「犬とキャンプ」失敗させない秘訣は手順と環境づくり BBQのおすそわけも忘れずに
サーフィンやスケボーが得意な愛犬「コーダ」と保護猫「フィーユ」「ガロ」と暮らすドッグトレーナー浅野さんの犬猫日記。第2回は「犬とキャンプ」についてお伝えします。
初めての「犬とキャンプ」は失敗だらけ
こんにちは。犬と猫と暮らすドッグトレーナーの浅野です。第2回は「犬とキャンプ」はすごくイイ!という事をお伝えしたいと思います。
私が本格的にキャンプを始めたのは2年前のこと。友人と「犬とキャンプ」のYoutubeをやろうと思ったのがきっかけでした。
始めたころは本格的なテントを建てるキャンプに慣れていなかったので、愛犬のコーダと宿泊するだけで精いっぱいでした。何せ荷物がとんでもなく多いうえに、冬だったので防寒具や防寒着もどんな物を用意すればいいのやら……。
犬とキャンプをする際の持ち物はざっとこのくらいあります。
・人間用キャンプセット
テント、タープ、寝袋、調理器具、テーブル、イス、たき火台、薪、おの、ナイフ、皮手袋、ペグ、コット、ブランケット、ストーブ、延長コード、ランタン、ロープ、食材などなど、更には着替えや洗面具なども。
・犬のアウトドアお泊まりセット
食餌(しょくじ)、洋服(防寒着、汚れ防止着、パジャマ)、リード、ロングリード、伸縮リード、迷子札付首輪、ハーネス、オモチャ、クレート、犬用コット、足ふきタオル、ブラシ、食器、排泄(はいせつ)処理用具。
そして、予約したサイトは周囲に囲いがない芝生のオートキャンプ(車が置ける区画)の電源が使えるサイトでした。元牧場だった場所で、景色が良くて広々、隣との距離はそれほど近くありません。
はじめてのキャンプ、まず、到着してテントを建てる時に、コーダの面倒を見ていることができず、しかも寒いので車の中のクレートに待機させたまま準備に2時間かかってしまいました。
やっと準備が終わってキャンプ場の中のドッグランに連れて行きフリスビーなどをするも、それほど盛り上がらずサイトに戻ることに。
あっと言う間に夕方になり、寒さが厳しくなってきてつけたアラジンストーブは、屋外ではあまり温まらず。作った鍋料理は片っ端から冷えていき、食べるころには「冷やし鍋」状態。ビールも冷たい……。寒い……。冬のキャンプは初心者にはハードルが高かったようです。愛犬も震えていて、早々にテントに入って毛布でぐるぐる巻きにして寝かせました。
せっかくキャンプに愛犬を連れて行っても、犬はつなぐか車で待たせたままになり、人間だけが一生懸命テントを立てて、調理をして、寝て、帰ってくる……。
そこで気付きました。いつも失敗してから気付くタイプで情けないのですが。
「愛犬が楽しくないと、自分も楽しくない」
愛犬と楽しむキャンプはスケジュールが大事
愛犬を喜ばせたくて、犬本来の暮らしを再現するエンリッチメントのために自然の中に連れてきたのに、これでは本末転倒ではないかと。そこで、タイムスケジュールを変更してみました。
キャンプ場に到着したら、まずはコーダと散歩、運動や遊びを1時間くらいする。もしくは、キャンプ場に入る前にいい場所があればそこで散歩を済ませる。
現地で自然を思いっきり堪能させて、疲れてクレートでゆっくり寝ている間にテントを設置。
ご飯の準備をする間はリードで係留して、夕食にはBBQのおすそ分けを用意。
寝る前にトイレ散歩をして、テントで就寝。
翌朝は、食事、散歩と遊びをしっかりめにして、クレートで休ませている間にテントを撤収します。
このようなスケジュールで、先にコーダをしっかり満足させる時間を採り入れたことで、準備や作業時間を「待たせる」から「休ませる」に変えることができました。そして休んだあとには、普段と違う“ちょっといい肉”がもらえる機会にもなったので、コーダはキャンプが大好きになりました。
犬とのキャンプは、まずは愛犬を楽しませることから。そうすることで飼い主の心に余裕が生まれ、たき火をしたり、星を見たり、木々のさざめきや鳥の声を聞いたり、自然に身を置いてキャンプそのものを楽しむことが出来ます。そこに大好きな愛犬が、満足してそばで寝そべっていてくれると、やっと「犬とキャンプ」が成立したと思うのです。
失敗しにくい環境を作る
コーダは、キャンプ中に私が困るような行動をほとんどしません。それは、積み重ねてきたトレーニングもあるのですが、たき火をしながら足元に寝そべる愛犬と星を見る余裕のために(笑)、これから愛犬とキャンプへ行かれる方は、まずは、愛犬が失敗しにくい環境づくりから考えてみてください。
【犬とキャンプの環境づくり】
- 迷子防止 → 囲いのあるサイトを予約する
- ゴミ漁り → ふたつきゴミ箱を使う
- テーブルの上のものを勝手に食べる → 低いテーブルではなくハイテーブルで食事する。テーブルの上に置きっぱなしにしない
- 他人や他犬に吠(ほ)える → サイトの近くに来ないところを予約する
- 飼い主に吠える → おあずけをしない。準備の間はクレート等で休ませ、見せないようにする
さらに、快適に過ごすためには普段からのトレーニングが必要です。
- 迷子防止 → 呼び戻し
- ゴミ漁り、テーブルの上の物 → 普段の生活から接し方の改善をし犬の自制心を養う
- 他人や他犬への吠え → 社会化トレーニング、信頼関係の強化
- 飼い主への吠え → 普段の生活から接し方の改善、信頼関係の強化
また、キャンプでは自然の中で予期せぬケガや寄生虫などに見舞われることがあります。1日の最後に愛犬の全身をよくさわって、目視して、健康チェックをすることを習慣化しておくとよいでしょう。
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