譲渡サイトで見かけた黒猫の子猫 出張から戻ると我が家にいた

 愛猫の脱走から1年。出張から帰宅すると、譲渡サイトに出ていた、きれいな黒い子猫が自宅に来ていた。人前では甘えないが、一人でいると寄ってきて甘えるツンデレ猫だった。

(末尾に写真特集があります)

 京都府に住むKさんは「えちごやくん」という1歳のキジ猫を飼っていた。外に出ないよう気を付けて、窓にも網を張っていたが、2013年6月、Kさんの出張中に脱走してしまった。家族総出で猫のたまり場や空き家など、あちらこちら探したが見つからず、ひたすら帰ってくるのを待っていた。

 1年経った頃、Kさんは、なにげなく見た譲渡サイトできれいな白い靴下をはいたような黒猫をみつけた。もし次に飼うなら保護猫をと考えていたKさんだったが、いなくなったえちごやくんを忘れられず、新しい猫を飼うか飼わないか決めかねていた。

 「もし、このままえちごやが戻ってこなければ、思い出すのがつらいから、えちごやとは全く違う黒猫を飼おうと思っていたんです」

今日も一日平和だったにゃ
今日も一日平和だったにゃ

譲渡サイトで見かけた猫が我が家に

 その後2014年10月、譲渡サイトを見ていると、シュッとしてかっこいい黒猫が紹介されていた。

 「一人暮らしのおじいさんが小さな子猫の頃から飼っていた猫で、いつも懐に入れるくらい大事にしていたそうです。でも、ちゃんと世話ができるような状態ではなく、譲渡会の世話人をしている人が保護したそうです」

 Kさんが出張から帰宅すると、ピアノの上に小さな黒猫がいた。胸から脚までが白いタキシードキャットで、譲渡サイトに掲載されていた子だった。Kさんには内緒で夫と娘が見に行って、1週間のトライアルを始めていたのだ。名前は「とかちくん」になった。

 「とかちは、一度他の人のところに譲渡されたのですが、先住猫との折り合いが悪く、返されてしまったそうです。だから、先住猫がいない家がいいと言われました」

えんじ色のチョーカーがお似合い
えんじ色のチョーカーがお似合い

一対一の時だけ甘える猫

 とかちくんは、Kさんを見ると、一度だけシャーッといったが、Kさんをはじめ家族にとても懐いた。

 ただし、みんなの前では甘えない、ツンデレだった。娘が一人でいると、足や手にタッチしたり、Kさんが一人でいると、膝に乗ってきてニャアニャアいったり、身体をすり寄せて甘えたりした。家族みんなが「私のことが一番好きなんじゃないか」と思ってしまうような猫だった。

 「とかちは甘え上手なんです。もともとおじいさんに育てられ、他の家にもらわれ、その後、我が家にやって来ました。最後までうちで幸せに暮らしてほしいと願っています」

一緒に暮らすおはなちゃんと
一緒に暮らすおはなちゃんと

渡辺陽
大阪芸術大学文芸学科卒業。「難しいことを分かりやすく」伝える医療ライター。医学ジャーナリスト協会会員。朝日新聞社sippo、telling、文春オンライン、サライ.jp、神戸新聞デイリースポーツなどで執筆。FB:https://www.facebook.com/writer.youwatanabe

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この連載について
幸せになった保護犬、保護猫
愛護団体などに保護された飼い主のいない犬や猫たち。出会いに恵まれ、今では幸せに暮らす元保護犬や元保護猫を取材しました。
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