愛犬がもっと喜ぶ「ごほうび」をみつけよう 上手に選んで使うと犬とより仲良くなれる
愛犬をほめてもうれしそうじゃない、おやつをあげても食べない……と困っていませんか?あるいは愛犬ともっと仲良くなりたいと思いませんか?愛犬がもっと喜ぶ「ごほうび」を見つけてコミュニケーションに役立てましょう!
JAHA家庭犬しつけインストラクターの岡田友里香先生によれば、ごほうびを上手に使いこなせていない飼い主さんが多いとか。犬ともっと仲良くなるためのコツを知っておきましょう。
犬が本当に喜ぶごほうびを選んでいる?
そもそもごほうびとは「報酬」です。会社員にとっては給料やボーナスをもらうこと、称賛されることなどが報酬になります。それと同じように犬がもらって喜ぶもの、ほめられたと感じることを探しましょう。犬の「ごほうび=おやつ」と思いがちですが、飼い主さんにほめられたり好きなことをしたりすることもごほうびです。
ごほうびを使いこなせていない飼い主さんの中には、愛犬にとってうれしくないものを「これが好きに違いない」と決めつけてしまっている人もいます。思い込まずに愛犬の好きなもの・ことを改めて確認すること。ごほうびを上手に選び、使うための第一歩です。
ごほうびのバリエーションを増やすと、コミュニケーションが図りやすくなります。たとえばケーキが好きな人でも、ケーキを食べるより映画を観たいこともあるのと同じで、シチュエーションに合わせて犬がうれしいと思うもの・ことは変わるからです。
ごほうびには犬が生まれつき好きなものと、経験から学んで好きになったものがあります。ごほうびの主な種類を確認しましょう。
食べ物、行動、ほめ言葉…主なごほうびの種類
(1)食べ物(生まれつき好き)
ごほうびとして最も使いやすいのが食べ物。主食のドッグフードに加えて、ボーナスになるとっておきのおやつも用意しましょう。愛犬が好きな食べ物のランキングを作るのもよいアイデアです。
(2)なでる(生まれつき好き)
犬の横や下から手を伸ばしてやさしくなでるのがコツ。頭上から手を伸ばしてわしゃわしゃとされるのは苦手な犬が多いので要注意。ただし、愛犬の年齢や性格によってはごほうびとしては不向きなこともあります。たとえば子犬には手に甘噛みさせたり、シャイな犬には手を怖がらせたりする経験を積ませてしまう可能性があるので避けましょう。
(3)おもちゃ(生まれつき好き)
おもちゃもごほうびに使えますが、遊ばせた後は回収しなければいけないので、犬にとっては取り上げられたというちょっとマイナスな気持ちを残すこともあります。上手に使いこなせるよう、しつけ教室でテクニックを学びましょう。
(4)行動(生まれつき好き)
走る、においを嗅ぐ、あいさつをするなど、犬が好きな行動もごほうび。犬がよい行動をしたときにほめてから、「OK」「いいよ」「よし」などの声がけで好きな行動をごほうびとしてあげるのがポイント。
行動をごほうびに変えるためには、愛犬を観察して「いま、この子は何をしたいのか」と考えてみましょう。好きな行動を見つれば、それだけごほうびが増えます。散歩のときににおい嗅ぎに夢中でおやつを食べない……という犬にもおすすめ。
(5)ほめ言葉(経験で学んだ好き)
「おりこう」「いい子」とほめ言葉を言ってから食べ物をあげたりなでたりしていると、犬は「ほめ言葉が好きなもの・ことの合図なんだ」と経験から学び、ごほうびと認識するようになります。経験を積んでいない子犬にはほめ言葉が意味をもたないので、ごほうびにならないことも。ただし人に声をかけられたこと自体を喜ぶタイプもいます。
(6)トレーニング(経験で学んだ好き)
オスワリ、フセ、マテ、ゴロン、スピンなどのトレーニングを積むことで、「飼い主さんと一緒に何かをすること」が好きなごほうびになります。たくさん教えて楽しい勉強タイムをもちましょう。
日常のシーン別・ごほうびの使い分け方
普段の生活の中でよくあるシーンごとに、ごほうびの使い分け方をお伝えします。
部屋でくつろいでいるときに犬が近寄ってきたら
いつもすぐになでたり抱っこしたりしている場合、その前に「オスワリ」などの合図を犬に伝えて、できたらそのごほうびとしてなでたり抱っこしたりしましょう。
子犬にトイレトレーニングをするとき
子犬の排泄のタイミングでトイレシートを敷いたサークルへ連れて行きます。排泄できたらすぐにほめて食べ物をあげ、さらにサークルから出しておもちゃで遊びましょう。新しいことを教えるときは、ごほうびを立て続けに、100%必ずあげると覚えが早くなります。完全に覚えたらごほうびの頻度を減らして、「今回はもらえるか、もらえないか」とワクワク感をもたせるのがコツ!
