卵のため飼育されるウズラの過酷な一生 狭く低いケージの中で羽が擦り切れボロボロに

ウズラ
バタリーケージから保護されたウズラ

 写真は昨年保護された「廃ウズラ」です。廃ウズラとは、卵を産ませるために飼育されていたウズラが、産卵率が落ちる生後1年ほどで殺されるときの呼び名です。

 その日殺される予定だった2羽のウズラ。引き取った時の体重はそれぞれたったの100gでした。手のひらにすっぽり入ってしまう大きさです。

 一部のスーパーではウズラの生卵や水煮などが今も売られており、彩りのためやほんの小さな満足のために料理に入れられています。その卵を産まされるウズラがどんな飼育をされているか、知っている人はほとんどいないのではないでしょうか。実は、私たちも知りませんでした。

小さすぎるウズラのバタリーケージ

 ウズラは鶏と同じように、金網でできた狭くなにもやることのないバタリーケージで飼育されています。保護されたウズラたちをみれば、その過酷さがわかります。

 生まれてから1年のウズラたちはボロボロでした。

 廃ウズラたちはみんな、写真のように羽がボロボロで擦り切れて地肌が見えてしまっています。

 ウズラは、孵化して40~50 日齢で卵を生み始めます。産卵期にウズラが収容されるバタリーケージは、1羽当たり60~70平方cm程度(※1)、つまり8cm×8cm程度のスペースです。一つのケージに30羽ほど詰め込まれ、そのケージは8~10段も積み上がっています。

 さらにひどいのは、ケージの高さ。通常12cm(※2)程度です。立って首を少し伸ばせば天井にぶつかるほどの低さで、低くしている理由は「ジャンプできないように」だといいます。

 野生ウズラは「渡り」をするほど飛ぶ能力の高い鳥であり、「家畜化」されたウズラもまた飛ぶ能力が高いのです。

ウズラ
バタリーケージから保護されたウズラ

 野性が強く残っており人なれしにくく、畜舎に人が入ってくるとおびえて羽をばたつかせて飛びはねます。鶏でもケージにぶつかる部分は羽毛が剝げ落ちてしまいますが、それはウズラも同じです。ウズラは頭を常時ぶつけている可能性が高いのです。

 小さなウズラを多数、高さ12cmのケージに過密な状態で飼育していれば、奥で衰弱したり死んだりしていても見つけることは難しいでしょう。

小さな体から250個もの卵

 本来は1年に7~12個程度しか卵を産まないウズラですが、品種改変によって、この小さな体から、体重比8%の卵を250個も産まされています。

 まさに命と体を削った結果が、店頭で売られているウズラの卵、お弁当で彩りを添えているウズラの卵なのです。

ケージの中のウズラ
バタリーケージで飼育されるウズラ(2019年、台湾、Jo-Anne McArthur / We Animals)

保護された2羽以外の廃ウズラたちは屠殺されました。ウズラの屠殺方法は、

  • 袋に詰めて窒息死、圧迫死
  • 水に沈める
  • 背骨を折る
  • ガス殺

 です。違法ではないかと私たちは思うのですが、こうやって殺されています。

動物たちの苦しみの色

 日本のウズラの卵生産は、年々着実に減少していっています。それでもまだ、約440万羽が毎年犠牲になっています(2018年)。

 どんなに体が小さくても、私たちと同じように強烈な個性を持っていて、痛みを感じ、苦しみを感じます。

 この小さな小さなウズラの卵は、本当に私たちの生活に必要なものなのでしょうか。

 黄色い彩りを添えてくれる卵は、これまでは幸せに見える色だったかもしれません。しかし、卵の黄色の色は、鶏にしても、ウズラにしても、動物たちの苦しみの色だということを、どうか忘れないでください。

 今、2羽の保護ウズラは、新しいお家で少しずつ本来の姿を取り戻しつつあります。はじめて体験する広くて明るい世界におびえながらも、地面を歩き、砂浴びをし、羽を伸ばし、日光浴をするといった当たり前のことを毎日体験しています。

 そして、剝げていた頭や体には、やわらかな羽毛がちゃんと生えて、美しい鳥の姿を取り戻しています。

(※1※2 愛知県ウズラの飼養衛生管理マニュアル2009年)

 (次回は4月12日に公開予定です)

【前の回】 養鶏業者の現金提供疑惑 倫理的な責任の放棄と利益優先は、鶏たちの苦しみに直結する

認定NPO法人アニマルライツセンター
1987年設立。動物たちの苦しみを効果的になくし、動物が動物らしくいられる社会を目指す。食べ物や衣類、娯楽や実験に使われる動物など人の支配下に置かれている動物を守る活動と、エシカル消費の推進に取り組んでいる。
この連載について
from 動物愛護団体
提携した動物愛護団体(JAVA、PEACE、日本動物福祉協会、ALIVE)からの寄稿を紹介する連載です。
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