犬が頭を使って夢中になる「知育トイ」もっと活用しよう! 愛犬の脳トレにもオススメ
愛犬が退屈そうにぼんやりしていることがありませんか? 犬の一日のスケジュールを見直してみると、食事と散歩、遊び以外の暇な時間のほうが圧倒的に多いことに気づきますよね。そこで活用したいのが「知育トイ」。犬が頭を使って夢中になり、充実した時間を過ごせます。
さらに体力を発散させたり、脳トレに活用したりすることもできるんです! JAHA家庭犬しつけインストラクターの西川文二先生に、知育トイについて伺いましょう。
知育トイと一般的なおもちゃ、違いは?
一般的なおもちゃの多くは、飼い主さんと一緒に遊ぶもの。引っ張りっこができるロープや、投げて遊ぶボールなどがあります。飼い主さんと楽しく遊ぶことで、コミュニケーションをはかれるのが特長ですね。
知育トイは、フードやおやつを中に入れられるようになっていて、犬が食べ物を取り出すために頭を使うおもちゃ。退屈しのぎに使ったり噛みたい欲求を満たしたりすることもできます。
愛犬に合わせて難易度を調整できるのも知育トイの便利なところ。子犬から老犬まで、全年齢の犬の脳トレにもなります。
犬が夢中になる知育トイの選び方・遊び方
西川先生がおすすめする知育トイは、なめる、かじる…といった単純な動作に加えて、鼻先や足を使って転がす、倒す、めくる…といったひと工夫が必要なおもちゃ。犬が「おいしいフードや食べ物を得る」という目的を達成するために手順を踏むことが知育につながります。
知育トイは大きく分けて、ひとり遊びタイプと、飼い主さんと一緒に遊ぶタイプの2種類があります。それぞれ初級から上級まで難易度順に遊ばせ方を紹介しましょう。
ひとり遊びタイプの知育トイ
犬が転がしたりしてひとりで遊ぶための知育トイです。留守番時などに与えるのに適しています。かじって壊してしまう犬もいるので、最初は危険がないか様子を見ましょう。
初級:犬が鼻を使って転がすだけで、穴からフードやおやつが出るしくみのボール。中のパネルで穴の大きさを変えて難易度を調整できます。「みえる! IQステップボール S」(ドギーマン)
中級:起き上がりこぼしのように転がしても戻るおもちゃは、足で倒したりすると穴から食べ物が出ます。転がす動作に加えてひと工夫が必要です。「コングワブラー」(コングジャパン)
上級:プラスチック製のボトルに入っているロープを押したり引いたりして動かすと、中の食べ物がこぼれ出ます。最初に飼い主さんと引っ張りっこをして遊べば、ロープを引くと食べ物が出ることを学習するでしょう。犬がしくみを理解しても取り出すまでに時間がかかる難易度の高い知育トイです。「ビジーバディ タグボトル」(リッチェル)
一緒に遊ぶタイプの知育トイ
飼い主さんが付き添って一緒に遊ぶボードゲームや宝探しゲームも知育トイになります。最初は犬が見つけやすいところにおやつやフードを置きましょう。
初級:ボードゲームのような知育トイは、鼻や舌でパーツをどけたり、回転させたりすると食べ物が出てきます。写真は難易度が低いタイプ。「ドッグ・スピニー」(ニーナ・オットソン)
中級:鼻や足を使って食べ物を探し当てるタイプは難易度がやや高め。西川先生のおすすめは、タオルを重ねて縫い合わせた作った知育トイ。隙間に食べ物を入れると、犬は鼻や足を使ってタオルをめくり探し当てます。(手作り。タオルを5枚ほど重ねて中心を太い糸で止める)
上級:部屋に隠した食べ物を探させる「宝探しゲーム」は、捜索範囲が広いほど難しくなります。食べ物をそのまま隠すと盗み食いにつながるので、「コング」というおもちゃの中に食べ物を入れて隠すのがポイント。「コング」(コングジャパン)
コング自体はなめる、かじる…といった単純な動作で食べ物を得られるので、西川先生の定義では知育トイとは言えませんが、「宝探しゲーム」に使えばひと工夫が必要な知育に変身します。
中に入れるおすすめの食べ物の一つはチーズ。コングの穴の内側にやわらかめのチーズを塗ります。入り口に近いところに塗ると少しずつなめとれます。
もう一つのおすすめはクッキー。コングを押して穴を平たくしてからクッキーを入れると、なめたりかじったりして少しずつ食べられます。厚めのクッキーのほうが途中で割れることなく長く楽しめます。
これらの食べ物を入れたコングを部屋のカーテンの裏やソファの下などに隠して探させます。最初は犬に隠すところを見せて、ゲームのルールを理解したら見えないようにこっそり隠しましょう。
いつも同じところに隠していると、犬は優れた嗅覚ですぐに探し当ててしまいます。犬は地面に近い位置のにおいをキャッチするのが得意なので、難易度を上げたい場合は高い位置に隠すのがコツ。飼い主さんも知恵比べのつもりで隠し場所を工夫して楽しんでくださいね。
知育トイに挫折…遊ばない理由は?
(1)すぐにあきてしまう
犬にとって良いこと(食べ物を得ること)がなければ、遊ばなくなってしまいます。最初は知育トイを転がしたらすぐに出るサイズのおやつを入れたり、なめたらすぐにとれるやわらかめのチーズを塗ったりしましょう。少しずつでも食べ物を得られていれば犬は夢中になります。
(2)かじって壊してしまう
犬がかじって遊ぶタイプの天然ゴム製の知育トイでも、噛みすぎては犬の歯に負担をかけます。弾力性のある硬すぎない素材で、犬が奥歯で噛めないくらいの大きさを目安に選びましょう。プラスチック製の知育トイをかじらせるのはNG。飼い主さんが付き添って正しい遊び方を教えてあげることも大切です。
(3)おやつをあげすぎて太った
愛犬の1日分のフードの分量(g)を知っていても、カロリー(kcal)を把握している飼い主さんは少ないのでは? 知育トイに入れるおやつは1日分のフードのカロリーの10%以下にとどめるのが肥満防止のコツ。また、与えたおやつの分のカロリーをフードから引きましょう。
知育トイを活用すると、愛犬の遊び方がどんどん習熟していきます。最初は食べ物を出すのに20〜30分かかっていたとしても、やがて1分足らずで終わるようになることも。犬のレベルに合わせて知育トイを選び、難易度を調節しましょう。飼い主さんも工夫しながら愛犬と一緒にステップアップを楽しんでくださいね。
【関連記事】しぐさで犬の気持ちがわかる! カーミング・シグナルって何?
- 監修:西川文二(にしかわ・ぶんじ)
- 公益社団法人日本動物病院協会(JAHA)認定家庭犬しつけインストラクター。東京・世田谷区のし つけスクール「Can ! Do ! Pet Dog School」代表。科学的理論に基づく愛犬のしつけ方を提案。犬の 生態行動や心理的なアプローチについても造詣が深い。『いぬのプーにおそわったこと~パートナードッグと運命の糸で結ばれた10年間 』(サイゾー)、「しぐさでわかる犬語大百科」(SBクリエイティブ)他、著書は10冊を超える。 最新の監修書は『はじめよう!柴犬ぐらし』(西東社)。
sippoのおすすめ企画
「sippoストーリー」は、みなさまの投稿でつくるコーナーです。飼い主さんだけが知っている、ペットとのとっておきのストーリーを、かわいい写真とともにご紹介します!
LINE公式アカウントとメルマガでお届けします。