特定非営利活動法人「動物愛護団体LYSTA」のスタッフのみなさん。保護猫サロンと犬猫シェルターを運営し、福島県いわき市の殺処分ゼロを目指す
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8月1日から寄付スタート 動物福祉のために頑張る新認定9団体を応援ください!

 公益社団法人「アニマル・ドネーション(アニドネ)」代表理事の西平衣里です。私達は個人や企業から寄付をいただき、アニドネが支援している認定団体さんへお届けしている中間支援組織です。本年度は、9団体(保護団体7、啓発団体2)が新たに認定をされました。今回はsippo読者のみなさんに、団体選定のやり方や新認定団体の特徴などをご紹介したいと思います。

(末尾に写真特集があります)

「なぜ寄付?どこに寄付?何に寄付?」に応えたい

 アニドネを立ち上げた背景は、私自身の経験が色濃く影響しています。「寄付で支援をしたいのに、どこに寄付をしていいのかまるでわからない。郵便局からの振り込みはめんどくさすぎる……」という思いを同じように感じている方は多いのではないかと考え、オンライン寄付サイト「アニドネ」を立ち上げました。私の仮説はおそらく間違いではなく、アニドネの利用者は徐々に増え、今年5月末の寄付総額は3億円を超えました。アニドネに共感をしてくださり、動物に対する気持ちをカタチにしてくれた方々に心から感謝をしています。

寄付を届ける認定団体の選定フローと意義

 みなさまからの寄付をどこにお届けするかはとても大切なこと。実は、認定団体の選定フローは、公募からオンライン面談、複数人による現地訪問、外部審議委員会・理事会と、1団体につき約15名程のスタッフが関わっています。期間にして約10カ月。その団体さんの活動になぜ寄付が必要なのか、寄付をお届けすると何が解決できるのかを書類や面談、現地訪問などでお聞きし、最終的には有識者による外部審議委員会と理事会にて決定をしていきます。

老犬
埼玉を拠点とし関東圏で活動する特定非営利活動法人「アグリドッグレスキュー」。高齢犬や病気の犬も積極的にレスキューをしている

 このように書くと、アニドネがとても厳しく選定をしているように思われるかもしれませんが、実際は私たちが学ばせていただいてる側面が大きいと感じています。団体さんのリアルな悩みや工夫を知ることは大変に貴重な場ですし、現地訪問はそれこそ私たちにとってパワーチャージの機会。こんなに頑張っている団体さんの役に立ちたい、アニドネ活動ももっと頑張らねば、と思える場なのです。私達には到底できないような現場で命に向き合う団体さんの活動には、常に尊敬の念を感じます。日本の動物福祉を世界トップレベルにするために、志を同じくするパートナーに出会いたくて選定活動をしています。

リサーチャーさんが寄り添うスタイル

 アニドネにはクラブアニドネというボランティア組織があります。いろいろな経歴を持つ約110名が所属をしており、その中に「リサーチャー」というチームがあります。役割としては、認定団体さんの窓口担当です。多くのリサーチャーさんたちは日本の動物福祉の現実に心を痛めており、仕事や生活があるので団体活動まではできないまでも、なにか自分にできることで貢献したいという想いを持った方ばかりです。

 その中で、リサーチャーさんたちのリーダーである、今崎湘子さんにインタビューをしました。

― 今崎さんはどのような役割を担当されたのですか?

「今回の新認定において、リーダーとしてリサーチャーさん達が現場訪問するためのスケジュール調整から団体情報の共有、訪問後の確認などを行いました。そして、審議を通過して認定された団体をアニドネサイトにて紹介するためのディレクションも担当。認定団体の特徴や優位性、代表の方々の動物たちに対する想いや奮闘ぶりを、いかにうまく伝えられるか、アニドネとして中立的な立場で正確な情報を掲載できるようリサーチしながらまとめていきました。掲載直前はシステム期限もあることから、他の仕事と調整しながら睡眠を削っての確認作業となり、濃密で充実した5カ月間でした」

― やってみてどう感じましたか?

