寝ても覚めても下の世話 愛犬2匹の下痢パニックは“犬ご飯沼”の入り口か
我が家には、優しくて賢いイングリッシュ・コッカー・スパニエルの男の子「グレン」(4歳)と、だいたいパッションで生きてるイングリッシュ・セターMIXの女子「ピナ」(1歳)がいます。
先日、2匹そろって下痢の期間がありました。犬ご飯てほんとに難しいと感じた一連の出来事です。
デリケート・ボーイ「グレン」
優しく賢いグレンはデリケート・ボーイでもあります。
精神面などではなく、とにかく皮膚がデリケート。すぐ“かゆかゆ”になります。
最初は迎えてすぐの子犬の頃で、その後も何度か動物病院で膿皮症との診断を受け、だいたいは薬用シャンプーとローションで改善してきました。
草でおなかまわりが荒れることもあるし、首回りにボツボツができたことも数度あり、確証はないものの金属も合わないのではないかと首輪はバックルがプラスチック製のものにしています。
そんなわけで、それなりに悩みはしつつも、案外グレンの皮膚トラブルは慣れっこです。
ただ昨年の10月は、そうも言っていられない状況でした。
何をしても一向によくならないどころか、悪化の一途をたどるばかり。脇とおなか、肛門(こうもん)まわりからはじまった発疹は背中へと広がり、ひどい所はぐちゅぐちゅして見るからにかゆそうに。
シャンプーをし、日に2回コットンでパタパタとローションをし、腸内環境を整えるためのサプリを飲ませる。
それでもよくならず、グレンが眠る人間のベッドはシーツ類をオーガニックコットンのものに変えました(必死)。
それでも、ダメ。
ストレスかしらと思い暇を見つけては河川敷や海にすかっと走りにいくも、ダメ。
もちろん、この時ばかりは病院で薬も処方してもらいました。しかし、飲み終えるとぶり返す……。薬で抑えられていた分を取り返す勢いで一気にひどくなるので、かかりつけの先生と相談して、薬もやめました。
ああもう、打つ手がない。
何の改善にもならないけど、エリカラだけが私の味方(涙)。
という謎の心境にまで陥っていました。
でも、打つ手はあったのです。
私は、ひとところで言われる「皮膚トラブルは食べ物で考えはじめると泥沼にハマる」という見解を割と信じていました。しかし原因を探るため、何か生活や環境の変化がなかったかをいま一度思い返してみると(ものすごく必死)、残すところで思い当たるのはフードだけでした。
ピナが耳をかゆがりよだれ焼けもひどいからと、そのときから9カ月前の2月、ふたり一緒にフードを変えていたのです。
泥沼にはハマりたくないけれど、わらにもすがる思いで、グレンだけフードを以前のものに戻してみたところ、少しずつ発疹は消えていき、なんと20日後にはすっかりきれいになったのです。
食物アレルギーではなく“偏り”?
