行き倒れ、右目を失った子猫 猫カフェで運命の飼い主に出会う
行き倒れ状態で発見された子猫がいた。右目は潰れてしまったが、どうにか一命だけは取りとめ、譲渡先を探すため保護猫カフェでデビューした。そこで運命の飼い主と出会った。
2017年6月、本格的な夏を前に、蒸し暑い日が続いていた。神戸市長田区の住宅街の路上で、行き倒れのような状態の子猫が1匹発見された。推定生後1カ月。触るのもためらわれるほど、たくさんのノミがつき、右目はウイルスで潰れていた。
右目は元に戻ることはなかったが、どうにか缶詰のフードは食べることができ、命はつながった。保護後、預かりボランティアさんのもとで育てられ、獣医師らの団体「エイベット」を通じて譲渡先を募集した。しかし、障害を持つ子になかなか希望者は表れなかった。その後、猫カフェ「micia-micio(みーちゃ・みーちょ)」でデビューすることになった。
トライアルから戻ってきた子猫
兵庫県に住む松田さんは、大阪で暮らしていた時から、仕事帰りにmicia-micioによく立ち寄っていた。松田さんのパートナーが迎えた保護猫ナヴィちゃんによく似た「新生ナヴィちゃんが来たよ」と言われて、その子猫「ミノンちゃん」に初めて会ったのだという。
「ナヴィに似ているとは思わなかったけど、なんて可愛いんだろうと思いました」
ナヴィちゃん以上にマイペースで、物おじしない性格。掃除機の音も平気だという。松田さんはミノンちゃんに会うためにmicia-micioに行くようになった。
しばらくしてミノンちゃんは譲渡された。松田さんは「よかった、幸せになったんや」と思ったという。
ナヴィちゃんの写真を公開するために始めたインスタグラムで、ミノンちゃんの預かりボランティアさんと互いにフォローした。そのインスタで、ミノンちゃんがトライアルから帰ってきたことを知った。
松田さんは、ミノンちゃんがmicia-micioにいた頃、仕事でストレスがたまると、よく話を聞いてもらっていた。トライアルから帰ってきたと知って、お礼を言いたいと思い、2018年8月、預かりさん宅に出かけた。
新しい飼い主には甘えん坊に
micia-micioも預かりさんも、「ミノンちゃんには仲良くしてくれる先住猫のいる家がいいだろう」と思っていたという。
松田さんは内心、ミノンちゃんを迎えたい、幸せにしたいと思っていたが、そう簡単に口にすることは出来ずにいた。少し前にパートナーと暮らし始めたナヴィちゃんが、すっかり甘えん坊になり、一緒に暮らす彼を独り占めしたいのではないかと思ったのだという。
迷っているうちに、松田さんはなりゆきで、ミノンちゃんを1週間預かることになった。だが、先住猫のナヴィちゃんが、意外とすんなりミノンちゃんを受け入れたため、預かり期間が終わった後、そのままトライアルをスタートしたという。結局、2018年8月、ミノンちゃんを正式に迎えた。
ひょうひょうとした性格だと聞いていたが、一緒に生活すると、松田さんには甘えるようになった。
「ごはんをちょうだい!」と言わんばかりに、高い所に登ってじだんだを踏んだり、「なでて」と、机の上の物をわざと落としたりすることもあるという。ナヴィちゃんとの相性も良く、2匹仲良く暮らしている。
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