猫の1日は6割が休息の時間 安心・安全な居場所づくりで快適な毎日を提供しよう
猫と幸せに暮らすヒントや困りごとの解決法を、獣医師で米国獣医行動学専門医の入交眞巳先生が教えてくれます。今回は、「自宅における猫の居場所」について、入交先生が答えます。
ぽかぽかの春が到来
春ですね。桜を見ると「日本にいてよかったなー」と思います。そして日本の猫たちも少し暖かくなった春を楽しんでいるのではないでしょうか?
窓から入る春の暖かい日差しに、猫が窓の外を眺める気持ちもわかるような気がします。今回はそんな窓の外を眺める猫の気持ちに思いをはせながら、猫の居場所について考えます。
休息の時間に安全と安心を
猫は1日のうち6割の時間を、休息や睡眠にあてる動物です。内訳は4割が睡眠、2割が休息時間です(Domestic Animal Behavior, K Houpt監修)。長い時間を過ごす場所ですから、猫が安心して寝たり休めたりする場所を作ってあげることは大切です。
猫は、ちょっと不安になったり怖いと思ったりすると、ご存じのように隠れます。猫が安心して隠れて休める場所はありますか?本が崩れ落ちたりするような場所になっていないかどうか確認するなどして、猫が好んで隠れる場所を安全にしておきましょう。隠れる場所をつくり、またどこに隠れるかを知っておくと、突然来る災害時にパニックになったわが子を、一緒に逃げるために家中探さずとも、ポイントを絞って探しに行けるので安心です。
休憩スポットからの導線も意識して
ちょっぴり不安なときやのんびりしたいときに、高いところに登って休むのも猫の特徴ではないでしょうか?猫はキャットタワー、棚、机やいすなどの家具に登って休みたい動物です。登っても安定している環境が高い場所はありますか?休む場所にやわらかい素材のクッションなどおいておくと猫たちは喜ぶと思います。
また、登ったら登りっぱなしではなく、そこからトイレや水飲み場に移動しやすいかも見てください。同居の犬、苦手な同居猫、小さなお子様など、ちょっと苦手な相手をうまく避けて移動できるような道があると猫は喜びます。怖い相手がいるかもしれない床に降りることなく、休憩スポットから机やいすを伝って移動できるようにしておくと、きっと猫の気持ちも楽になると思います。
窓辺にもくつろぎスポットを
窓の外が見られるような休憩スポットも猫には大切です。窓の外の景色、動くもの、暖かな日差しが猫は大好きなようです。窓辺で休めるような工夫を取り入れてください。窓のところに猫が休める台を置いてもよいですし、最近は窓にくっつけられるような猫のベッドもあります。その子に合った窓辺の特別席を用意してあげましょう。
窓辺で猫がじっと外を見ているとき、何を見ているのでしょうか。きっと外で動くもの、風にそよぐもの、日差しの反射で見えるもの、雨粒など、いろいろ見て感じているのだと思います。わが家の猫もよく窓辺で外を見ています。怖がりなので外に出ることは嫌がるのですが、外を眺めることは好きなので、「出たいから見ている」だけではなさそうです。猫の目に映るわくわくする何かが窓の外にあるのかもしれません。
幸せそうに外を眺める猫の横で春の居眠り、そんな幸せをかみしめていたら、この原稿の締め切りを忘れていた私です。
春は芽吹きの季節。新しい門出、いろいろ忙しい時期でもありますが、猫の休憩場所を作りながら、人もひと息入れるのをお忘れなく。
【前の回】気づきにくい猫の老化 深夜に大きな声で鳴くことが増えた、これって認知症?
【入交先生に聞いてみたいこと募集中!】
猫の困った行動や、なぜこんなことをするの?と疑問に思っていることなど、入交先生に聞いてみたいことを教えてください。連載テーマの参考にさせていただきます。入力は、こちらのボタンからどうぞ!
sippoのおすすめ企画
「sippoストーリー」は、みなさまの投稿でつくるコーナーです。飼い主さんだけが知っている、ペットとのとっておきのストーリーを、かわいい写真とともにご紹介します!
LINE公式アカウントとメルマガでお届けします。