老犬の認知症チェック10項目 散歩やスキンシップでよい刺激を

 犬は高齢になると、人間と同じように認知症を起こすことがあります。犬の平均寿命が延びて長生きできるようになった一方、老犬になって認知症を発症する犬が増えています。犬の認知症は研究段階ですが、脳によい刺激を与え続けることが重要と考えられています。老犬の認知症チェックで愛犬の行動を確認し、兆候に気づいたら早めの対処で健康寿命を少しでも長く保ちましょう。

認知症のしくみと発症しやすい犬

 老犬になると、伝達障害が原因で脳の働きが低下していきます。例えば認知レベル、刺激に対する反応、学習能力、記憶能力の低下が見られるように。長寿の犬が発症する疾患であることを裏付ける研究もあります。

 犬種では柴犬や日本犬系雑種に多いと言われているが、東京都獣医師会霊園協会の平均死亡年齢の調査では柴犬が15.1歳と最も長生きだったので、寿命の長さの影響も考えられるでしょう。洋犬や小型犬にも認知症は見られます。

犬の認知症の症状をチェック

 認知症を発症する年齢には犬種差や個体差がありますが、10歳を超えると増えていき、健康寿命の終わりが近づきます。しかし初期の段階では飼い主でも気づきにくい変化もあるので、認知症の兆候を早く見つけられるように、日常生活の愛犬の様子をチェックしましょう。

 例えば今までできていたことができなくなったり、飼い主と意思の疎通が難しくなったりする様子が見られたら、認知症の可能性が高くなります。攻撃行動が抑制できなくなり、犬が家族に噛みつくようになるケースも。トイレの失敗や夜鳴きなどの問題も起き始める場合もあります。

散歩などで刺激を与えよう

認知症をチェックする10項目

 老犬の行動に以下の変化が見られたら認知症のサイン。ただし認知症ではなく、身体能力の衰えや不安感の高まりでも認知症に似た行動が見られる場合も。当てはまる項目があれば、まずは動物病院に相談しましょう。

・頭を壁などに押し付けたまま動かない
・狭い場所に入りたがるが、そこから出られない(後ずさりできない)
・部屋の中を歩き回ったり、ぐるぐると回ったりする
・生活リズムが昼夜逆転する(昼に寝て夜に起きる)
・飼い主の指示を無視する
・飼い主が名前を呼んでも反応しない
・家族や周囲など何事にも関心を示さない
・歩いている途中でものにぶつかる
・夜中に吠えたり鳴いたりする
・食欲旺盛で下痢もしないのに痩せてくる

老犬の暮らしに取り入れたい習慣

 人間の認知症は、身体活動や運動が防御的な効果があると報告されています。犬の場合も、生活の中で遊びや散歩をしている犬は、そうでない犬に比べて認知症の発症が低い傾向があったという研究結果があります。犬の認知症を確実に予防したり進行を遅らせたりする方法はまだ明らかになっていませんが、飼い主が意識して老犬の脳によい刺激を取り入れることが大切です。

散歩や運動でよい刺激を

 老犬だからといって運動や外出を控えていては、筋力も脳の働きも衰えてしまいます。犬の体調や体力に合わせて、無理のない散歩や遊びを続けることが重要です。生活が単調にならないように心がけましょう。

スキンシップで愛情をそそごう

 家族とのふれあいや声かけが減ると、犬がぼんやりしている時間が増えていきます。スキンシップをはかったり話しかけたりして飼い主の愛情を犬に伝えましょう。認知症ではなくでも老犬は不安感が強くなることがあるので、コミュニケーションで安心を伝えることも必要です。マッサージやストレッチもおすすめです。

スキンシップなどで飼い主の愛情を犬に伝えよう

不飽和脂肪酸などの栄養素を摂る

 脳の神経細胞の働きを高める不飽和脂肪酸(EPAとDHA)を積極的に摂るのも一案。これらは認知症が見られる犬の栄養管理用の療法食にもブレンドされている栄養素です。不飽和脂肪酸を主成分としたサプリメントもあります。

 身体の中で作り出せない栄養素なので、多く含む青魚やアマニ油などを食事にトッピングする方法もあります。

知育玩具やトレーニングを楽しむ

 中に入れた食べ物を犬が工夫して取り出す「知育玩具」を利用しましょう。さまざまな種類が販売されているので、複数個を用意するとマンネリにならず変化がつけられます。犬の優れた嗅覚を使う「ノーズワーク」もおすすめです。市販のノーズワーク用アイテムを使うほか、室内におやつを隠して探させるゲームでも十分楽しめます。

飼い主の愛情を認知症の老犬に伝える

 認知症が進行すると飼い主のことが認識できなくなることもあります。それでも犬は家族と他人では違う態度を見せることも。生まれたばかりの赤ちゃんのように、本能で自分にとってうれしい存在ということなんとなくわかっているのかもしれません。

 認知症にともなう粗相を叱らないようにすることも大切。健康寿命が終わって本格的な介護が始まれば、どうしても飼い主のストレスもたまりがちですが、老犬には明るく接するように気をつけたいもの。ときには気分転換のために犬を動物病院や老犬ホームに預けるのもよい方法です。

 日常のあらゆる場面で声をかけたりアイコンタクトをしたりすることでも犬にとってはうれしい刺激に。飼い主はおおらかな気持ちで犬を見守るように心がけ、愛情を伝え続けましょう。

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監修:小林豊和
獣医師、グラース動物病院(東京都杉並区)総括院長。最良のホスピタリティと獣医療を提供するため「チーム医療」に取り組む。帝京科学大学准教授として犬猫の健康寿命やアンチエイジングの研究も行なっている。

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