誤食に注意! 犬や猫が飲み込んでしまうと危険なおもちゃ

 病気やトラブルから犬や猫を守るため、飼い主さんにぜひ知っておいてほしい知識を、シリウス犬猫病院の院長、石村拓也獣医師が教えてくれます。連載14回目は誤食についてです。

おもちゃの誤食

 犬猫は時に人間が思ってもみないものを食べてしまうことがあります。誤食は病気ではありませんが、食べたものによっては命に関わることもあります。

 今回は、飲み込んでしまうと危険なおもちゃについてご説明させていただきます。

 誤食とは文字通り、誤って飼い主さんの身の回りの物を飲み込んだり食べてしまうことを言います。

 犬猫の大きさや飲み込んでしまったおもちゃの大きさによっては、無症状のまま便とともに排出されることもありますが、場合によっては気道や食道、胃や腸に異物がつまり閉塞(へいそく)を引き起こすことがあります。もし気道が閉塞(へいそく)してしまった場合は、呼吸困難になるため早急な気道確保が必要となります。

 また、おもちゃが胃内に留まったままであったり、腸閉塞を起こしてしまっていたりすると、嘔吐(おうと)、食欲不振、腹痛などの症状が見られます。

 飲み込む際におもちゃが破損した場合は、おもちゃの破片で内臓等を傷つける可能性があります。

ボール類

 わんちゃんのおもちゃの誤食で圧倒的に多いのが、ボールの誤食です。

 ボールは表面がツルッとしており、思いがけず飲みこんでしまうというような事故が多いようです。

 スーパーボールなどの飲み込めるサイズのボールや、見た目はそれなりの大きさがあっても、かむとつぶれてしまうボールなどは特に気をつけましょう。

レントゲンに映った胃内異物(ボール)

猫で気をつけたい “ひも付きのおもちゃ”

 猫の誤食事故で多いのが、ひも付きのおもちゃです。猫の舌にはザラザラとした突起があるため、ひも類は舌に絡まりやすくそのまま吐き出せずに飲み込んでしまうことが多いです。

 猫がひもや糸を飲み込んでしまった場合は非常に危険です。

 ひもが腸管が食い込んで穿孔(せんこう)による腹膜炎を起こしたり、血行不良により腸管壊死(えし)を起こしたりすることも。

 こういった誤食は、若齢の好奇心が強い猫で多く見られるのでより一層注意しましょう。

ひも状のおもちゃを飲み込んだ猫のレントゲン写真。腸のちぢれ、腸管内にガスの貯留、内容物のうっ滞が認められました

おもちゃ選び

 注意したいおもちゃ

  • 飲み込めるサイズのおもちゃ
  • 中綿が入っていたり、細かいパーツが付属しているおもちゃ
  • かみ続けると破損する可能性があるおもちゃ
  • ひも付きのおもちゃ(特に猫)

 おもちゃを選ぶときは、大きさや素材に注意が必要です。サイズは犬猫の口に全体が入らない大きなものを選ぶといいでしょう。かむとつぶれるゴムボールなどは飲み込んでしまう危険性があるので気をつけましょう。

 細かいパーツがついているもの、簡単に壊れるものもNGです。また、壊れてしまったおもちゃはすぐに処分してください。

まとめ

 “誤飲”は時に、犬猫の命を奪うこともある怖いハプニングです。おもちゃ選びは、異物誤飲対策の予防としてとても重要です。愛犬・愛猫が苦しむことがないよう、気をつけていきましょう。

【前の回】夏到来!注意したい熱中症 症状と対策、なりやすい犬種や猫種は?

石村拓也
獣医師。東京農工大学農学部獣医学科卒業。横浜市内の動物病院などを経て、2017年3月にシリウス犬猫病院開院。川崎市獣医師会、日本獣医皮膚科学会、耳研究会、日本獣医輸血研究会所属。

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この連載について
獣医師さんから
病気やトラブルから犬や猫を守るため、飼い主さんにぜひ知っておいてほしい知識を、シリウス犬猫病院院長の石村拓也獣医師が教えてくれます。
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