「吠えるから」と手放された大型犬 はるばる兵庫で英才教育
吠えるので飼えないと動物指導センターに持ち込まれた大型犬。引き出され、譲渡されたが、再びうるさいからと返されてしまった。譲渡サイトで見つけた犬は、はるばる兵庫県の家に引き取られ、訓練士のもとで英才教育を始めた。
「吠えてうるさくて飼えない」
大型犬のバーニーズマウンテンドッグとピレネーのミックス犬が、埼玉県の動物指導センターに連れてこられた。吠えるのでうるさくて飼えない、と飼い主が持ち込んだのだ。バーニーズをよく保護している団体「ドッグレスキュー」(東京)の代表がその犬を引き出した。
都内の自宅に連れ帰って面倒をみていたが、じつによく吠えて、周囲から苦情が来てしまった。他の犬の保護活動にも支障が出る恐れがあったため、保護団体「Wan life」が預かってサイトで譲渡先を募集することになったという。
1カ月間のトライアル
兵庫県に住む西山家では、中学生の息子が不登校で悩んでいた。息子は大型犬が好きで、譲渡サイトでWan lifeのミックス犬を見つけ、「飼いたい」と言いだした。
「勉強もする、学校も頑張る、と言うので、Wan lifeさんに声をかけました。でも、譲渡先が決まって送り出す準備をしているところだと言われたんです」
西山さん一家は、一度はあきらめた。ところが、犬は都内に譲渡されたものの、留守番中もずっと吠えていて飼えないと、わずか1日でWan lifeに戻されてしまった。西山さんは再び譲渡サイトに掲載されたのを見て、息子さんに「帰ってきているよ!」と伝えた。
先住犬が2匹いたこともあり、トライアル期間は1カ月間設けられた。もっとも犬を返す気はまったくなかった。名前は「弥七」くんだったが、漢字を変えて「八七(やひち)」くんにした。
八七くんはまだ子犬だったが、破壊力は抜群で、いろんなものを壊しまくった。だが、常に誰かが家にいて、自由にさせていたら、吠えはおさまった。おもちゃへの執着心が強く、一度つかむと離さない。取り上げようとすると、かみついてきた。
「知り合いの犬関係の仕事をしている人に『そんな犬、返すべきや』と言われましたが、そんなことを言われると、ますます頑張らないとあかん!と思ったんです。近所の人に紹介してもらった警察犬の訓練士さんに家に来てもらって訓練しました」
トリマーを目指す息子と通学
訓練の成果があり、八七くんはいい子になった。近所の奥さんには、ぐいぐい身を寄せて「なでて、なでて」というように甘える。ただ、嫌いな犬を見たら吠えまくるし、いったん興奮すると、なかなか収まらない。いまも週に2回、訓練に行っており、先生が大好きなのだという。
八七くんの散歩を家では息子に任せると、見えない絆で結ばれたようだ。なかなか朝起きない息子を起こしに行くと、八七くんが西山さんにガウガウと吠えることもある。
「『なんですか?』という顔をして間に入るんです。息子は、冗談で『やっちゃん、怖いよ~、起きたくないのに、起こされるよ』と言うし」と、西山さんは苦笑する。
不登校だった息子は八七くんを迎えたことで会話が増え、いまはトリマーになるために専門学校に通っている。八七くんがカットモデルになる時、2~3カ月に一度一緒に登校し、実習のモデルにもなっているという。
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