保護された元野犬「山田くん」 殺処分寸前に救出、穏やかな晩年
淡路島の山の中で保護された野犬は、1週間後に殺処分される予定だった。たまたま譲渡先募集の投稿を目にした人が、大阪の自宅に迎えた。栄養失調でじっと立てないような状態だったが、「山田」という名前をもらい、穏やかな晩年を送っている。
1週間後に殺処分予定
大阪府に住む斎藤さんは、友人が淡路島でいちご農園を営んでおり、毎年2、3回、泊りがけで仕事を手伝いに行っている。2017年1月、いつものように淡路島に行き、コミュニティ誌で、犬の引き取り手を募集している投稿を目にした。
気になって動物愛護センターに問い合わせると、1週間後に殺処分されることが決まっていた。理由はフィラリア陽性だからだという。
譲渡対象の犬ではないため、会うこともできなかったが、ボランティアに頼んで動物愛護センターから犬を引き出してもらい、淡路島の友人宅で1週間預かってもらった。友人宅でその犬は、衰弱した様子だったという。
トリミングすると現れた傷痕
斎藤さんはいったん大阪に帰り、犬を迎える準備を整えてから車で迎えに行った。犬には山田くんと名前を付けた。
山田くんは、山の中で捕獲された雑種犬。チャウチャウ犬のように毛がもふもふになって絡まっていた。抱っこしてケージに入れようとすると、恐怖から斎藤さんの腕に歯を当ててきた。
トリミングしてもらうと、顔にいくつも、他の犬と戦ったらしい傷痕があった。推定10歳以上。前歯はすべて欠けていて、診察した獣医師によると、小動物か何かを捕獲して食べていたのかもしれないということだった。
極度の栄養失調の状態で、震えて立てなかった。飢えていたので、ごはんはがっつくように食べたが、それ以外の時はぐったりしていた。徐々にしっかり栄養もつき、夏になるとじゃれることもあった。
ただ、ペットとして暮らした経験がないので、甘えたり、はしゃいだり、ボールで遊ぶようなことはない。散歩の楽しさは覚えたのか、散歩係の息子が帰ってくると、網戸の向こうからじっと見て待っている。
手のひらに顔を乗せてトリミングしてもらうと、そのままスヤスヤ眠ってしまうこともある。晩年を穏やかに暮らせるように斎藤さんは温かく見守っている。
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