もし飼い主がコロナに感染したら? 犬や猫のため備えておくこと

沖縄の動物愛護センターから来たわが家の保護猫タビオ
沖縄の動物愛護センターから来たわが家の保護猫タビオ

 もしも自分が新型コロナウイルスに感染してしまったら、大事なペットはどうなる? 感染拡大が止まらない今、動物と暮らす人、とくに一人暮らしでペットを飼っている人は、みな不安に感じているのではないだろうか。

緊急時のプランを立てておこう

 そこで、万が一そうなったときでも慌てなくてすむよう、今からプランを立てておきたい。私自身もうちの保護猫タビオがいつもお世話になっている近所の猫友(保護猫4匹と暮らす)と緊急時の助け合いプランを決めている。

 地震などの災害時のための準備をしている人は多いと思うが、新型コロナウイルスのような感染症に対しては、同行避難が原則の災害時とはまた違った備えが必要だ。

近所の猫友と暮らす4匹の保護猫たち(近所の猫友より提供)
近所の猫友と暮らす4匹の保護猫たち(近所の猫友より提供)

緊急時のプランを作っておこう

 プランを作るにあたっては、アメリカ各地のシェルター、CDC(アメリカ疾病予防管理センター)、東京都獣医師会が出しているアドバイスが大いに参考になった。

 以下にポイントをまとめてみる。

準備すること

1. 代わりに世話をしてくれる人を見つけておく
 動物たちにとっては慣れ親しんだ環境で過ごすのが一番。なので、軽症または無症状で自宅療養の場合であれば、自宅で世話をする。

 でも、もし自分で世話ができないほど病状が悪化したり、ホテルで隔離、あるいは入院することになったりした場合は、1)誰かに世話してもらう、2)誰かに預ける、のどちらかになる。

 そこで、家族、友人、近所の人、動物病院、ペットホテル、ペットシッターなど、家に来て世話をしてくれるか、預かってくれる人を確保しておこう。できれば、その人がだめになった場合のバックアップとして、もう1人頼んでおく。

2. 非常用キットを用意しておく
 ・最低2週間分のフードとおやつ
 ・おもちゃ、リードなど
 ・キャリーまたはクレート
 ・ワクチン接種証明書
 ・鑑札付きのカラー(犬)、名前と飼い主の連絡先入りのカラー(猫)
 ・マイクロチップの情報
 ・薬(持病がある場合は最低30日分)
 ・世話の仕方マニュアル
 ・かかりつけの獣医師の連絡先

うちのタビオは外出自粛の達人。猫ステップの上から外を眺める
うちのタビオは外出自粛の達人。猫ステップの上から外を眺める

飼い主が感染してしまったら

 もし感染してしまったら、あるいはその疑いがあるときはどうするか?

 ・できれば同居している家族に世話をしてもらうのが望ましい。
 ・もし自分が世話する場合は、マスクをし、ペットと接触する前と後に必ず
  手洗いをすること。
 ・人間に対するのと同じように接触を避けること。なでたり、頰ずりしたり、
  キスしたり、顔をなめさせたり、自分の食べ物を与えたり、同じベッドで
  寝たりしないこと。

 同居人以外の人に世話をしてもらうことになった場合は、家に来てもらうにしても、預かってもらうにしても、その人が感染しないよう注意しなければならない。

 具体的な手順については、東京獣医師会が詳細なガイドを作っているので、ぜひご参照を:「新型コロナウイルスに感染している人が飼っているペットを預かるために知っておきたいこと(Ver.1)」

流れる水が好きなタビオ
流れる水が好きなタビオ

愛するペットを守るために

 また、人から動物への感染を防ぐ心がけも重要だ。 WHO、CDCともにペットから人にうつる証拠はないとしているが、逆に人から動物に感染した例はごく少数ながらも報告されている。新型コロナウイルスについてはまだわかっていないことも多いため、CDCは動物も「ソーシャル・ディスタンシング」をするようアドバイスしている。具体的には以下のとおり。

 犬の場合 ・同居している家族以外の人とは接触させない。
      ・散歩中は人が多く集まるところに行かない。
      ・他の人や犬とは2メートルの距離を保つ。

 猫の場合 ・できるだけ外には出さず、他の人や動物と接触しないようにする。

 こうやってコロナ緊急時の「備え」について見ていくと、やはり災害時と同様、人と人の互助ネットワークがどれほど大切か気づかされる。人も動物も、ともにこの危機を乗り越えられるよう、みんなで助け合っていきたいものだ。

◆大塚敦子さんのHPや関連書籍はこちら

【前の回】コロナ禍のアメリカ 犬や猫の一時預かりボランティアが急増
【次の回】シェルターの保護猫に子どもが読み聞かせ 短時間で距離が縮まった!アメリカでの試み

大塚敦子
フォトジャーナリスト、写真絵本・ノンフィクション作家。 上智大学文学部英文学学科卒業。紛争地取材を経て、死と向きあう人びとの生き方、人がよりよく生きることを助ける動物たちについて執筆。近著に「〈刑務所〉で盲導犬を育てる」「犬が来る病院 命に向き合う子どもたちが教えてくれたこと」「いつか帰りたい ぼくのふるさと 福島第一原発20キロ圏内から来たねこ」「ギヴ・ミー・ア・チャンス 犬と少年の再出発」など。

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この連載について
人と生きる動物たち
セラピーアニマルや動物介在教育の現場などを取材するフォトジャーナリスト・大塚敦子さんが、人と生きる犬や猫の姿を描きます。
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