。そんなココが愛しくてたまりません。

一日の大半の時間、寝ているココ

 そういえばココがご飯を残すようになったのは「消化器サポート」に替えてからのように思います。以前、西田院長から「あんまり美味しくないかもしれません」と言われた記憶がありますが、ハンターは問題なくペロリと食べていたので忘れていました。いまは少量ですが、美味しいトッピングを入れてあげています。

 実はココ、食べている途中に、お皿の周りを徘徊(はいかい)するようにもなってしまったのです。残りのご飯をめがけてマルが突進してきてしまうので慌てて取り上げ、それからココには何回かに分けて、ご飯をあげています。

 心配でたまらず、自宅にいるときは、ストーカーのようにココの後を付いて回り、「ココ、大丈夫?」「つらくない?」などと声をかけ続けています。

毎日を大切に

 最近、FacebookやTwitterをみていると、「もうすぐ17歳だったのに」とか「17歳になったばかりで」という文言と共に愛犬が虹の橋を渡って行ったとの投稿をよく見かけます。“お友達”なので、辛い気持ちがストレートに伝わってくるのと同時に、“17歳”というのは覚悟をしなければならない年齢なのかもしれないとも思っています。

 そしてもう二度と愛犬との別れ方を失敗したくありません。この先それほど長くはないであろうココとの毎日を大切にしたいと思います。

(次回は7月11日公開予定です)

【前の回】動物保護活動への思いも新たに パナソニック保護犬猫譲渡会2023に行ってきました

山田美保子
1957年生まれ。青山学院大学卒業後、ラジオレポーターを経て、放送作家、コラムニストなどを務める。『踊る!さんま御殿!!』の構成や、『サンデージャポン』『ドデスカ!+』などのコメンテーターを務める。ほかに雑誌、新聞、WEBに連載多数。

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この連載について
山田美保子の育犬日記
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