犬同士のトラブルで人間関係の悪化も? グルキャンは失敗できない環境づくりが得策
サーフィンやスケボーが得意な愛犬「コーダ」と保護猫「フィーユ」「ガロ」と暮らすドッグトレーナー浅野さんの犬猫日記。第3回はみんなで行くキャンプ、通称“グルキャン”についてお伝えします。
グループキャンプができるようになるまで
こんにちは。犬と猫と暮らすドッグトレーナーの浅野です。前回の「犬とキャンプ」の続編として、みんなで行く“グルキャン”についてお伝えしたいと思います。
私は愛犬とキャンプを始めてから、月に1回ペースで関東エリアのキャンプ場へ行きました。
冬キャンプから始めて極寒では眠れない事を経験し、石油ストーブを導入して快適に。その後、雪を求めて群馬県や長野県へ遠征、キャンプの他に雪遊びも堪能しました。
大雨の時に森林の土サイトでキャンプをしたらテントも犬も泥だらけになって大変だったので、雨が降りやすい季節は芝生やウッドチップサイトを選択した方がいいと学びました。
夏はドッグサーフィンをするので、キャンプ場ではなく、駐車場で車中泊サーフキャンプをしたり、冷房の効いたコンドミニアムに泊まりました。
秋は過ごしやすいので、磯遊びができる南房総で愛犬と愛猫と一緒にキャンプ。そうしてようやく余裕が出てきたので、友人を誘ってグループキャンプができるようになりました。
みなさんも愛犬とのキャンプに慣れてきたら、ぜひグループキャンプを試してみてください。数組の犬と家族が集まる“グルキャン”はハードルが高くなりますが、これがまた最高に楽しいキャンプになります。
私の場合は、愛犬のコーダと同じ犬種や同じ趣味を持つ友人と一緒にグルキャンをすることが多いです。よく一緒にキャンプをするメンバーにいたっては、愛猫のフィーユを連れて行っても犬たちが気にしないでいてくれるので助かってます。
みんなで楽しむグルキャンの1日
私たちのグルキャンの平均的な流れはこんな感じです。
キャンプ当日は、チェックイン前1時間以上の余裕をもって集合。
犬たちにライフジャケットを着せて、ビーチコーミング散歩をたっぷり。泳いでもいいし、砂を掘ってもよし。可愛い写真をたくさん撮って、チェックイン。
犬たちに水を飲ませて、散歩後のケアをしたら、クレートにIN。その間にみんなで協力して一気にテントを設営。終わったらBBQや料理を開始します。
ご飯ができるころに、休息をしていた犬たちをクレートから出してフリーにする。
ビールを飲みながらアウトドア料理をつまんで、時には犬たちにおすそわけ。
たき火をして、マシュマロを焼いて、ローチェアに座ってチルタイムしている横には、リラックスして寝そべる満足した愛犬。
尽きない犬話をして、それぞれのテントに戻って就寝。
やや二日酔いの翌朝は、すでに愛犬と早朝散歩をしてきた友人が淹れてくれるコーヒーを飲むところから始まります。
みんなで朝ごはんを作って食べて、犬たちと散歩タイム。
その後、犬をクレートにステイさせて、キャンプ道具の撤収作業。
車で観光地へ行き、アドベンチャー散歩。犬がテラス席OKなカフェでランチをして、犬と一緒にソフトクリームを食べる。
グルキャンを楽しむメンバーはお料理上手が多いので手作り犬ご飯を作ってくれたり、また、新しい遊び方を発見したり。写真を撮る時などは、今までトレーニングしてきたオスワリ・マッテなどの実践編になったりと、個々が「愛犬家」であることが楽しい瞬間でもあるのです。
失敗できない環境づくりが大切
複数の家族と犬が一緒にキャンプする場合、うまくいけば最高に楽しい時間を過ごせますが、複数の犬が同時に自由に動き回っているので、以下のようなリスクがはらんでいます。
- 他人、他犬への吠(ほ)え・・・多頭だとみんな一斉に吠えてしまうかも。
- ゴミ漁り・・・他の家族や犬に気を取られている隙に起こる。
- キャンプ道具への排泄(はいせつ)・・・自分は良くても他の家族の道具へは排泄させたくない。
- 犬同士のトラブル・・・苦手な犬同士だとお互いフリーにできない。
- 食べ物を欲しがって興奮する・・・ずっと吠えられていたらゆっくりできない。
- 逸走による行方不明・・・ドッグサイトの扉の開閉などで失敗しないように。
各家庭で犬にかける合図の言葉が「オスワリ」だったり「シット」だったり、「マテ」だったり「ステイ」だったり……それぞれ違うことがあります。また、食事をするときに犬も椅子に座っていい人がいれば、地面だけにしている人も。
それぞれが嫌な思いを抱かないために自分の犬は自分で管理するのは当然ですが、犬たちから目を離していても「失敗できない環境づくり」をするのが一番です。
・他人、他犬への吠え
吠えてしまうきっかけから距離を離すことが重要。自分の犬を管理できない時はクレートに入れて布をかけたり、車中のクレートに入れるなどして犬が不快に感じる事から遠ざけましょう。
・ゴミ漁り
ゴミ箱はふたつきで開けられないものを選び、犬の鼻が届かない場所に設置します。ふたが完全にチャックで閉まる折り畳みのキャンプ用ゴミ箱がオススメです。
・キャンプ道具への排泄
こまめにサイト外へ散歩に連れて行き、トイレ出しをする。また、サイト内にペットシーツを敷いた箇所を設けてトイレを作る。それでも足をあげて道具に排泄してしまう場合はマナーパンツで対応しましょう。
・犬同士のトラブル
相性が良くない犬同士が同じスペースを共有するのは、犬にとって難しいことです。そうなると飼い主は目を離せなくなるので、犬をフリーにする時間を交互にしたり、空間を共有する場合はお互いリードをつける。相性がいい犬同士でグルキャンをした方が犬にとっては楽しく過ごせますので、キャンプ前からよく検討してください。
・食べ物を欲しがって興奮する
事前に充分遊ばせて、食べ物を用意している時はクレートで休ませましょう。食べ物を出すときは焦らさないで与えるようにします。犬が食べられないものを自分が食べている時はおあずけをしないで、食べている所を犬が見なくていい環境にしてあげてください。犬は「欲しい」気持ちが我慢できないのに、手に入らない事は苦痛に感じます。
・逸走による行方不明
グルキャンをする時は、柵に囲われているドッグフリーサイト(ドッグランサイト)を選ぶ方が得策です。扉の開閉時は特に注意し、設置作業、撤収作業時などの犬を相手に出来ない時は、クレートに入っていてもらうのが一番安心できます。
「犬とキャンプ」は楽しいだけではなく、災害時の避難などで、家以外の場所でも寝泊まりできるようになるトレーニングにもなります。屋外での休息や食餌の抵抗を無くしていくことができるので、とてもいい経験になるでしょう。
また、グルキャンでは、自分には無い他の方のセンスやアイデアによって、愛犬との新たな遊び方や過ごし方、楽しみ方、食餌(しょくじ)などの発見ができることも。愛犬が普段よりも喜び、楽しく幸せそうにしている様子は、最高にうれしい瞬間です。
自然の中でのキャンプを通じて、犬らしさや犬種らしさを発揮できる瞬間を提供し、それを一緒に心の底から楽しみたいものです。
【関連記事】「犬とキャンプ」失敗させない秘訣は手順と環境づくり BBQのおすそわけも忘れずに
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