愛猫2匹を立て続けに亡くし離職 悲しみから脱却できたのはさくら猫だった

ペットの死に向き合う、猫
17歳で亡くなったももちゃんの美人ショット(美里さん提供)

 いつか来るペットとのお別れの日――。経験された飼い主さんたちはどのような心境だったのでしょうか。

 2019年8月に雑種の愛猫のネネ(享年20歳)、2020年1月にもも(享年17歳)の2匹を続けてをお見送りした飼い主の美里さん。2匹の愛猫を短い期間で失い、仕事を続けられないほどのペットロスになったそうです。美里さんに、亡くなった愛猫たちへのお気持ちと、現況をお聞きしました。

(末尾に写真特集があります)

わずか半年の間に2匹の愛猫を亡くした

――2匹の愛猫ちゃんを続けてなくされたそうですね?

 2019年8月に20歳の「ネネ」、2020年1月に17歳の「もも」を亡くしました。自分の人生の半分近くは一緒に生きてきた子たちだったので、とてもショックでした。ネネは老衰でした。

ペットの死に向き合う、猫
ネネちゃん(左)ももちゃん(右)がストーブの前でくつろいでいた様子(美里さん提供)

ももが亡くなるときは自分も死ぬ時

――ももちゃんはなぜ亡くなったのですか?

 健康診断を1年に2回していて元気だったのですが、お正月明けに急にガタッとおかしくなって、2週間くらいで亡くなっちゃったんです。

 調子が悪くなってすぐ病院へ連れて行き、貧血だということで増血剤を打ちました。でもその翌日、おなかがすごくパンパンに膨れてしまいました。また病院へ行ったら、腹水がたまっていたことがわかりました。私がFIPの可能性を聞いたのですが、先生は「違う」と判断されたんです。結局原因はわかりませんでした。

――ネネちゃんに続き、ももちゃんを亡くしたとき、美里さんのお気持ちはいかがでしたか?

  20歳のネネは亡くなった年のゴールデンウィークにかなり厳しい状態で、そこから3カ月ほど頑張って生きてくれたので納得はできたのですが、17歳で亡くなったももは、見た目も若く、毛並みもよく健康な子だったので、悲しみにくれました。

 ももが小さいころは、昼休みに職場から家に帰ってきてミルクを与えたり、自分の娘として17歳を育ててきた子でした。ずっと一緒にいて手をかけてきて、寝るのもずっと一緒だったし、17歳になっても毎日私の指を吸う子でした。

 私にとって、本当に赤ちゃんだったんですよね……。ももが私の指を吸うから、爪は伸ばさないし、マニキュアは塗らないし、はやりのジェルネイルとかもやらなかった。いつまでも健康で長生きしてもらいたいと思って、サプリメントをいろいろ飲ませて、ごはんにもこだわって。だから、ももがいない人生が考えられず「ももが亡くなる時には、私も自殺する時だっ」てずっと思っていたんです。

 でも、そんなに簡単に死ねるものではなくて、人間って。結局、その状態で職場へ行けなくなり、仕事を辞めました。ももがなくなってから1年半、働きに出ることができませんでした。

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亡くなるまで美里さんの指を吸っていたももちゃん(美里さん提供)

悲しみを癒やしてくれた、野良猫たち

――現在は元野良猫を2匹、お迎えしたそうですね。

 ももを1月に亡くしてその春、仕事を辞めていたので、ふと、ももを連れて桜を見に行った思い出の場所に行ってみたんです。そこにさくら猫(※)がたくさんいました。当初は1週間に1回ペースだったのが、段々と行く回数が増えていき、週に2回、3回、4回と。そうしているうちに、お気に入りの子たちができました。(※「さくら猫」とは、不妊手術済みのしるしに、耳先をさくらの花びらの形にカットした野良猫)

 家に連れて帰りたいと思うようになりましたが、その子たちを連れて帰ると、ももの形跡がなくなるような、生きていた全部が亡くなるような気がして、ずっと踏ん切りがつかずにいました。

 でもその子たちに会うのが本当に楽しみで、1日に4時間とかその場所で飽きもせずに過ごすようになり、2021年11月、懐いてくれていた2匹を連れてかえることにしました。

――現在、そのお迎えした猫ちゃん達との生活はいかがですか?

 1匹の「ほっぺ」は私のことが大好きで。髪を乾かすためにストーブの前に座っていると、無理やり体育座りの上に登ってきて、ブチュブチュとアピールする子なんです。もう一匹の「ラブ」は、甘えん坊なんだけれども抱っこされるのが嫌な子で……。でも最近はひざの上に乗るようになりましたね。

――その子たちをお迎えして心は癒やされていますか?

 やっぱり私の中でももは生き続けているし、毎日話しかけているし、毎日一緒に寝てるんです。ももの使っていた服とか、ももの毛玉と一緒に寝ていて、枕元にも仏壇があって、毎日ご飯を用意しているんですけど。それでも今、新しい猫たちと一緒にいて。うまく説明できないですけど、ラブとほっぺは、もう私の生きがいとなっています。今は幸せだなって思います。

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左が美里さんにべったりのほっぺ、右が甘えん坊のラブ(美里さん提供)

 仕事を辞めるほどペットロスがひどかったという美里さん。そのペットロスから抜け出せたのは、山にいたさくら猫たちの存在でした。現在、ラブくんとほっぺくんと新たな生活を始めた美里さんが、これからも心穏やかに過ごされることをお祈りしております。

【前の回】散歩へ行き帰らぬ犬に… 愛犬を亡くし気づいた、当たり前の日々の大切さ

岡山由紀子
某雑誌編集者を経て、2016年からフリーのエディター・ライターとして活動。老犬と共に暮らす愛犬家。『人とメディアを繋ぎ、読者の生活を豊かに』をモットーに、新聞、雑誌などで執筆中。公式サイト: okayamayukiko.com

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この連載について
ペットの死に向き合う
いつか来るペットとのお別れの日。経験された飼い主さんたちはどのような心境だったのでしょうか。みなさんの思いを伺います。
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