犬嫌いの郵便配達員と少年、捜査犬のドタバタ劇に爆笑 いま観たい映画『スポット』

 コロナ禍で緊急事態宣言が延長され、ステイホーム期間が続行中の憂鬱(ゆううつ)な日々ですが、そんなときこそ、思い切り心から笑えてハッピーになれる犬映画はいかがでしょうか? 

 今回ご紹介する映画は、ディープな笑いが満載の爆笑コメディー『スポット』です。

FBI捜査犬が活躍するコメディー映画

 タイトルロールを務めるわんこは、厳しい訓練を受けてきたFBIの捜査犬で「11号」と呼ばれています。ブルドッグとマスチフの交配種であるブル・マスチフですが、ブサカワで愛嬌(あいきょう)たっぷり。飼い主であるFBIの捜査官マードッグ(マイケル・クラーク・ダンカン)は、有能な11号が手柄を立てる度に、「お前は世界一の捜査犬だ」と大喜びです。

 ある日も、マードックたちとマフィアの密輸捜査に赴いて大活躍した11号。確かな嗅覚(きゅうかく)でブツを見つけ出しただけではなく、抵抗しようとしたマフィアのボスに立ち向かい、なんと彼の急所をパクリ! ボスは悶絶し、そのまま病院送りとなったようです。

 ボスは『ゴッドファーザー』のドン・コルレオーネさながらの風格がある分、急所をやられたトホホぶりが最高です。なんとボスは、2つあるタマのうち1つを11号に食いちぎられたようで、復讐心をメラメラと燃やすことに……

犬が苦手な主人公ゴードン

 そんな11号に「スポット」という名前をつけたのは、のちに出会う本作の主人公、ゴードンです。演じるデイヴィッド・アークエットは、芸能一家であるアークエット家の末っ子で、『スクリーム』シリーズなどで知られる人気俳優ですが、今回は犬を相手に、絶妙なコメディアンぶりを発揮しています。

 郵便配達員であるゴードンは、大の犬嫌いですが、なぜか彼の配達エリアは、犬を飼っている家が並ぶ「ブリーカー通り」。彼は、毎日犬たちにビクビクしながら、郵便受けに郵便物を入れようと、あの手この手を使って大奮闘しています。

 ペットとして飼われているジャックラッセルテリアやチャウチャウ、フレンチブルドッグなど、さまざまな犬種の犬と格闘するゴードンがなんともおかしいのです。

郵便配達員と少年 でこぼこコンビも見もの

 そんなゴードンがある日、意中の女性ステファニーに頼まれ、息子のジェイムズを預かることになります。それは、お願いしていたベビーシッターにバトンタッチするまでの約束でしたが、なんとベビーシッターが食中毒となり、そのままジェイムズを自宅に連れていくことに。

 こうしてゴードンとジェイムズのでこぼこ生活がスタートしましたが、そんななか、マフィアの殺し屋に狙われ、逃走中の11号とばったり出くわします。11号のことがすっかり気に入ったジェイムズは、ゴードンの家で11号を飼い始めます。

 ゴードンは11号に「スポット」という名前をつけますが、ブチもないのにスポットという点からも、ゴードンがいかに犬に興味がなく、適当に名前をつけたのかがうかがえます。

 スポットがやってきて心躍らせるジェイムズですが、普通の犬のようにボールやフリスビーを投げても、全く無反応。なぜなら、FBI捜査犬は遊びが厳禁で、飼い主と楽しくふれあうことを禁じられていたからです。

 でも、根気よくスポットと交流を深めていくジェイムズの熱意と愛情にスポットがほだされていき、少しずつ心を開いていきます。

笑いだけでなく、愛情深いクライマックス

 全編通して、笑いのトラップが仕掛けられた本作。ゴードンとジェームズの迷コンビや、おまぬけなマフィアのボスと、どこかズレている殺し屋たちのちぐはぐなやりとりはもちろん、ヒロイン的な存在であるステファニーでさえ、芸人並の体当たりギャグ(!?)を見せます。

 クライマックスでは、殺し屋やマフィアのボスと対面したゴードンたちが、ショッピングセンターで大暴れするという怒濤のような展開となるのですが、なんだか拍手したくなるほど。

 また、本作が多くの人々に愛されるのは、笑いだけではなく、ハートウオーミングなメッセージも含まれているからでしょう。

 そして、実は親がいなかったゴードンと、母親から厳しくしつけられてきたジェイムズ、FBI仕込みの捜査犬11号という、どこか温かい愛に飢えていたトライアングルに、かけがえのない家族の絆が生まれていきます。

 つまり本作は、それぞれが自分に欠けていたものを埋め合い、幸せになるチャンスをつかんでいくという愛情深い物語でもあります。

 押し寄せる感動のフィナーレとともに、最後を締めくくるひと笑いのオチも用意された1作。コロナ禍で気分を上げたい時のカンフル剤としておすすめです!

スポット
監督:ジョン・ホワイトセル 出演:デイヴィッド・アークエット  マイケル・クラーク・ダンカン アンガス・T・ジョーンズほか

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山崎伸子
ライター、ときどき編集者、カメラマン。映画やドラマのインタビューやコラムをメインに執筆。趣味は旅行、酒場&酒蔵巡り、パンダグッズ集め。好きな映画と座右の銘は『ライフ・イズ・ビューティフル』。実家に帰るとやんちゃなわんこが二足歩行でお出迎え。

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