畑に捨てられた目の不自由な子猫 親戚宅にもらわれヤンチャに

 猫好きな家にある畑に、目に障害をもった子猫が捨てられていた。わずか生後1カ月の小さな子猫。放置すれば命も危なかっただろう。鳴き声に気付いた家人に保護され、姉妹宅にもらわれていった。

(末尾に写真特集があります)

受け入れられなかった子猫

 兵庫県に住む長田さんは、チロルちゃんというスコティッシュフォールドの猫を飼っている。11歳の男の子だ。

 9年前、生後7、8カ月の猫を保護した。だが、自宅に入れると、先住猫のチロルちゃんが新しい猫を受け入れられず、ごはんを食べられなくなり、オシッコも出なくなってしまった。そのため、事情を知った妹が里親になってくれたことがあった。

畑の中から子猫の声

 それから9年たった2019年5月のこと。

 兵庫県に住む長田さんの妹は、洗濯物を取り込もうと自宅の北側に回った。すると、そこから見える自分の家の畑の方から、子猫の鳴き声が聞こえる気がした。

ハウスに入るしまじろう

「畑の北側は住宅地なので、どこかの家から鳴き声が聞こえたんだと思いました。ところが、また鳴き声が聞こえたので、畑の奥にある農業用水の側溝ででも野良猫が子猫を産んだのではないかと気になって見に行ったんです」

 だが、子猫の姿は見当たらなかった。「やはり、どこかの家から聞こえていたのか」と歩いて帰ろうとした時、畑の中の山積みした雑草の横に小さな黒い物体を見つけた。よく見てみると、子猫がじっとうずくまっていた。

子猫は目に障害があった

 猫の保護活動をしている妹は、自然に子猫を抱き上げ、「どうしたの、なんでこんな所にいるの」と声をかけた。近辺にどんな猫がいるのか、だいたい把握していたが、妊娠した猫はいないはずで、周囲を見渡しても母猫や兄弟猫も見当たらなかった。「うちの畑に捨てられたのかな」と思ったという。

 被毛も汚れておらず、きれいだった。キャリーバッグに入れて動物病院に行くと、体重300グラム、生後約1カ月。獣医師も「おそらく捨てられたのだろう」と言った。右目からうみが出ていたので、治療を始めた。

「膝枕じゃなくて、膝ベッドだよ」

 帰宅すると、ウェットフードとミルクを与えた。すると、子猫の目があまり見えていないことに気が付いた。音にしか反応しないのだ。ケージに入れると、排泄はトイレでできた。

「家猫が産んだ子猫のうち、目が見えていない子猫だけを捨てたんだ。うちの出窓に猫が寝そべっているのが外からも見えるので、うちの畑に来たのか。そう思うと腹が立ちました。でも、良く考えれば、元気なうちに保護できて良かったと思います」

遊びたくて先住猫に寄っていく

 長田さんは、妹が畑で保護した子猫のことを知り、気になった。9年前のこともあり、とても悩み考え、猫を飼っている友達に相談したり獣医さんに相談したりした。獣医師に「子猫なら先住のチロルちゃんと一緒に暮らせるだろう」と言われ、ちょうどパートの仕事を減らした時期でもあったので、子猫を引き取ることにした。子猫には「しまじろう」と名付けた。

「遊び疲れて眠くなってきたにゃあ」

 しまじろうくんは目がまったく見えないわけではないが、最初に家に来た時は、おっかなびっくりな様子だった。最初は先住のチロルちゃんと隔離した。チロルちゃんは戦々恐々といった様子だった。5日目にサークル越しに対面させると、「シャーッ」と威嚇。10日目に、しまじろうくんをフリーにすると、しまじろうくんは怖がらなかったが、チロルちゃんのほうが警戒していた。

 1か月ほど経つと、一緒に遊びたいしまじろうくんが覆いかぶさるようになった。それでもチロルちゃんは手を出さずに逃げるだけ。身体はチロルちゃんの方がずっと大きいが、おっとり、のんびりした性格なのだ。

 その後、しまじろうくんはすっかり長田さん宅になじみ、家の中を元気に走り回っている。

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渡辺陽
大阪芸術大学文芸学科卒業。「難しいことを分かりやすく」伝える医療ライター。医学ジャーナリスト協会会員。朝日新聞社sippo、telling、文春オンライン、サライ.jp、神戸新聞デイリースポーツなどで執筆。FB:https://www.facebook.com/writer.youwatanabe

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幸せになった保護犬、保護猫
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