猫は適応能力が高い? 「家には帰りたくない…」キャンピングカーに慣れるまで

子猫
今の我が家の長男坊、梵天丸もキャンピングカーで出かけた先(三重県!)で出会いました!

 今から20年ほど前。家庭の事情で犬1匹、猫4匹の多頭飼育になった私たちは、家も生活も多頭飼育に合わせて変えざるを得ない状況に。そんな中、彼らを連れて移動するためにキャンピングカーを購入したのでした。

それぞれに答えをみつけたらしい

 獣医さんのアドバイスを受けながら、5匹の動物家族をキャンピングカーに慣らす努力を続けて数カ月。初めて泊まりがけで出かけてみることにしました。

 万一のトラブルに備えて、目的地は関東圏内に。片道1時間半ほどの(かなりゆっくりペースで走ったので)ショートトリップです。

 目的地は埼玉県の、温泉と地ビールレストランが合体した施設。キャンピングカー乗りに人気のスポットです。

 できるだけ機会を見つけてはキャンピングカーに乗せて、近所を一回りするようにしてきたおかげで、心配したほど、犬も猫たちも騒ぎませんでした。

「近所を一周」のときのルートはほぼ決まっていたので、いつものルートを外れたとき、長老のアーサーが「ん?」と顔を上げて外を眺めました。

「あ。ちゃんと外の状況を把握してるんだ……」

 お散歩ルートを覚えている犬と違って、基本的に家から出さない猫は、どこを走ろうと理解しないだろうと思っていたのです。

 短いながらも、高速道路にも乗りました。当然、速度も変わるし見える景色も変わります。

 大丈夫かな…? 気になって後ろを眺めると、アーサーはソファの上で丸くなったまま。クリスとココのきょうだいはお互いの毛づくろいに集中しています。

 怖がりのディーナはソファの背もたれに香箱を組んでいましたが、背もたれ沿いにとことこと前方へやってきて、フロントガラスから外の景色を眺め始めました。

 この時、私が心配していたのは運転手(夫)です。パニックになった犬や猫が運転席、特に運転している足元に入り込んだらどうしよう。運転の邪魔になるような動きがあったら、すぐに止めなきゃ……。

 しかしその心配は杞憂(きゆう)でした。代わり映えしない景色に飽きたのか、ディーナさんはぴょん、とバンクベッド(運転席頭上の常設ベッド)に飛び上がりました。

 天井が低くて、まるでカプセルホテルのようなバンクベッドは、万年床のようなもの。ふとんはあるし、外の景色も見えないし、ディーナさんのお気に入りの場所でした。

「犬猫たち、どうしてる?」

 同じく気になっていたのか、夫が聞いてきました。

「止まった方がよければ早めに言って。サービスエリアに入れるから」

「大丈夫みたいよ。ディーナもバンクに上がったし、誰も吐いてないし」

「ワン!」

 くつろぐ猫たちをよそに、ネネはずっと目をキラキラさせて、尻尾をふりふり。まさに満面の笑みで、勢いよく返事してくれました。

遊ぶ猫
キャンピングカーはさながらワンルームマンション。初めこそ怖がっていた猫たちですが、家を変わらず、ふざけたりじゃれ合ったりするようになりました

車が気に入ったらしい「おうちに帰りたくない!」

 キャンピングカーに乗るようになると、すぐに同好のお仲間ができました。特に犬を連れて旅をしている人が多く、ネネにも新しい友達がたくさん!

 行ってよかったキャンプ場はどこ? 大型車が停めやすい公園は? 〇〇にはドッグランもあるよ、など、仲間からの口コミも大いに役立ちました。

 冷蔵庫がついているという特性を生かして、私たちは漁港を訪ねるようになりました。観光客向けに広い駐車場を用意している漁港では、前夜のうちに到着してもキャンピングカーを歓迎して停めさせてくれました。

 夜明けと同時にセリを見せていただいたり(もちろん許可をいただいて!)地魚のおいしい食べ方を教わったり。車に動物がいるとわかると、廃棄処分にする小魚やアラを差し入れてくださる方も。

 普段、犬や猫にあまりおやつはあげないようにしている我が家ですが、旅先だけは「特別ボーナス」を用意するようになりました。

 人間の都合で引っ張りまわすんだもの、少しはいい思いもできなくちゃね。というわけです。

「なんか、お前たちのほうがうまそうだな……」

 ガツガツと新鮮な魚に食いつく猫たちを眺めながら夫がつぶやきます。

 朝、揚がったばかりの、目の澄んだ小魚たちです。ここでもクレート(ハードタイプのキャリーケース)が大活躍して、各自自分の「個室」でお魚を満喫。奪い合いになることもありません。

キャンピングカー
山のキャンプ場に出かける前に、必ず漁港に立ち寄って新鮮な魚介を仕入れる。私たちの旅の定番ルートになりました

 全員がすっかり満足したところで、クレートの扉をあけて「お解き放ち」。各自思い思いの場所で(ソファだったり、ベッドだったり、外が見える窓際だったり)でくつろぎます。

 自宅では布団生活。朝になるとふかふかのお布団は片付けられてしまいます。ソファもないので、柔らかいところが少ないのです。

 キャンプから帰宅。荷物をまとめ、猫たちをクレートに誘導します。

「さあ、おうちについたよ。お疲れさま。おつきあいありがとうね」

 アーサーはジロリとこちらを一見しただけで、起きようとしません。クリスやココを抱きあげようとすると、枕や布団に爪を立てて抵抗します。

「えーなんで? おうちだよ。入ろうよ!」

 あんなにキャンピングカーを怖がってたくせに。考えてみれば、温かくてふかふかのソファがあって、飼い主がずっとそばにいてくれる車。自宅よりずっと快適なのかもしれません。

 それはそれで、飼い主としては複雑な思いがするのです。

寝る猫
とにかく一日中、柔らかいお布団で寝られるので、猫には大好評のキャンピングカー。夏も冬も、エアコンやヒーターの吹き出し口をいつの間にか突き止めて、一番快適な場所に陣取るのはさすが!

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浅野裕見子
フリーライター・編集者。大手情報出版社から専門雑誌副編集長などを経て、フリーランスに。インタビュー記事やノンフィクションを得意とする。子供のころからの大の猫好き。現在は保護猫ばかり6匹とヒト科の夫と暮らしている。AERAや週刊朝日、NyAERAなどに執筆中。

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