先日、皮膚科専門医の獣医師に話を聞く機会がありました。
私の夫はそばアレルギーです。その昔、レストランを出た途端に夫の顔が赤くなり、せきと鼻水が止まらなくなったことがありました。おそらくそば粉が使われていたか紛れたのだろうという話に落着したのですが、これは本当に肝を冷やす一件でした。
その点、犬についてもアレルギーという言葉はよく聞くものですが、人間のように即アレルギー反応が出る、ということはほとんどありません。
グレンもフードを変えて半年以上経ってから発疹が出はじめています。
人間のような早急なアレルギー反応が犬にはほとんどないことについて、先生は「犬のアレルギーは定義がそこまではっきりしていない」と話されていました。
では、アレルギーではないとしたらいったい何なんだ?と思い、グレンのフードの件を持ち出しながら尋ねてみたところ、返って来た返事は、
「偏り、だよね」
というものだったのです。
食事の偏りです。
何でしょう、それがすごく腑(ふ)に落ちたんです。
偏りと聞いて湧き起こる不安
「偏り」という言葉が腑に落ち、すっきりしたのは一瞬だけで、すぐに湧き起こったのは同じフードだけを食べさせ続けることへの不安、でした。
今は合っていると思っても、微量にでも体質に合わないものが入っていれば、それが年月を経ていずれ何らかの症状となって現れるのではないかと感じられました。
ただ、先代犬のころからフードジプシーを経験し、またグレンもピナもフードの合う・合わないがはっきりしていることもあって、フードの新規開拓は面倒だと思いました(またかゆくなっても嫌だし)。
そこで、偏りを防ぐため、手作り食を取り入れることにしたんです。
グレンにおいては、フードを切らした時や、過去に私の気が向いた時は手作り食を取り入れていて、特に問題もなかったので、膨大な数あるフードから新規開拓することよりもずぼらな私にはよっぽど楽そうだと思えました。
ただ、ピナについては初めての手作り食。
ピナは子犬の頃ジアルジア持ちで、軟便下痢状態で我が家に来ました。治療に2カ月以上の時間をかけ便は正常なものとなりましたが(あの時の喜びたるや)、生後まもなくから腸にダメージを受けているため、獣医師から「生涯腸活必須!」と言われている娘です。
ピナは食べ慣れないものですぐに下痢します。
グレンが愛してやまない鹿骨も、グレンだけガジガジさせるのはピナをいじめているような気持ちになるので一緒にあげますが、100%、面白いくらい下痢します。
ハンターモード全開で飼い主のご飯をかっさらい、勝手に下痢することも……(呆)。
そんなわけで、グレンはそのまま、ピナは常備しているペディオコッカス菌サプリを加え、ふたりの手作り週間をスタートさせました。
愛情いっぱい手作りご飯、喜ぶ2匹は…下痢!
手作り食に切り替えた翌日、ピナ、下痢。
手作り食に切り替えた翌々日、グレン、下痢。
ピナはそれなりに覚悟していましたが、グレンについては「ブルータス、おまえもか」状態。
ヒドイよ……せっかく丹精込めて作ってるのに……というほとんど飼い主の感情の行き場のなさだけで丸3日を手作り食で押し通しましたが、昼夜問わずピーピー×2する下の処理に私自身が音を上げ、4日目の朝、まず絶食(犬たちにとって一番の災難)。その夜はフード半分量でグレンにもサプリをイン。
そこからも多少尾を引き、グレンは5日目、ピナは6日目になってやっと便がほぼ正常へと戻りました。
ああ、良かった……と思う半面、ひとつのフードを食べ続けるって、こんなに腸内フローラの柔軟性がなくなっちゃうの?という複雑な気持ちにもなりました。
結局ハマっている、“犬ご飯”という沼
グレンの皮膚トラブルからはじまったことですが、結局それをきっかけに、“犬ご飯沼”に片足を突っ込んでしまったかもしれません。
知人が「犬のご飯は突き詰めはじめると闇」と言っていたのが実感を持って迫ります(汗)。
そもそも、グレンは発疹が出てしまうピナのフードは、グレンのものより価格的にはずっといいフードです。ピナの耳はきれいになり、ヨダレ焼けもすっかり解消して、目に見えてピナには合っているのだろうと感じています。
それもあって、フードを戻すことになかなか踏み切れずにいたのもあったかもしれません。
「フードの良しあしはその子に合うかどうか」とよく聞きますが、本当にそうですね。
でも同時に、言うはやすし、その“合う”を教えてくれ!正解を教えてくれ!今!と思ってしまう短気な飼い主であります。
たった3日で元サヤとなってしまったふたりのご飯ですが、冷凍庫にはまだ小分けした肉が。トッピングからまたはじめてみるつもり……ではあるものの、不眠不休の下痢パニックから解放されたばかりの今は、もう少しこの平穏な日々を……とも思うのでした。
sippoのおすすめ企画
「sippoストーリー」は、みなさまの投稿でつくるコーナーです。飼い主さんだけが知っている、ペットとのとっておきのストーリーを、かわいい写真とともにご紹介します!
LINE公式アカウントとメルマガでお届けします。