散歩のときに飼い主さんを見て歩調を合わせたら
すぐほめ言葉をかけ、ポーチなどからおやつをタイミングよく与えましょう。リードを引っ張ることよりも、そばを歩いたほうがうれしいことがあると犬が覚えていきます。
公園に入る前に
アイコンタクトやオスワリの合図を出して、犬ができたら一緒に走って公園の中に入ったり、自由に園内を嗅がせたりします。ちょっとしたトレーニングをプラスするだけで、ごほうびのバリエーションを増やせます。
大好きな人にあいさつするとき
フレンドリーなタイプの犬なら、あいさつもごほうびになります。中・大型犬の場合は、跳びつくとあいさつができると学ばないよう、リードを跳びつけない長さに短く持ってあいさつをさせてあげましょう。
ごほうびに価値をもたせて「とっておき」にする
最後に飼い主さんのごほうびに関するよくある悩みと、解決方法を紹介します。
少食で食べ物への関心が低くておやつを食べない犬は、飼い主さんがおやつをあげすぎていたり、フードを置きっぱなしにしていたりするケースが目立ちます。
おやつの価値を高めるために、ごほうび以外ではあげないこと。たとえばケーキが好きな人も、ときどきしか食べられないからこそ、ケーキが特別な価値を感じるわけです。
他のごほうびも同じで、おもちゃを出しっぱなしにしないで片づける、散歩中のにおい嗅ぎを自由にさせない、といった飼い主さんの管理で価値を高めましょう。
おやつをあげると太りそう……という心配なら、犬にあげるおやつはやわらかくてちぎれるものを選び、1回の量を小指の爪程度の大きさにしましょう。量よりも回数を多くもらえるほうが犬の喜びが増えるうえ、体重管理もできて一石二鳥。においの強いチーズなど、犬の好みをリサーチしてランキングをつくることもおすすめです。
犬にごほうびをあげるタイミングは、ほめたいことをした0.2〜2秒以内といわれています。ほめ言葉の後にすぐごほうびをあげられるように、おやつをトイレの近くに置いたり、ポーチに入れて身に付けておいたりしましょう。おやつが近くにないときは、「おりこう」「いい子」とほめ言葉をかけて期待感を持続させて、おやつを取りに行きます。おやつがないときは、おもちゃで遊ぶ、部屋の中を自由にさせるといった好きな行動をごほうびにするのもテクニックのひとつです。
「ごほうびがなければ言うことを聞かない犬になるのでは?」という心配は無用!人が給料やボーナスにやりがいや喜びを感じるのと同じように、犬も報酬があるからこそ暮らしが豊かになります。さらに飼い主さんとのコミュニケーションも増え、より良い関係につながっていきます。
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- 監修:岡田友里香(おかだ・ゆりか)
- 公益社団法人日本動物病院協会(JAHA)認定家庭犬しつけインストラクター。認定動物看護師。神奈川・東京を中心に「出張しつけ相談With Dog」を主宰。川崎市のエアリーズ動物病院でパピークラスやプライベートレッスンも行う。しつけインストラクターと動物看護師の視点から、犬の負担が少ないしつけ方・トレーニング方法を伝えている。愛犬は柴犬のウィズ太(オス・8歳)。
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