リュック・ベンソン監督作品やカンヌで賞をとった犬も 犬猫好き必見の公開中映画3選

© Photo: Shanna Besson - 2023 – LBP – EuropaCorp – TF1 Films Production – All Rights Reserved.

 犬や猫たちが人間顔負けの存在感を発揮しているおすすめ映画たち。今回は犬たちが準主役の『DOGMANドッグマン』や、カンヌ国際映画祭のパルム・ドッグ賞受賞作『落下の解剖学』、そして監督の愛猫が出演した『ソウルメイト』の珠玉の3本をご紹介。

孤独な主人公の家族は献身的な犬たち

 1本目は、『レオン』(94)のリュック・ベッソン監督によるバイオレンスアクション映画『DOGMAN ドッグマン』です。まさにタイトルどおり、バラエティーあふれる犬種の犬たちをフィーチャーした、かなりの犬推し映画となっています。

 本作の主人公は、犬小屋で育てられた孤独な青年ダグラス。“ドッグマン”と呼ばれる彼は、犬たちの愛に何度も助けられながら、生きていくために犬たちの手を借り、犯罪にも手を染めていきます。

 脚本もベッソン監督が手掛けていますが、なんと実話からインスパイアされた物語だそうで、見ていくうちに身につまされるものがありますが、それを救っているのが犬たちの存在です。

 孤独な主人公“ドッグマン”役のケイレブ・ランドリー・ジョーンズのヒリヒリするような演技もすさまじいのですが、彼に献身的な家族である犬たちの名演技に、心を射抜かれそう。ジャックラッセルテリアにドーベルマン、シェパードなど、様々な犬種が登場するので、きっと“推し犬”が見つかるのではないかと。

© Photo: Shanna Besson - 2023 – LBP – EuropaCorp – TF1 Films Production – All Rights Reserved.

 感心させられたのは、主要キャラとなる犬たちには、絶妙な見せ場が用意されている点です。

 冒頭のフリップで「犬は人間の美徳を全部持っている」と出ますが、映画を見終わったあとで大いにうなずきつつ、深い余韻に包まれます。

 本作では、ドッグトレーナーのマチルド・ドゥ・カグニーらスタッフ陣の力も非常に大きいのです。ベッソン監督から絶大な信頼を得た彼女は、フランス国内で動物のキャスティングを行う会社とも連携し、このビッグプロジェクトを成功させました。

 さらに犬がかみついた際のあごの力をコントロールさせる“バイト・トレーニング”の専門家であるソファーヌ・タレフェも参加。俳優が大声を出したり、歌ったりと、激しい動きをしても犬たちが驚かないようにする環境を整えて撮影されたとか。

 劇中では、人間と犬たちの激しいアクションシーンもありますが、これらを手掛けたのは、アラン・フィグラルツ率いるスタント・コーディネーターのチームです。犬がアクションで動くコースを設定する“ドッグ・リリース”という殺陣を取り入れ「俳優の代わりにかまれる役目はもちろん、ケーブルでつるされ、のどにかみつかれそうになるシーンも担いました」と語っています。

 また、ドゥ・カグニーも俳優と犬たちとを慣れさせるべく奮闘したそうですが「ケイレブは3日にわたって犬たちと過ごし、トレーナーの仕事についても慣れてくれました。彼は好奇心旺盛で、犬たちと熱心に準備をしてくれました」と、主演のケイレブのことをたたえていました。

 そのかいあって、映画は素晴らしい犬映画に仕上がっていますので、ぜひその雄姿を見ていただきたいです。

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『DOGMAN ドッグマン』は公開中
公式サイト:https://klockworx-v.com/dogman/
脚本・監督:リュック・ベッソン
出演:ケイレブ・ランドリー・ジョーンズほか
配給:クロックワークス
©Photo: Shanna Besson - 2023 - LBP - EuropaCorp - TF1 Films Production – All Rights Reserved.

カンヌでパルム・ドッグ賞に輝いた名犬

©2023 L.F.P. – Les Films Pelléas / Les Films de Pierre / France 2 Cinéma / Auvergne‐Rhône‐Alpes Cinéma

 2本目にご紹介するのは、第76回カンヌ国際映画祭で優秀な演技を披露した犬に贈られるパルム・ドッグ賞に輝いた『落下の解剖学』。映画を見れば、その賞に値する犬の熱演にほれぼれしてしまいます!

 ちなみに犬だけではなく、作品自体も非常に高い評価を受けていて、同映画祭では、最高賞のパルム・ドールを、第81回ゴールデン・グローブ賞では脚本賞と非英語作品賞を、そして第96回アカデミー賞でも見事、脚本賞に輝きました。

 人里離れた雪山の山荘で、ある男が転落死します。最初は事故だと思われましたが、次第にベストセラー作家である妻サンドラ(ザンドラ・ヒュラー)に殺人容疑が向けられます。しかし、現場に居合わせたのは、視覚障がいのある11歳の息子ダニエルのみ。事件の真相を追っていく中で、夫婦の秘密やうそが暴露されていきます!

