動物の“キス”をえりすぐり 「かわいい!」がつまった写真集に

僕らは草原のイヌと呼ばれるプレーリードッグ!kissとハグが大好き(「kiss!」より、小学館提供)
僕らは草原のイヌと呼ばれるプレーリードッグ!kissとハグが大好き(「kiss!」より、小学館提供)

 大草原でチュッとキスするように触れ合うプレーリードッグや、流氷の上でくつろぐ真っ白モフモフのアザラシ。動物写真家の小原玲さん(58)の初の自選フォトブック「Kiss!」(小学館)が、7月に発売された。動物たちの「かわいい」がつまった1冊で、ほとんどが未発表の作品だという。

(末尾に写真特集があります)

 小原さんは、写真週刊誌「FRYDAY」の専属カメラマンとして、1985年に日航機墜落事故の現場や、ロス疑惑の故・三浦和義氏が逮捕された瞬間を撮影するなどスクープを飛ばした。その後、国際報道カメラマンに転身。89年に中国の天安門事件を撮影した写真は、アメリカの「ライフ」誌に掲載された。

 90年にアザラシの赤ちゃんを撮影したことをきっかけに、一転して動物写真家の道を歩んでいる。これまに、アザラシ、シロクマ、マナティー、蛍などを撮影してきた。今も1年の3分の1から半分は、撮影のため国内外を訪ねているという。

 身長180センチのごついカメラマンが伝えたかったのは、動物たちが“キス”をする様子を見たときに感じた、うれしくなる、楽しくなるような気持ち。「自分が動物に会って、こんなにうれしかった、癒やされた、そんな自分の感情を伝えたい」と話す。

 表紙を飾るのは、小原さんが「すごく好き」だという、プレーリードッグの赤ちゃんたち。2本脚で立ち、キスするようにそっと顔を寄せ合っている。

「ここまで堂々と“チュー”をする動物はなかなかいない」と小原さん。後ろ脚で立ち上がり、前脚でまるで抱き合うようなしぐさをするところが「また可愛い」と言う。主に2014年にアメリカで撮影したもので、離れた場所に止めた車の中から、窓を開けて撮った。

 次に紹介されているのは、もふもふとしたアザラシの赤ちゃん。過去30年に、カナダで撮影した中から選んだ。アザラシの赤ちゃんは、お母さんと鼻先をくっつけあって“チュー”。こうして母親の匂いをおぼえるのだという。

アザラシの赤ちゃんは、鼻先のkissでお母さんのにおいをおぼえる(「kiss!」より、小学館提供)
アザラシの赤ちゃんは、鼻先のkissでお母さんのにおいをおぼえる(「kiss!」より、小学館提供)

 なかには、小原さんがアザラシの赤ちゃんと並んで写っている写真も。親子をほどよい距離から撮影していると、母親が離れた後に赤ちゃんが寄ってくるという。「あうー、あうー、とうれしそうな顔をして近寄ってきて、 “くんくん、くんくん、あ、お母さんじゃない”と分かると、悲しそうな顔をして帰っていくんですよ」と小原さん。ちなみにアザラシの赤ちゃんは魚の匂いがするのだそう。

 最後に紹介されているのは小さな野鳥シマエナガ。ころりとした白い体につぶらな黒い瞳は、どことなくアザラシに似ている。ここ2年ほどの間に北海道で撮影した作品だ。

小さな野鳥シマエナガ。アザラシの赤ちゃんに似ている?(「kiss!」より、小学館提供)
小さな野鳥シマエナガ。アザラシの赤ちゃんに似ている?(「kiss!」より、小学館提供)

 シマエナガの撮影は、シャッターチャンスを探して12時間待ち続けることも。大変な撮影だが、つらさが消え去る瞬間がある。「シマエナガに望遠レンズのピントが合って、レンズ越しにあの目でニコッてしてくれると、“うわっ”っていう感じで、もうイチコロです」。

 取材にあたり、動物の生態を深く学んできた自負がある。また30年にわたる流氷上での取材で、地球環境の変化を肌で感じてきた。だが、今回のフォトブックでは生態や温暖化には触れていない。

小原玲さん
小原玲さん

「可愛いと思う気持ちは、とても強い」と小原さん。「可愛いなって思ってもらえれば、このしぐさはどんな意味だろうとか、自分から調べていきたくなる。すると温暖化にもたどりつく。そうやって自分から入っていってくれたほうが、よっぽど強い」と言う。それは、小原さん自身もそうだったからだ。

 30年間、動物をとり続けた今でも、「可愛い、面白い、いいなと思う」と小原さん。そう思うかぎり、動物をとり続けたいと話す。
(磯崎こず恵)

「Kiss!」
著者:小原玲
発行:小学館
価格:1200円+税
菊24取、96ページ

sippo
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