「はー、また太った」(小林写函撮影)
「はー、また太った」(小林写函撮影)

愛猫「はち」の肥満に大ショック! ご飯を減らしても増えていく体重…思いあたるのは

 元野良猫「はち」を家に迎えて8カ月が過ぎ、ペットシッターに託しての留守番も問題なくクリアして数日経った10月初旬。留守にする前に、傷ついてしまった眼球の状態を診てもらうため、はちをかかりつけの動物病院に連れて行った。

(末尾に写真特集があります)

まさかの肥満に

 点眼の甲斐があり、傷は完治していた。だが驚いたのは、はちの体重が6kgになっていたことだった。

「えーっ!」と、その数値に私は自分の目を疑った。

「このところ、ずっとご飯の量を減らしているんですよ、なのになぜ……」

 はちを保護した1月下旬当時の体重は5.5kgだった。大柄で骨格がしっかりしたはちの理想体重は5.2kgだが、当面はダイエットの必要はなく、現状キープを目指す。だが6kg以上には増やさないようにと院長先生から言われていた。

 はちの場合は、6kgを超えると肥満になり、糖尿病や関節炎、心疾患などにかかるリスクが高くなる。太っていても健康な猫はいるだろうが、はちは猫エイズのキャリアだ。病気になるリスクは、できるだけ避けたい。

 ドライフードは、病院ですすめられたやや低カロリーかつ高たんぱくの国産品を選んだ。

 パッケージには「体重5kgの猫には80gが適量」とあった。熱量に換算すると280kcalだ。だが、去勢済みで完全室内飼い、年齢は推定7~8歳とシニアの入り口で、かつやや太り気味のはちには多すぎる。そう先代猫「ぽんた」との経験から判断し、70gからスタートすることにした。

「ご飯の量減らしたらハンガーストライキするぞ。僕には絶対無理だけど」(小林写函撮影)

 はちは初日からフードをよく食べた。にもかかわらず、2カ月後の3月末、体重は5.2kgに減っていた。

 何の苦労もなく理想体重になったと私は喜んだ。ぽんたに比べて動きが活発で俊敏なためだろう。むしろ、はちにとっては少ないのかもしれない。しばらく様子を見て、さらに体重が減るようだったら量を増やそうと考えた。

 その頃、はちは頻尿だったり発熱したりしたのでよく病院に連れて行った。その後も、爪切りのために1~2カ月に1回は通院していたので、正確な体重測定の機会は頻繁にあった。

思いあたるのは運動量

 ところが、4月に入るとはちの体重は微増した。ゴールデンウィークが過ぎると見た目にも明らかにふっくらしてきた。これはまずいと私は焦り、せめて5.4kgにとどめようと、フードの量を当初の70gから3g減らし、67gにした。

 院長先生からは、必要な栄養素が極端に減らないよう、現状の5%減を目安にするようにと言われていた。

 しかし、6月には、はちの体重はもとの5.5kgに戻っていた。

「頭なでなくていいからご飯ちょうだい」(小林写函撮影)

 食事を減らしているのに増えている。この事実はショックだった。

 体重が増えるのは当然、消費カロリーより摂取カロリーが多いからだが、思いあたるふしはあった。はちは、以前より活動量が減っていたからだ。

 家に来て最初の2カ月は朝鳴き夜鳴きがひどく、家中を飛び回り、ときにカーテンレールの上に乗ることさえあった。

 その頃に比べると、すっかり家猫らしく落ち着き、くつろいだり寝たりしている時間も多くなった。喜ばしいことだが、太るのは困る。

 そこで給餌量を67gからさらに2g減らして65gに。にもかかわらず、8月には5.8kgになってしまった。

 今度は思い切って5g減らして60gに。それでも体重増加は止まらない。

 もしや夜中にこっそり盗み食いをしているのではと、台所のあちこちを捜査した。だがその形跡もなく、謎は深まるばかりだった。

 9月には5.9kgに増え、さらに5g減らして55gにしたが、その後は冒頭の通り、6kgまで増えてしまったのだった。

「ねえ、僕ってご飯を十分にもらえない不幸な猫なのかな」(小林写函撮影)

「おかしいなあ、どうしてなんでしょうねえ」と首をひねる私。

 院長先生からは特にコメントはない。「これ以上体重を増やさないように」と注意されただけだった。

 8カ月ちょっとの間で0.5kg増。人間に換算すれば5kgにあたる。はちは、家に来たときに比べると明らかにぼってりとしており、顔も丸い。保護した当時の俊敏さは影をひそめ、動きも緩慢になった気がする。

 会計時、「おやつだって、薬を飲ませるときや特別なごほうびとして以外は与えてはいないんですよ。それなのに太るなんて」と、しつこくぼやく私に動物看護師さんは言った。

「上下運動をさせるように工夫したり、おもちゃで遊ぶなど、からだを動かす機会を増やしてもいいかもしれませんね」

 確かに、このところ、私ははちと遊んでいない。以前は好きだったじゃらし棒にあまり興味を示さなくなったので、おもちゃは卒業の年頃だと思ったからだ。でも正直に言えば、必要がないなら遊ばなくてよいかと、労を惜しんでいたところもあった。

 飼い主の怠慢を棚にあげ、嘆いていてもしかたがない。

 私は、はちの体重を5.5kgに戻すべく、新たな策を練ることにした。

(次回は4月20日公開予定です)

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宮脇灯子
フリーランス編集ライター。出版社で料理書の編集に携わったのち、東京とパリの製菓学校でフランス菓子を学ぶ。現在は製菓やテーブルコーディネート、フラワーデザイン、ワインに関する記事の執筆、書籍の編集を手がける。東京都出身。成城大学文芸学部卒。
著書にsippo人気連載「猫はニャーとは鳴かない」を改題・加筆修正して一冊にまとめた『ハチワレ猫ぽんたと過ごした1114日』(河出書房新社)がある。

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この連載について
続・猫はニャーとは鳴かない
2018年から2年にわたり掲載された連載「猫はニャーとは鳴かない」の続編です。人生で初めて一緒に暮らした猫「ぽんた」を見送った著者は、その2カ月後に野良猫を保護し、家族に迎えます。再び始まった猫との日々をつづります。
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