 パルム・ドッグ賞を受賞したのは、ダニエルといつも行動を共にしている“スヌープ”役の名犬です。スヌープはダニエルと一緒に雪山で棒遊びをしたり、危険な崖を歩く時もしっかりとサポートしたりする介助犬ですが、まさに“にこいち”な感じの絆を大いに感じます。

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 パルム・ドッグ賞といえば、『カールじいさんの空飛ぶ家』(01)やヴィム・ヴェンダース監督『パターソン』(16)、クエンティン・タランティーノ監督『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』(19)など、そうそうたる“スター俳優犬”たちが受賞している名誉ある賞です。

 同賞の受賞に関してジュスティーヌ・トリエ監督は「私たちはスヌープに丁寧に向き合ったし、スヌープもすごくいい仕事をしてくれました。最初から準備万端な状態で到着してくれました」と心から称賛しています。

 本当に迫真の演技を見せているスヌープですが、映画製作陣たちは今回の撮影にあたり、動物保護に関する法律を順守したそうです。フランスとヨーロッパの法制度は、この分野で高度な規制がされており、スヌープは撮影中、常時トレーナーと飼い主に囲まれ、心理的、倫理的に必要なケアを施されていたとか。

 スヌープはかなり重要な役どころだったから、クリエーティブ・チームは、撮影現場の誰一人としてスヌープを傷つけないような安全な環境を作ることに細心の注意を払ったそうです。

 脚本賞の受賞作ということで練りに練られたストーリー展開が秀逸。登場人物の数だけ様々な真実があぶり出されていく中で、時には人間よりも冷静に現実を見ている名犬スヌープ。そのしっかりとした目線も非常に印象的な1本です。

『落下の解剖学』は公開中
公式HP:gaga.ne.jp/anatomy
監督:ジュスティーヌ・トリエ
脚本:ジュスティーヌ・トリエ、アルチュール・アラリ
出演:ザンドラ・ヒュラー、スワン・アルロー、ミロ・マシャド・グラネール、アントワーヌ・レナルツほか
配給:ギャガ
©2023 L.F.P. – Les Films Pelléas / Les Films de Pierre / France 2 Cinéma / Auvergne‐Rhône‐Alpes Cinéma

監督の愛猫が“少女たちの出会いの証人”に

©2023 CLIMAX STUDIO, INC & STUDIO&NEW. ALL RIGHTS RESERVED.

 最後に紹介するのは、第93回アカデミー賞国際長編映画賞にノミネートされた『少年の君』(19)が高い評価を受けた香港のデレク・ツァンによる単独監督デビュー作『ソウルメイト/七月と安生』(16)をリメークした韓国映画『ソウルメイト』です。こちらは、犬ではなく愛らしい猫が登場する愛猫家にプッシュしたい1本となっています。

 本作の舞台は韓国の済州島。小学生時代に出会ったハウン(チョン・ソニ)とミソ(キム・ダミ)は、性格も価値観も育ちも違うのに意気投合し、無二の親友となります。ところが17歳の夏、男子生徒ジヌ(ピョン・ウソク)が関わったことで、2人は疎遠になってしまいます。そして16年後、ある重大な秘密が明かされることに……。

 人気韓国ドラマ「梨泰院クラス」のキム・ダミがミソ役を、「ボーイフレンド」のチョン・ソニがミソの親友ハウン役を、「力の強い女 カン・ナムスン」のピョン・ウソクが2人の運命を大きく左右するジヌ役を演じています。そして猫が演じたのは、ミソとハウンの大切な友だちとなる“母さん”役です。

 メガホンをとったミン・ヨングン監督によると「ミソとハウンの初めての出会いの証人になってくれる存在」となるのが母さんだとか。母さんはずっと2人のそばにいてなにげない日常をほのぼのと彩り、彼女たちにとっての大切な思い出の一部となります。

 そんな母さん役に抜擢(ばってき)されたのは、なんとミン監督が実際に飼っている愛猫“マルちゃん”。もしかして普段から監督の愛ある演出を受けているのでしょうか!? 劇中では無防備でナチュラルな表情を見せ、猫好きのハートをくすぐります。

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 幼少期の頃は、お絵描きをするミソとハウンの前でスケッチモデルを務めたり、久々に再会したミソになでなでしてもらってうれしそうな表情をのぞかせたりと、実にキュートなマルちゃんのしぐさから目が離せません!

 とはいえ、マルちゃんとの映画撮影は決して簡単にはいかなかったようで、撮影初期ではマルちゃんだけではなく、共演するキャストやスタッフ陣もかなり戸惑ったとか。そこでミン監督はその悩みを解消すべく、非常に細かい部分まで気を配った“マルちゃんのためのルール”を作ったことで、現場は笑顔と活気に満ちた温かいものになったそうです。

 現場で皆からたっぷりの愛情を注がれたマルちゃんは、その期待に応えてミソとハウンのお友だち役をしっかりと全う。まさに“助演猫賞”を差し上げたくなるほど、いい味を出してくれました。

 以上、この3本は犬猫好きにはたまらない映画であると共に、クオリティーもお墨付きなので、ぜひ映画館でご覧いただきたいです!

『ソウルメイト』は公開中
公式サイト:https://klockworx-asia.com/soulmatejp/
監督:ミン・ヨングン
出演:キム・ダミ、チョン・ソニ、ピョン・ウソクほか
配給:クロックワークス
©2023 CLIMAX STUDIO, INC & STUDIO&NEW. ALL RIGHTS RESERVED.
山崎伸子
ライター、ときどき編集者、カメラマン。映画やドラマのインタビューやコラムをメインに執筆。趣味は旅行、酒場&酒蔵巡り、パンダグッズ集め。好きな映画と座右の銘は『ライフ・イズ・ビューティフル』。実家に帰るとやんちゃなわんこが二足歩行でお出迎え。

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