「今回認定された団体は北海道から沖縄まで全国に渡っています。私も1団体を担当し実際に訪問しましたが、リサーチャー全員がそれぞれ現場の雰囲気をリアルに感じ合えたことは大きな学びでした。その地域ならではの動物福祉問題を知ったり、動物たちの幸せな生活のために啓発活動に励む姿に心を打たれたりして、決してかわいいだけでは守れない大切な命に対する重みを改めてうかがい知る機会となったからです。

女性と犬
リサーチャーリーダーの今崎湘子さん。人生で5頭目となる子に元保護犬のトイ・プードルを迎え溺愛中。フリーライターのスキルを活かして、アニドネのボランティアチームをまとめている

「今回、新たに9団体がアニドネのサイトを通して広く世の中に知られる存在としてスタートを切りました。全国にいる寄付者のみなさまと9団体がつながる新しい窓口が開いたと感じています。日本の動物福祉の底上げへと微力ながら貢献させてもらえたことに、喜びと、これまでのあらゆるご縁に心から感謝しています。アニドネの成長に伴う付加価値をより提供できるよう、リサーチャーリーダーとしてみんなと協力しながらリサーチャー同士の交流と団体さんとのつながりを強固なものにしていけるよう努めなければと、気が引き締まる思いも感じています」

団体の「困りごと」を解決するのも大きな仕事

 リサーチャーはアニドネのボランティアの中でも希望者が多く、現在24名の方が熱い思いをもって活動をしてくれています。今回のように支援する団体を選ぶときにも活躍してくださいますが、実は選定をしてからがアニドネらしい取り組みの始動です。

 それは、情報による後方支援です。私たちは寄付を届けることがメインではあるものの、団体さんの「困りごと」を解決したいとも考えています。リサーチャーさんになんでも相談してほしく、その相談はアニドネ内でなんとか解決したい、解決するまではいかないにしても何かヒントになることを見つけたいと、寄り添う気持ちをベースにしながら、頑張る団体さんへ貢献するスタイルが出来上がりつつあります。

猫の保護施設
特定非営利活動法人「アルマ」。住宅地内の戸建てをシェルターにして活動中(東京)。これまでに5000頭近くの犬・猫を保護

 私たちアニドネは小さい組織です。そして、現場で犬や猫と向き合う団体さんも、ほとんどがボランティアで構成され、大好きな犬猫への想いで非営利活動に没頭しています。一つひとつは小さな動きですが、寄付による支援と情報連携をすることで、スピードと活動パワーを増し、早く世界に誇れる動物福祉国へ変革していきたいと思っています。

おすすめは「まとめて寄付」

 今回、認定された9団体は北海道から沖縄までで、一覧ページに「NEW」のマークがついている団体となります。動物福祉の事情は地域によって大きく異なります。それこそ、北国と南国では猫の出産回数が変わったり(沖縄だと年に4回も出産することも)、野犬が多いのは西日本だったり、また多頭崩壊やブリーダーレスキューは全国で問題視されていたりします。

 アニドネの寄付システムの特徴として、団体さんを選んで寄付をする以外にも、全認定団体さんへまとめて寄付や、カテゴリー(保護団体・介在団体・伴侶団体・啓発団体)を選んで寄付することが可能な点があります。現状は、全体寄付者のうち約30%が全認定団体への寄付、約20%が保護団体ですので、二人に一人はより多くの団体へ寄付をしたいという想いを持っていると思われます。

 動物福祉で頑張る団体さんの活動がより広がり、日本に笑顔の犬猫がより増えるよう、寄付という気持ちを届けてみませんか?

(次回は9月5日公開予定です)

【前の回】「人が動物を助け、動物が人を助ける」 カルフォルニアの保護シェルター

西平衣里
(株)リクルートの結婚情報誌「ゼクシィ」の創刊メンバー、クリエイティブディレクターとして携わる。14年の勤務後、ヘアサロン経営を経て、アニマル・ドネーションを設立。寄付サイト運営を自身の生きた証としての社会貢献と位置づけ、日本が動物にとって真に優しい国になるよう活動中。「犬と」ワタシの生活がもっと楽しくなるセレクトショップ「INUTO」プロデユーサー。アニマル・ドネーション:http://www.animaldonation.org。INUTO:http://inuto.jp

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この連載について
犬や猫のために出来ること
動物福祉の団体を支援する寄付サイト「アニマル・ドネーション」の代表・西平衣里さんが、犬や猫の保護活動について紹介します。
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