猫のオシッコだけ持って尿検査 システムトイレで採尿に挑戦

 愛猫と末永く暮らすには、定期的な健康チェックが必要です。でも、警戒心の強い猫を動物病院に連れて行くのは大変。そこで注目してほしいのが、自宅で採取した猫の尿だけを動物病院に持参して検査を受ける方法です。連載「猫アレルギーですけど」の筆者ヤスダユキさんに、システムトイレを使って、オシッコチェックを試してみてもらいました。

    ◇    ◇

「オシッコを持って来てください」

 我が家には、キジトラのモモと、サビ柄のあんずの2匹の猫がいます。ともに元保護猫で8歳。あんずは病院知らずの健康優良猫なので、主にモモの話になります。

 元捨て猫のモモは、我が家に来た当初から体が弱く、免疫不全や腎臓の状態が心配でした。

体が弱かった猫モモ
体が弱かった猫モモ

 定期的に病院で皮膚炎や口内炎の状態を診てもらい、血液検査をしたこともありますが、尿検査はこれまでしたことがありませんでした。

「モモちゃんのオシッコを検査したいので、持って来てくださいね」

 以前から、かかりつけの獣医さんにそう言われていたものの、オシッコを採るのは非常に難しいと思っていたので、なかなか実行に移せずにいました。

自宅でオシッコを採るのは難しい?

 猫の採尿の仕方はいくつかあります。

 猫がオシッコをしている最中に後ろからおたまでキャッチする、ビニールシートの上でオシッコをさせるなんて方法もあるようですが、モモは猫砂にお尻をぺったりとくっつけて用を足すので、これは難しい。

 動物病院で、猫の尿道に管を通して採尿したり、膀胱に針を刺して直接採ったりする方法もありますが、猫にストレスがかかるのは言うまでもありません。

 最も簡単なのは、システムトイレにしたオシッコを飼い主が後で採取する、という方法です。

トレーにオシッコがたまるタイプのシステムトイレ。普段は網に水分を吸収しない猫砂を入れ、トレーに吸収シートを敷いて使う
トレーにオシッコがたまるタイプのシステムトイレ。普段は網に水分を吸収しない猫砂を入れ、トレーに吸収シートを敷いて使う

 これまで家で使っていたトイレは、2台とも猫砂にオシッコが吸収されるタイプなので、オシッコだけの採取は不可能です。引出し型のトレーにオシッコがたまるシステムトイレなら、通常は敷いて使う吸収シートを抜いておけば、下にたまった尿を簡単に採取できます。そこで花王の猫用システムトイレを1台導入しました。

 我が家に新しいトイレが届き、組み立てたり、猫砂を敷いたりなどの準備をしていると、猫たちが「なんだ、なんだ」とやって来ました。クンクンにおいをかいだり、前足でちょいっと触ってみたり。早速、ニュートイレに関心を示しました。

猫のオシッコで分かる病気

 尿の検査では、猫の三大疾患といわれる腎臓病、糖尿病、尿路結石が発見できるといいます。

 飼い主が自宅で猫の尿を採取して、尿だけ動物病院に持っていって検査してもらうこともできるそうです。猫が自宅のトイレでしたオシッコを病院に持っていくだけであれば、猫のストレスはほぼゼロ。手軽に猫の健康状態を調べることができます。

にらみ顔のあんず。甘えています
にらみ顔のあんず。甘えています

 ただし、尿だけで猫の全身の状態を詳細に調べることはできません。尿検査で何か問題が見つかれば、猫を病院へ連れて行き、血液検査やレントゲン、エコーなど行い、獣医さんが総合的に全身の状態を判断することになります。

 さてさて、オシッコチェックの準備開始。「簡単にできる」はずでした……。

新しいトイレに入りたがらない!

 病院からは「採尿後6時間以内に持ってきてください」と言われていたので、タイミングを考慮して、午前8時頃にトイレを設置しました。

 さぁ、いつでもオシッコを! さあ!!

 ……しかし、しない! まぁ、しない!!

 そういえば、猫がトイレに行くタイミングをイマイチ把握していなかった。ここ2年ほどは、夫が猫のトイレ掃除担当だったので、なおさら分からなくなっていました。

左がニュートイレ、右は元々あるトイレ。ドーム型とオープン型の違いもあって、猫が慣れなかったのかもしれません
左がニュートイレ、右は元々あるトイレ。ドーム型とオープン型の違いもあって、猫が慣れなかったのかもしれません

 猫らは、早朝起きたときにトイレをするんだった……。8時に設置では遅かったのです。日が高いうちは寝てばかりで、ニュートイレどころか、古いトイレでもしませんでした。

 新し物好きのモモが、ニュートイレに鼻先を入れ、クンクンにおいを嗅いだり、しそうな雰囲気はありましたが、その期待もむなしく、くるっと方向転換。慣れたトイレでお小水。あんずに至っては、ニュートイレに一切関心を示しませんでした。

 オシッコが採れるまで待とう、ホトトギス…。慌てない、慌てない……。

 そのまま、1か月ほど過ぎました。ここまで長期戦になるとは、飼い主も猫も想像していませんでした……(呆然)。たまったオシッコを採るだけでしょ? カンタンカンタン♪ と思っていましたが、それは「慣れたトイレ」であることが前提でした……。

オシッコが採れた!

 そして、突然“その日”はやって来ました。

 朝起きて、いつものようにトイレを確認すると、オシッコがたまっている!

「やったぁぁぁーー! 採れたどー!」

 朝7時、オシッコがたまったトレーを持って、歓喜に打ち震えました。

くつろぐモモとあんず
くつろぐモモとあんず

 夫が寝たのは朝の5時で、直前にトイレ掃除をしたそうなので、病院に持っていく時間から6時間以内の尿、という課題はクリアです。

 と、ここで問題が発生しました。

 2匹のどちらがしたのか……。とても大切な問題です。

 この1カ月間、モモは新しいトイレを気にしていましたが、あんずは一切気にしていなかったので、モモに間違いないはず。

 その後、食事を終えたあんずが、古いトイレで用を足していたので、自信が確信に変わりました。

 尿が採れて、初めて気づいたことが、オシッコの量・色でした。

「何を今さら」とおっしゃる飼い主の方もいらっしゃるでしょうが、今まで我が家では、オシッコが吸収されるタイプのトイレだったので、じっくり猫の尿を見たことがなかったのです。これは、猫の健康チェックのためにも大切な問題だと気づくことができました。

(ヤスダユキ)
(後編に続く)

【関連記事】 後編:自宅で採った猫のオシッコを動物病院で検査 膀胱炎が見つかった

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