猫の抜け毛ごっそり、捨てずに袋へ すると世界が平和になる?
夏だ。収穫の季節だ。野菜だとなんだろう。私の場合は枝豆、トウモロコシ、そして何と言ってもゴーヤだ。妻の作るゴーヤのピクルスが毎日の楽しみとなる。
そして、うちのもう一つの大収穫。それは「抜け毛」。うちの猫たち、ブラッシングをすると抜ける毛の量が尋常でない。まさにごっそりと抜ける。
ここだけの話だが、妻はそれをすぐに捨てず、ポリ袋に入れ、ためていく。最初は「えっ」と思った。妻は言った。「だって、もったいないじゃない」。普段、それほど物を大事にしている気もしないが、その言葉には確信の響きがあって、何も言わずにそれに従った。
そのうち、袋を開け、いそいそとその中に毛を押し込むことが自然となり、たまっていくのが楽しいような気もしてきた。そして、不思議だが、抜け毛のたまった袋を見つめると、ホッとして静かで穏やかな気持ちになる。
キャットシッターさんが来た時のことだ。仕事をしながら妻とのやり取りを聞いていた。妻が「抜けた毛はこの袋に入れておいてください」とまた言っている。さすがシッターさん、様々な家庭を経験しているだけあって、特段気にせず「なんでためてるんですか?」。妻は少し考え、言った。「世界が平和になるような気がして」。「えっ」と思わず立ち上がりそうになった。しかし、シッターさんは「うーんなるほど」と言って、何事もなかったかのように、「入れた袋はここに置いときますね」などと答えている。
「世界が平和になるような気がして」。もう一度その言葉を嚙みしめると、私も自然に「そうだよな」と思えた。あの、袋に毛をしまう時の静かで穏やかな気持ちはどこか「祈り」に似ているのだ。
ここまで原稿を書いて、自分でも変わった夫婦の話だなと思う。思うが、仕方ない。「猫」というものに感じているものが、2人は似ているのだと思う。
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