フランスで撮影 カワイイ猫が撮れるはずが…街に猫がいない!

ようやく出会えたポワチエの猫
ようやく出会えたポワチエの猫

 フランスに行っていた。

 舞踊家である田中泯さんのドキュメンタリー「名付けようのない踊り」の撮影。2年ほど前、ポルトガルでの泯さんが、地元の猫と遊ぶ写真を掲載した。あの時の映画の撮影がまだ続いているのだ。

 今までにポルトガル、中国映画撮影中の上海、時代劇撮影中の京都と、その土地で見つけた猫や犬の姿をお届けしてきた。今回は大都市パリとポワチエという地方都市の2カ所で撮影。おしゃれな街路か自然あふれる風景を背景に、キャワイイ猫ちゃんをいっぱい撮れるぞと夢が膨らんだ。

 まずポワチエに1週間滞在。泯さんの見事な踊り、フランス人たちの驚きと敬意の表情など収録本業はなかなかうまく進んだ。が、夢の猫ショットは全く撮影できない。なぜなら、街に全く猫の姿がないのだ。

 初日、2日目は、たまたまだと思っていた。しかし3日目、4日目も全くその姿が見えない。一緒に行ったスタッフに聞いても、やはり猫は見ていないとのこと。少し焦りだし、地元のプロダクションに勤める、トリスタン青年に尋ねた。なんで猫がいないの? 彼は事も無げに「飼ってる猫を外に出す人なんていないよ。危ないじゃん。それに野良猫がいたらすぐ保護して、もらい手を探すから」。

 素晴らしい! そのいきとどいたシステム! が、困ったなあ。

 ポワチエ最終日、街のはずれ、古代のお墓での撮影。その頃は猫を毎日血眼で探す私のために、全スタッフが猫に敏感になっていた。準備していると、フランス人の女性スタッフが慌てて呼びに来た。猫発見!

 カメラマンの池田直矢さんが準備をストップ。ジリジリと近づき、撮影してくれたのがこの1枚だ。さすがプロ、猫ちゃんと一緒に見事にフランスの秋も捉えてくれた。

 結局、この後向かったパリには3日滞在したが、猫には出会わず。ん~、きっとどこかにはいっぱいいるんだよね?

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犬童一心
1960年東京生まれ。映画監督。主な監督作品に「金魚の一生」「二人が喋ってる。」「金髪の草原」「ジョゼと虎と魚たち」「メゾン・ド・ヒミコ」「のぼうの城」など

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この連載について
遠い目をした猫
「グーグーだって猫である」などを撮った映画監督で、愛猫家の犬童一心さんがつづる猫にまつわるコラムです。
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