飼育放棄され毛玉だらけだったコリー犬 温かな家で穏やかな晩年

 飼育放棄され、ボロボロな状態で見つかったボーダーコリー犬。見かねた愛犬家らが引き取って譲渡先を探した。ようやく見つかった温かな家で、今は穏やかに晩年を過ごしている。

(末尾に写真特集があります)

 大阪府内、家の外で飼われていたボーダーコリー犬がいた。家と塀の間のすき間に短いリードでつながれ、子犬の時に設置された小屋はかろうじて頭だけが入る状態。横になって体を伸ばして眠ることもできず、雨が降れば濡れそぼり、糞尿の始末もしてもらえていなかった。

 そんな劣悪な環境で、「カールくん」は発見された。家が奥まった場所にあったため、人目につきにくく、2012年6月、野良猫の保護活動をしている人が、猫を追って路地の奥に入り、たまたまボロボロの犬がいるのを見つけたのだ。

 カールくんは散歩にも出されていなかったらしかった。エサだけは与えていたようだが、ネグレクト、飼育放棄だった。

「今日は僕の取材なの?」と言いたげなカールくん

 発見者は、保護犬を飼っている友人の山形さんに相談し、2人で飼い主の夫婦に「どうしてもカールくんを欲しいという人がいるんです。カールくんを渡してくれませんか」と話を持ちかけた。飼い主は「1日考えさせてくれないか」と言ったものの、翌日、すんなり引き渡したという。

落ち着ける家がなかなか見つからず 

 保護されたカールくんは、まずトリミングをする必要があったが、なかなか引き受けてくれるトリマーがいなかった。やっと引き受けてくれる人が見つかったが、ボールのような大きな毛玉が3つほど出来ていたという。それまでトリミングはおろか、シャンプーもしてもらったことがなかったのだ。嫌がってじっとしていないので、ずっとおやつを与えながら作業したそうだ。

 トリミングが済んでも、今度は預かりボランティアさんを転々とすることになった。たった1匹でぽつんとガレージにいたり、他にも犬がたくさんいる家だったり、1週間しか預かれないと言われたり。その後、ある動物病院が預かってくれることになった。その間、散歩はボランティアさんが毎日行ってくれた。

新しい家でやさしい犬に

 大阪府に住む斉藤さんは、保護主の山形さんからカールくんのことを聞いていた。以前飼っていた雑種犬が2年半前に逝き、そろそろ新しい犬を迎えようと考えていたところだった。

優しく賢そうな顔立ちカールくん

 「主に世話をすることになるのは母で、股関節の手術をしたばかりだったので、散歩がうまくできるか心配だったんです。まずはボランティアさんと一緒に散歩してみました。カールくんはほとんど散歩をした経験がなかったせいか、ほとんど引っ張ることはありませんでした。それどころか、散歩が嫌で歩かないんです。それでおやつを使ってなんとか歩かせました」

 カールくんは斉藤さん宅に譲渡された。最初は目に光がなく、なでたり、散歩の後に足を拭こうとしたりすると、かんできた。分離不安で人がいなくなると吠えるので、家族が交代でそばについていたという。

 斉藤家で大切にされ、家になじむと、とてもやさしい性格だと分かった。同居しているインコが床で遊んでいると、踏まないようによけたり、待っていたりするという。高齢になった今も幸せに暮らしている。

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渡辺陽
大阪芸術大学文芸学科卒業。「難しいことを分かりやすく」伝える医療ライター。医学ジャーナリスト協会会員。朝日新聞社sippo、telling、文春オンライン、サライ.jp、神戸新聞デイリースポーツなどで執筆。FB:https://www.facebook.com/writer.youwatanabe

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