仲良しすぎる兄妹猫「ゆず」と「なつ」 引き離すことができず、2匹一緒に迎え入れた
兵庫県で暮らす仲良し兄妹猫のゆず&なつ。2匹の日常を投稿するインスタグラムは、その仲むつまじい姿に「癒やされる」というファンも多い。飼い主の女性に、2匹との出会いや「映える」写真の秘密を聞いた。
仲良し兄妹「引き離せん…」
ゆずとなつは、兵庫県西宮市で小林さんとその夫とともに暮らしている。出会いは2018年。当時、保護猫を迎えることを検討していた小林さん夫婦は、譲渡サイトで美しいグリーンの瞳を持つ「ゆず」(雌)に一目ぼれした。
さっそくお見合いに出向いた2人が保護主の家で見たのは、目当てのゆずが兄妹猫の「なつ」(雄)をしっかり抱きしめて、グルーミングをしている姿。あまりに仲むつまじい2匹を見て、小林さん夫婦は「これは引き離せんよね……?」と目配せしあい、迷った末に2匹一緒にトライアルすることを決めた。
「兄妹一緒だったから、安心していたのかもしれない。まるで最初からうちの子だったように、あっという間に家になじんで、2日目の夜には私たちのベッドで一緒に寝ていました。そこで、トライアルが終了しないうちに、保護主さんに2匹を『引き取りたい』と連絡を入れたんです」
当時、2匹は2歳の成猫。もともとは生後間もなく6匹兄妹で保護されたが、他の兄妹が子猫のうちに引き取られる中、ゆずとなつだけはもらい手が見つからないまま成長していた。一方、共働きで留守がちな小林さんと夫の希望は、「手のかからない大人の猫」。小林さん夫婦にとっても、引き取り手が見つからなかった兄妹にとっても、まさしく“運命の出会い”だった。
「2匹は保護主さんの家できちんとしつけられていたし、むやみやたらに走り回る年齢も過ぎていて、初めて自分で猫を飼う私たちにはありがたかったです」と小林さんは振り返る。
ゆずとなつの性格を尋ねると、「ゆずは面倒見がよくしっかり者で、負けん気も強い女王様気質。なつは、人間のひざとゆずのぬくもりが大好きな甘えん坊です」と小林さん。2匹は、お互いを思いやりあう優しい兄妹だという。
仲良しすぎる2匹にほっこり
取材中、小林さんのそばの小さなカゴに寄り添って寝ていた2匹。ふと目を覚ましたゆずが、なつの首根っこに腕を回し、抱きしめるようにしてその頭をグルーミングし始めた。
「いつもこんな感じなんです。お互いを丁寧に丁寧にグルーミングするから、私がグルーミングしなくても毛がつやつや」と小林さん。2匹の仲良しぶりに、日々癒やされているという。
「おもちゃやクッションは、取り合わないように必ず2つ買うんです。でも、なぜか2匹でひとつのものを使う(笑)。小さなクッションでも顔をくっつけながら一緒に使っています。ごくたまに別々に寝ていることがありますが、観察していると、どちらかがふと目覚めて『アレ?なんで一人で寝てるんだっけ』という顔をして、結局もう1匹のそばに行って寝るんですよね」
しかし、仲良しゆえの悩みもあるという。
「以前ゆずちゃんが涙を流していたことがあって、キャリーに入れて病院に連れて行こうとしたら、引き離された2匹が大騒ぎ。とくになつくんは『ゆずちゃんをどこにつれていくんだ!』とすごく怒りました。結局目は大事には至らなかったのですが、家に帰ってゆずちゃんをキャリーから出すとなつくんが飛んできて、まるで何十年も生き別れていたかのように抱き合ってぺろぺろぺろぺろ……。はたから見たらほほ笑ましいけど、この先どちらかに通院が必要になったらどうなるんだろうと不安になりましたね」
うちの子の可愛さを見て欲しい!
小林さんは、ゆずとなつの写真がテレビ番組の投稿コーナーで採用されたことをきっかけに、「うちの子の可愛さをもっとたくさんの人に見て欲しい」と、本格的にカメラの勉強を始め、インスタグタムに2匹の写真をアップし始めた。
同じクッションで眠ったり、並んで窓の外を見たり。何をするにも一緒の姿は、フォロワーから「ほっこりして癒やされる」と評判に。2匹はいまや、猫好きがチェックするメディアにも「仲良し兄妹」として取り上げられる人気者だ。
2匹の絵になる日常を発信する小林さんに、写真映えする猫の撮り方を教えてもらった。
「背景に植物を置くと、絵になりやすくおすすめです。もちろん、猫に有害なグリーンやお花は多いので、部屋に置く際はしっかり調べてくださいね!インテリアの色も重要です。うちはもともとグレー系のインテリアで統一していたのですが、ブラウン系のゆずちゃんやグレー系のなつくんが背景に埋もれて映えなかった(笑)。そこで、部屋のインテリアを明るくてカラフルなものに変えました。黒猫ちゃんなら壁紙やインテリアを白にするなど、飼っている猫ちゃんの毛色が映える色のインテリアを意識するといいですよ」
ゆずとなつをかわいく撮るためにインテリアまで変えてしまう!お話から、小林さんの2匹への愛情が伝わってきた。2匹もそんな小林さんにまんざらでもない様子。カメラを向けるとしっかりと目線を合わせ、ポージングもバッチリ決めるのだそう。
保護猫のイメージを写真で変えたい
小林さんは、ゆずとなつのインスタグラムを始めてから、「保護猫のイメージが変わった」というコメントを多くもらうようになった。
「最初はただ2匹の可愛さを伝えたい、という思いで始めた写真でしたが、今は、『事情があって保護された元野良猫でも、愛情を受けて育てばかわいい表情をたくさん見せてくれる』ということを伝えるために、ゆずとなつを撮っています」と話す。
「今後の目標は、保護猫の“宣材写真”を撮ること。譲渡サイトの写真って、お見合いと一緒で第一印象に関わると思うんです。きちんとした写真でその子の魅力を最大限に引き出してあげれば、より多くの保護猫に家族がみつかるんじゃないかな。会ってしまえばどの子もみんなかわいいですから、そこに至るまでのきっかけづくりをお手伝いしたい!」。大きな目標を胸に、現在は『ゆずなつ』というカメラマンネームで、猫をテーマにした写真展やコンテストに挑戦しているという。
小林さんの保護猫への思いはこれだけにとどまらない。最近では、ネットの猫コミュニティーで知り合った仲間によびかけ、保護猫を支援する活動も行っている。
「11月1日〜11月29日まで、神戸市にある猫カフェ『猫の屋おでん』で『手作りねこ雑貨マルシェ&写真展』のイベントを行います。売り上げの半分を、野良猫の保護活動や病気やけがの治療、予防接種のために寄付させていただくので、ぜひ多くの方に足を運んでいただきたいです。私は写真展示で参加しています!」
2匹の仲良し兄妹は、その可愛さで人々を癒やすだけでなく、大きな志や、それを形にするための出会いまで与えてくれたのだ。
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