思わぬ好評「猫のタマ」 魅力的な場面に一役

主人公の母役として出演した富田靖子さんとタマ
主人公の母役として出演した富田靖子さんとタマ

 私の新作映画「引っ越し大名!」が公開された。幕府から理不尽な「国替え」を言い渡された姫路藩・松平家の若い家臣の奮闘を描いている。

 主人公を演ずるのは星野源。「カタツムリ」とあだ名され、人と付き合うのが苦手な本の虫。書庫番の仕事を天職と、黴(かび)くさい穴蔵でオタク生活を満喫していると、そこに「引っ越し奉行」という大役を無理やり押し付けられてしまう。

 ツイッターなどで観客の反応を見ると、なかなかの好評で、作りたかった娯楽時代劇の面白さがとても伝わっていると嬉(うれ)しかった。

 思わぬ絶賛を得ているのが、松平家の家宝「御手杵(おてぎね)の槍(やり)」。脚本には無かったが、引っ越しの大名行列が移動していく時に、ビジュアル的に魅力的なものとして探し出した。槍だったので主人公の友人役の高橋一生に殺陣で使ってもらったら、その殺陣もうまくいきブラボーの嵐となった。

 そして、もう一つの思わぬ好評が「猫のタマ」。やはり脚本になかったタマちゃんがどうして登場したか? それは、女優の富田靖子が出演してくれると決まったから。星野源扮するカタツムリの母役が脚本の中にあり、富田さんにお願いしたら、快く引き受けてくれた。せっかく名女優を確保したのだから母の役をもっと魅力的にしたい。ファンとしてはもっと富田靖子推しをしたいとなる。そこで、まず台詞(せりふ)を増やし出番も増やした。が、まだまだ自分的には足らない。

 そこでタマの登場だ。引っ越しで移動する際のビジュアル的な小道具「御手杵の槍」に続いて、母が移動する画が魅力的になる「猫のタマ」を思いついたのだ。富田靖子は、移動中ずっと風呂敷で包んだタマを抱えている。母とタマは一体でキャラクターとなった。さらにせっかくだからと、タマは、星野源ともしっかり絡んでいる。このシーンでもタマは、とても魅力的な小道具となった。

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犬童一心
1960年東京生まれ。映画監督。主な監督作品に「金魚の一生」「二人が喋ってる。」「金髪の草原」「ジョゼと虎と魚たち」「メゾン・ド・ヒミコ」「のぼうの城」など

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遠い目をした猫
「グーグーだって猫である」などを撮った映画監督で、愛猫家の犬童一心さんがつづる猫にまつわるコラムです。
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