愛犬の幸せには、信頼関係としつけが不可欠 白井獣医師が講義
犬と長く幸せに暮らすための知識を学ぶセミナー「sippo犬ゼミ」が10月4日、東京・築地の朝日新聞社で開催されました。約1時間の講義では、しつけや食事、健康管理など、犬と幸せに暮らすために、飼い主として知っておくべきポイントを幅広く説明。「金魚を飼い始めたら、高齢犬が元気になった」など、興味深い事例も紹介されました。
講師は、苅谷動物病院グループ総院長の白井活光獣医師。「愛犬と一緒に暮らすなら、幸せに長生きをしてもらうことは大前提」と話し、それにはまず、しつけが何より大切だと切り出しました。
「犬の幸せには、信頼関係を築き、この人と一緒にいれば安心だと思ってもらうことがもっとも大切です。それにはまず愛してあげること。大切にして、犬にもそれが通じるように表現することが、しつけの第一歩だと思います」
ただ「お座り」「お手」を教えるのではなく、いやがらずにシャンプーや体のチェックをさせたり、交通事故や異物誤飲などの危険から身を守ったりできるように、愛犬をコントロールできるしつけを心がけるのが、幸せな暮らしのベースになるといいます。
体調の変化に合わせて生活習慣を修正
もうひとつ、白井先生が繰り返し強調したのは、「愛犬の体質を理解すること」。成長や加齢とともに起きる、愛犬の体質・体調の変化を常に把握することは、健康管理の基本だといいます。
日々チェックをする項目として、行動や食べ方の変化などと並び、白井先生がときどき確認してほしいこととしてあげたのが、呼吸の変化でした。犬の正常な呼吸数は、安静時にはかって「1分間に30回以下」。たとえば心臓や肺に異常がある場合、これが40回以上にのぼり、すぐに病院で診てもらったほうがいいのだそうです。
健康診断ももちろん重要で、「8歳までは年2回、高齢になったら年3回は診断を受けるのが理想的。でも、そこまででなくても、定期的に調べて病気を早期発見したほうが、治る確率も高くなります」と説明しました。
食事についても、与えているフードが体質に合っているかは、体がいい状態を維持できているかどうかでわかるといいます。
「見た目はやはり重要です。毛づやの良さや毛が薄くなっていないか、涙やけがないか、耳や足先、お尻廻りに赤くなっていないか。そういうところをチェックしながら、食事を選んであげるといいと思います」
また、サプリメントも体質の弱い部分を補うのに有効だといいます。特に乳酸菌サプリは腸内環境を整えることで体の全体の免疫力を維持する効果があり、老犬にも効果的だそうです。先生自身も、愛犬とともに乳酸菌サプリを3年ほど飲み続けているといい、「風邪をひかなくなりました」と話していました。
生きがいは元気を維持する力に
老化対策については、体調の変化に対応することと並び、愛犬に「生きがい」を与えることも大切、という興味深い話も。病院に来ている高齢犬が「金魚を飼い始めたら、1日中眺めていて、楽しそうに見えるようになった」という事例もあげていました。
また、新しい犬を迎えることもよい刺激になるといいます。
「我が家の10歳のチワワの女の子が、8カ月のポメラニアンのしつけをして頑張っています。最初は慣れるまで大変かもしれませんが、若いワンちゃんが来たことで、活動量が増えたり食欲が増したり、毛づやがよくなるといった、メリットのほうが多いと思います」
ワクチン接種は3年に1回で
講義の後、受講者との質疑応答も。「フードはグレインフリーのほうがいいのか」「歯石除去は麻酔を使うのと無麻酔とでは、どちらがいいか」「年1回のワクチン接種は多いか」など、次々と質問が出ました。
ワクチン接種については講義の中でも触れていましたが、接種回数が多いと、免疫異常を引き起こす可能性があるため、「3年に1回」の接種を推奨していると説明しました。
ただ、秋にかかりやすい「レプトスピラ感染症」の予防ワクチンのみ1年で効果が切れてしまうため、「水遊びや川辺によく行くので心配という場合は、夏に接種するとよいでしょう」とアドバイス。また、心配なら抗体検査をして、抗体反応が弱まっているワクチンのみ接種するのも良いと勧めていました。
今回のセミナーを受け、参加者からは「ワクチン接種の回数など、知らなかったことがわかりよかった」「身につけた知識を実践していきたい」との声があがりました。
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