老猫に赤いちゃんちゃんこ インスタ映えを狙うと、事件が起きた
猫とSNSは相性が良いといわれます。多くの猫は室内飼いのため、「自分の猫を見てほしい」「ほかの人がどう飼っているのか知りたい」などの思いをかなえてくれるからでしょう。インスタグラムで万単位のフォロワーを集める人気猫まで誕生しています。私も遅ればせながら、インスタを始めてみました。2カ月後、「映え」を狙うと、ある事件が起きたのでした。
実はインスタグラムには苦手意識がありました。周囲のライターやカメラマンに聞くと、「自分もしていない」という人が何人も。理由は、「目の前の仕事よりに、そちらに夢中になりそうだから」とか、「プロとして下手なものは出せない」など。私の場合は「SNS音痴」「機械音痴」によるものです。
現在sippoで、犬や猫と飼い主のつながりを描く取材記事『ペットとひとのものがたり』と、2匹の愛猫「はっぴー(愛称ふまたん)」と「イヌオ」の日常を紹介する『ねこ飼い日記』を書いています。前者は客観的に、後者は自分の猫を主観的に。
両方とも楽しい仕事ですが、私の場合は“よその猫ちゃん”のほうがスムーズに書けます。私的なことを書くのが、ちょっと照れくさい面もあります。日頃から“天然”と言われるので、キャラがばれるのも怖かったりして……。
それでも「今の表情可愛いな」「猫なのに指をしゃぶる!」など驚きやときめきを写真で撮りまくっていました。周囲からもおだてられて、インスタ・デビューすることにしました。
自分のことを何と呼ぶ?
最初に気になったのは、自分自身をなんと呼ぶ(名乗る)かということ。たとえばザビエル首輪で有名な「コト」の飼い主さんは「まーま」。三毛猫「いろは」の飼い主さんは「おかあしゃん」。白黒猫「いち」の飼い主さんは「しもべ」です。
私は大昔にブログで使っていた「ママオ」にしました(イヌオのママなわけです)。
そうして、若い会社仲間に操作方法を聞きながら、猫があくびした、一緒に寝た、うんちが緩かった……そんなさりげない出来事をちょこちょこ載せるようになりました。
sippoの取材を通して交流のある方、古い猫友、こちらから「いいね」を押して知り合った方、少~しずつですが、必ず見てくれるフォロワーができました。始めると、やはり面白くて、いい写真が撮れると、「これは映える!」と頭がインスタ仕様になってきました。
愛猫に赤いちゃんちゃんこのはずが…
インスタを始めて2カ月経ったころ、イヌオが誕生日を迎えました。
持病を抱えながらも16歳(人では80歳)を無事に迎えられたことが嬉しくて、とびきり「映える」ように、ネットでペット用の赤いちゃんちゃんこを注文しました。誕生日にイヌオに着せて、「祝!還暦どころか傘寿だ」とインスタのストーリーにも載せようと思っていました。
ところが、届いたちゃんちゃんこは、なぜか人間用。ペット用品のコーナーで注文したはずが、いろいろ見ているうちに間違えてポチっと押してしまったようです。箱を開けるまで気づきませんでした。
「えー、これ人間用だよ、どうしてだよ。わくわくからのどん底だよ。おっちょこちょいにもほどがある。ふまたん(はっぴー)にもぷっと笑われたよ」
と、インスタで泣き言を書き連ねてしまいました。
すると、フォロワーさんからコメントが届きました。
「人間用着てみたいです。似合う自信あります…」
「ちゃんちゃんこはメルカリにだすのはどうかにゃ」
こんなコメントに心がなごみ、ちゃんちゃんこは自分の還暦用にとっておくことにしました。その後、あらためて載せた「16歳になりたて」のイヌオの写真には、たくさんの「いいね」と、「おめでとう」「長生きしてね」の言葉をもらい嬉しく思いました。
インスタでつながる楽しさ
誰かが自分の猫を知って、心配したり応援したりしてくれるのは、嬉しいこと。きっと多くの方がインスタでそんな体験をしていることでしょう。
先日取材をした「まなつ」という猫の飼い主さんは、もともとインスタで見た三毛猫「いろは」に憧れていた女性。真夏に子猫の捕獲を試み、あきらめかけたときに、「もうすこしがんばって」と「いろは」の「おかあしゃん」に励まされ、本当に捕獲できたのです。
インスタでいろいろな人とつながりながら、私も猫への思いを細く長く発信していきたいと思います。
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