家具がボロボロ、伸びたツメが肉球にグサリ ツメとぎしていても猫のツメ切りは必要?
猫と幸せに暮らすヒントや困りごとの解決法を、獣医師で米国獣医行動学専門医の入交眞巳先生が教えてくれます。今回は、「猫のツメとぎ・ツメ切り」について、入交先生が答えます。
子猫のときからツメ切りにチャレンジを
我が家の3歳の猫、もうすぐ夏だからなのか、それともWHOがパンデミックの終了宣言をしたからなのか、最近、以前に増してやりたい放題です。
3歳になったら落ちつくかな、と思っていたのですが、やんちゃな性格は大人になってもやんちゃなままのようで、先ほどはこの原稿に「aaaa99999999999999…」とメッセージを書いていました。「遊べ」の意味がありそうです。
さて、今回はツメとぎのご質問をいただきました。
Q.ずっと愛猫のツメを切ることなく、それでも問題なかったのですが、14歳になった今年、歩き方がおかしいかな?と思い見てみると、伸びて丸まったツメが肉球に刺さっていて、病院で処置してもらいました。思い返してみると、年をとってきて、ツメとぎを以前ほどしなくなっていたことに思い当たりました。もう一匹6歳の猫もいるのですが、やはりツメ切りはしたほうがいいのでしょうか?(キンさん)
猫はツメの管理をするためにツメとぎをします。猫のツメは2層構造になっていて、ツメとぎをした後に古い角質が取れて新しいツメが出てきます。ツメとぎは、猫のツメを適切にしておくために大切な行動なのでしょう。
またツメとぎには、マーキングの意味もあります。ほかの猫に対し、傷をつけたりにおいをつけたりして、「ここにいましたよ」「ここに住んでいますよ」などのメッセージを届ける役割をしています。
しかし、高齢になると猫は関節炎などでツメとぎがしづらくなることがあります。そうなるとツメの管理がうまくいかなくなってしまいます。ツメの様子を見るためにも、うっかり引っかかれてケガをしないためにも、ツメ切りはぜひ子猫の時からチャレンジしてみてください。大好きなおやつを与えながらツメを切る練習をするとよいでしょう。
愛猫の好みを探って対応を
Q.段ボールのツメとぎを用意しても、それは使わず…うちの子はソファの背もたれや椅子の脚でツメをといでしまって困っています。ツメを切るようにしたら、猫もツメとぎをしなくなるのでしょうか?(おびで)
我が家も随分、あちこちに猫アートが施されています。革のソファーはもう幾何学的な芸術性あふれる唯一無二のひっかきアートが施されています。笑って書いていますが、本心穏やかではないです。革のソファーは本当に高かった我が家の唯一のまともな家具なのですから。
猫はツメの管理のためにツメとぎをすると書きましたが、人間同様、ツメの管理をするために使いたいツメとぎの好みがあるのです。おびでさんの猫ちゃんは、おそらく段ボールの素材ではなく、木材やソファーの生地にあるような布や革などの素材を好むのだと思います。
また、背もたれやいすの足をツメとぎにしているということは、垂直な物体を使ってツメをといでいることがわかります。まずは、段ボールのツメとぎの代わりに、木材や布などの素材を使ったツメとぎを垂直に設置してみてください。
ツメとぎを置く場所も、よくツメをといでいる場所のそばに設置します。守りたい家具にはカバーをかける、両面テープを張ってベタつかせる、アルミホイルをまいてキラキラにするなど、猫が嫌うものを上にかぶせてみましょう。家具よりも、そばに置いてあるツメとぎの方がいいかなー、と思ってくれると思います。
ツメとぎをしてほしくない場所でしても、叱らないでください。むやみに叱ることでストレス行動としてほかの問題が出てくることもあります。
猫のツメとぎ問題は猫家族にとっては頭を抱える問題です。まずは落ちついて我が家の猫のツメとぎをしたい素材、置き方(床に置く?垂直のもの?斜めに置く?)、場所の好みやこだわりを探ってみてください。
私もメンバーとして参加している「わんにゃん暮らしのアドバイス」にも、犬や猫のご家族への基本情報を記載しています。ツメとぎのことも動画で説明しています。よかったら参考にしてみてください。
(次回は6月11日公開予定です)
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