お寺に捨てられたガリガリな子猫 見違えるほど、かわいらしく

 お寺なら殺生はしない、なんとかしてくれるだろう、と思うのか、猫を捨てる人がいる。大阪府内にたくさんの野良猫が住みついた寺院があった。そこにある日、1匹の子猫がかごに入れて捨てられていた。さいわい保護団体に見つけられ、京都にもらわれていった。

(末尾に写真特集があります)

 保護団体「ワンハート大阪」(大阪府)のメンバーが2015年夏、大阪府内にあるお寺にお参りに行った。すると、参道にふたをしたかごが置いてあり、「もらってやってください」と貼り紙がしてあった。中には、茶トラの子猫が1匹入っていた。

 そばにいた人に聞くと、「広い境内に猫を捨てに来る人が後を絶たない、たくさんの野良猫がいるが、せめて子猫は誰かにもらってほしい」といわれたという。

 子猫は人を怖がることもなかったが、猫風邪をひいていて、ガリガリにやせていた。そのままワンハート大阪に保護された。

 この件を機に、お寺の住職はTNR(野良猫を捕獲し、不妊手術をして、元に戻す)活動を知り、すぐに実践した。それ以前は野良猫が30匹以上いたが、1年ほどで子猫はいなくなったという。

保護当時、猫風邪で目が閉じてしまっていた
保護当時、猫風邪で目が閉じてしまっていた

臆病だけど甘えん坊な猫

 ワンハート大阪にやって来た子猫は「かかしくん」と仮の名前を付けられた。臆病だけど、人のひざに乗っては甘え、ボランティアらの顔もすぐに覚えた。人のこともよく観察している賢い子猫だったという。

 猫風邪が治って元気になったかかしくんは、11月末、譲渡会に出た。もう1匹、物怖じしない茶トラ猫も出されており、そちらは人気があったが、かかしくんにはなかなか声がかからなかった。

 京都府に住む新谷(しんや)さんは、すでに2匹の保護猫を家に迎えており、3匹目の猫を探しに、譲渡会に来ていた。

「1匹目はハチワレのカリンちゃん、2匹目はキジトラのレオくん。3匹目は茶トラがいいと思っていたんです。譲渡会には2匹の茶トラがいましたが、もう1匹はたぶん誰かにもらわれるだろうと、人見知りが激しかった、かかしくんにしたんです」

レオお兄ちゃん(右)が大好きなきなこくん
レオお兄ちゃん(右)が大好きなきなこくん

先住の猫に迎えられて

 その後、新谷さん宅にトライアルにやって来たかかしくん。案の定、新しい家や先住の大きな猫を怖がって、物影に隠れて縮こまっていたという。

「最初は1階に先住猫、2階にかかしくんを住まわせて、少しずつならしていきました。お兄さん猫のレオくんがかまってあげて、2匹は仲良くなりました。お姉ちゃん猫のカリンちゃんは、猫みしりなので、いまでもあまり絡みません」

 そうして自然に新谷家になじんでいったかかしくんは、名前を「きなこくん」に改められ、すくすくと成長していった。

「きなこくんが食欲旺盛なので、フードはいままでの倍買うようになりました。問題なのは、カリンちゃんのシニア用フードまで、きなこくんが食べてしまうことです。それぞれ年令に合った食事ができないので困っています」

 家ではきなこくんはレオくんに遊んでもらい、1匹でいたいカリンちゃんはマイペース。遊び盛りのきなこくんと、カリンちゃんがケンカになりかけると、レオくんが仲裁に入る。3匹でバランスをとりながら、幸せに暮らしている。

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ワンハート大阪
家族の一員として大切にされる存在な一方、営利目的で産み落とされ、身勝手な飼主の都合で捨てられる犬や猫。行政の処分所へ持ち込まれ、死を待つことしか与えられず、虐待されても物言えぬ彼ら。 この悪循環を作り出しているのも人間ですが、その悪循環にストップをかけられるのも人間です。ワンハート大阪は、一匹でも多くの命を守り、その命が尽きる最期に「ありがとう」を伝え、あの子達に「ありがとう」と言ってもらえる活動を目指しています。
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渡辺陽
大阪芸術大学文芸学科卒業。「難しいことを分かりやすく」伝える医療ライター。医学ジャーナリスト協会会員。朝日新聞社sippo、telling、文春オンライン、サライ.jp、神戸新聞デイリースポーツなどで執筆。FB:https://www.facebook.com/writer.youwatanabe

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