フードは何歳から切り替える? 健康に長生きしてもらうために考えたい、老犬の食事

 愛犬が若いうちにしておいた方がいいことってあるの? 年をとってきた愛犬の変化に戸惑う、正しいケアができているか不安……など。意外に知らない犬のこと、多くありませんか? 快適な老犬ライフを送るために知っておきたい老年期について、毎月第3火曜日にお届けします。

 第7回のテーマは「老犬の食事」について、苅谷動物病院グループ総院長の白井活光獣医師にお話を伺いました。

何歳でも質のいいペットフードを選ぶ

 ペットフードは、ペットが必要な栄養を摂取できるように考えられ作られたものです。大手の会社が出している「総合栄養食」と記載されたペットフードであれば炭水化物、タンパク質、脂質、ミネラル、ビタミンを網羅しているはずです。

 ペットフードの選び方としては、まずはご自身のペットの体質をよく理解してください。皮膚が弱い子用、アレルギー用、胃腸が弱い子用など多くの種類があります。例えばタンパク質の材料として、鶏肉、牛肉、豚肉、魚など種類が色々あるので、愛犬の体質を知って、その子にあったペットフードを選ぶということですね。特異体質でないのであれば、信頼できるフード会社が出しているペットフードを選ぶといいと思います。

 今はインターネットなどで、「オーガニック」「無添加」などと表記されたペットフードが売っていますが、添加物が入っているペットフードでも、最近はより体に負担がかからない添加物ものに変わってきています。

「発がんの可能性がある」などと言われ、添加物を敬遠している飼い主さんがいらっしゃると思いますが、一般に売られているものでも、添加物の量としてはかなり少量なので、それが直接発がん性物質として働く可能性は低いです。

 逆にインターネットで買える無添加のものが栄養バランス的に満たしているのか、という問題もあるかと思います。アメリカの「AAFCO」(米国飼料検査官教会)という栄養を審査する機関の基準を満たしているものであれば与えていいと思います。

犬とごはん
フード選びは、まず愛犬の体質を知ることが大事

年齢とともにペットフードを変えていく

 高齢になってきたら、若いころに食べていた食事とは内容を変えるべきです。体の機能、消化器官の機能、運動機能も変わってきますし、それに見合った食事が必要です。人間と一緒ですね。

 大切なのは、その子に必要なカロリーに合わせることと、効率よくカロリーを取れるようにすることです。「老犬用」「10歳以上用」など、ペットフードは年齢によってわかれているものが多いので、選ぶひとつの基準にしてもいいと思います。

 ただ、15歳を過ぎた超高齢になると、どの子も何かしらの持病を持っていると思いますし、食べ方、口や舌の使い方も変わってきますので、トータル的に考えて食事をさらに変えていく必要があります。

 愛犬の好みは飼い主さんが一番わかっていると思いますので、「こうやったら食いつきがいい」「便の状態がいい」など、様子を見て決めていただければいいかと。あとは、定期的な健康診断の際に、肝臓、心臓、膵臓(すいぞう)などの機能をみて、獣医師に相談しながら食事の内容を考えていくことをおすすめします。

犬とドッグフード
愛犬の好みや便の状態を理解してあげましょう

消化機能の判断は、便の状態と食べる量

 老犬で「新鮮なものでないと食べなくなった」ということもあります。温かいもの、調理してすぐのものを好むようになる子など。犬は味より匂いで食べ物を判断していますので、食いつきがよくて栄養的に問題ないのであれば、人間の食べ物でも大丈夫です。

 しかし、食いつきがいいから栄養が足りているか、といえばそうではないですね。例えば、総合栄養食ではない一般食と書かれた缶詰のペットフードだと、繊維質が足りず、腸によくなかったりする可能性もあります。一般食は「おかず」なので、総合栄養食と一緒に食べさせるものです。表示をきちんと見て判断してください。

 ペットの食事は、若いときからきちんと考えるべきですが、胃腸の働きが低下するのは一般的に老化が始まる8歳以降です。「以前は大丈夫だったけど、同じ食事をあげているのに便の状態が悪くなった」と飼い主さんが思ったら、食事の内容や形状を変えるタイミングかもしれません。

 胃腸の働きを知るには、便を見るとわかりやすいですね。食事がその子に合ってない時は、便が柔らかくなったり、色が変わったり。いい状態はベーシックなこげ茶で、形がそれなりの形で、ペットシーツの上に便の跡がつくかつかないかくらい。便は消化機能のバロメーターですね。

 老犬になると、ドライのペットフードを胃の中で消化して腸に運ぶ作業が不得意になってくることもあります。その場合は、ペットフードをふやかしたり、総合栄養食と記載されている缶詰を選ぶこともひとつの手です。

 胃腸の働きは「ちゃんとした量を食べられているか」「状態のいい便が定期的に出ているか」で判断することができます。

ご飯を待つ犬
いくつになっても食べることは大切

骨格と体重、運動量を考えて適正量を

 食事の適正量は、骨格と体重によって変わります。そのため必要カロリーを考えてあげる必要があります。老犬用ペットフードは、一般的に少ない量で高カロリーを摂取できるようになっているので、食べる量ではなく摂取できるカロリーを考えましょう。

 また、老犬になると、粗悪な加工品に対しての対応能力が低くなるので、おやつを上げる際には、消化のいい良質なものを適量あげるのが望ましいです。

 愛犬が寝たきりになった場合、食事量は変えてください。寝たきりだと消費カロリーが少ないので必要カロリーが減ってきます。体重の増減を見て量を調整する必要があります。

 今はインターネットなどでも、犬の適正カロリーが簡単に調べられます。その子にあった適切な食事を、適量あげること。小さいころから食事には気をつけ、老犬になったら、食事内容を見直してあげること。愛犬に長生きしてもらえるよう、飼い主がきちんと考えるようにしましょう。

監修:白井活光
苅谷動物病院グループ総院長。獣医学博士。1998年日本大学大学院卒業。同グループ「三ツ目通り病院」や「葛西橋通り病院」の院長を歴任。2015年から現職。日本臨床獣医学フォーラム専務理事。専門分野は総合臨床。

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岡山由紀子
某雑誌編集者を経て、2016年からフリーのエディター・ライターとして活動。老犬と共に暮らす愛犬家。『人とメディアを繋ぎ、読者の生活を豊かに』をモットーに、新聞、雑誌などで執筆中。公式サイト: okayamayukiko.com

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