トイレの失敗が増えた老犬 オムツは着ける?メリット・デメリットは?【獣医師監修】

おむつを着用している犬
オムツはいつ着け始めるのがいいの?

 愛犬が若いうちにしておいた方がいいことってあるの? 年をとってきた愛犬の変化に戸惑う、正しいケアができているか不安……など。意外に知らない犬のこと、多くありませんか?快適な老犬ライフを送るために知っておきたい老年期について、毎月第3火曜日にお届けします。

 第8回のテーマは「オムツ」について。苅谷動物病院グループ総院長の白井活光獣医師にお話を伺いました。

トイレのミスが増えたら着用 理由も理解してあげて

 老犬がオムツを使い始めるタイミングは、決められたトイレ以外で排泄(はいせつ)してしまう頻度が増えてきた時です。高齢になると、「本来締まっているはずの膀胱(ぼうこう)の出口が緩んで」「認知症が進んでトイレの場所がわからない」などの理由で、トイレ以外の場所で排出してしまうことが考えられます。

 他にも、腰の神経の機能などの低下や、腎臓が悪くなって排泄量が増えることもあるので、ホルモンや腎臓の病気などもうたぐってください。

 おもらしをするようになったから「老化なのね」と済ませてしまうのではなく、まずは獣医師に診察してもらって、愛犬の身体的異常がないかを診てもらうことをおすすめします。

オムツを着けるメリット・デメリット

 オムツを着けたときの飼い主にとってのメリットは、生活環境が汚れなくて済むのでストレスが軽減できるということでしょうか。デメリットは、費用がかさむことや、愛犬の肌のケアが必要となるので手間が加わることです。

 愛犬にとってのメリットは、トイレを失敗して怒られずに済むこと。デメリットは、オムツを着けると不潔になりやすいため蒸れたり、尿で肌荒れしたりすること。また、オムツの中で排便した時には、便が付きっぱなしで不衛生になってしまうことです。

おむつを着用している犬
愛犬も飼い主さんも快適に過ごせる工夫が大切

剃毛をして清潔に かぶれにはワセリン

 一般的なオムツは、6時間くらいを目安に交換が必要です。ワンちゃんの排尿の1日量は体重1キロあたり30ccくらいなので、体重5キロのワンちゃんだったら、1日の排尿量が150cc、それを4で割ったものをオムツが吸収できると考えます。

 また、オムツが尿を吸収できる容量を超える前に替えてあげれば、擦れやこすれが少なくなります。もしオムツかぶれがあった場合は、ワセリンがおすすめです。皮膚に直接塗ってあげるのですが、尿もはじいてくれます。

 オムツを着け始めたら、排泄器官の周りの毛は剃って清潔を保てるようにすることも大切です。女の子だと内股のあたりや、肛門(こうもん)周りの毛が多いところですね。男の子だと肋骨(ろっこつ)の手前くらいまで毛を剃っている子もいます。

 尿でぬれる範囲は洗いやすいように、かぶれにはワセリンを塗りやすいように、必要なところの毛を剃ってあげてください。

おむつを着用している犬
オムツには小型犬用~大型犬用のサイズがある

清潔に保ち着用させれば オムツは不快ではない

 服を着るのが嫌いなワンちゃんは、オムツを不快に感じるかもしれませんが、多くのワンちゃんはオムツを受け入れるように思います。飼い主さんが定期的にオムツを交換してあげられるなら、オムツはワンちゃんにとって不快ではないようです。

 病院に来るワンちゃんで、歩けない子は特にオムツを着けている傾向があります。逆にきちんと歩ける子は、あまりオムツをつけていませんね。認知症が進んでぐるぐる回っているような子は、歩けてもオムツはつけている子はいます。

 体形によってオムツが取れやすい子がいるので、その場合は、洋服の裾とオムツをサスペンダーで挟み、外れないようにしていることが多いです。オムツのテープをきつくするのであれば、肌にオムツの痕が付いていないか、男の子ならおちんちんが赤く擦れていないかなどを確認して調整しましょう。

長時間の留守番時は?

 愛犬に長時間の留守番をさせる場合は、オムツを着けっぱなしになっても仕方ありません。もし、着けっぱなしで留守番させることに抵抗がある場合は、愛犬をゲージに入れるのもひとつの手段です。便をしたら、ゲージ内がぐちゃぐちゃになることはありますが、生活環境を清潔に保つためにも必要です。

愛犬の排便の時に一緒にいられれば、飼い主さんなら見ていてわかると思うので、そのタイミングでオムツを取って排便させてあげるほうが衛生的ですね。

 また、散歩の時にしか排泄をしない習慣の子は、歩けなくなっても外に連れて行って排泄させる飼い主さんもいらっしゃいますよ。

おむつを着用している犬
オムツかトイレシート、愛犬に合うのは……?

寝たきりの老犬 オムツかトイレシート、どっちがいい?

 愛犬が寝たきりになりオムツをしないでトイレシートを敷いて対応する場合、男の子の場合は、肌や毛に尿が付かなければ、それでもいいのではないかと思います。

 女の子の場合は、陰部から出た尿で腿やお尻がぬれてしまいます。オムツならピンポイントで吸収して体に付かないので、着用させてあげるほうがいいですね。

 便は別に考えましょう。寝たきりでオムツの中で便をしてしまうと、どうしても不衛生になってしまいますよね。肛門を刺激して排泄介助をしている飼い主さんもいらっしゃいますが、オムツを着けっぱなしにするのか、外すのか、愛犬と向き合って「その子のベストを考えてあげる」ことが大切です。

 排泄介助については、次回また詳しくお話させていただきます。

監修:白井活光
苅谷動物病院グループ総院長。獣医学博士。1998年日本大学大学院卒業。同グループ「三ツ目通り病院」や「葛西橋通り病院」の院長を歴任。2015年から現職。日本臨床獣医学フォーラム専務理事。専門分野は総合臨床。

【関連記事】フードは何歳から切り替える? 健康に長生きしてもらうために考えたい、老犬の食事

岡山由紀子
某雑誌編集者を経て、2016年からフリーのエディター・ライターとして活動。老犬と共に暮らす愛犬家。『人とメディアを繋ぎ、読者の生活を豊かに』をモットーに、新聞、雑誌などで執筆中。公式サイト: okayamayukiko.com

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