検疫探知犬33→53匹に 荷物に潜む禁止品かぎわけ「お座り」

手荷物の中に肉製品や果物などがあるかをかぎ分ける検疫探知犬のバッキー
手荷物の中に肉製品や果物などがあるかをかぎ分ける検疫探知犬のバッキー

 国内の空港などで働く検疫探知犬が今年度、33頭から53頭に増やされる。与えられたミッションは、入国する人たちの荷物に潜む肉製品や果物を嗅ぎわけること。「不治の病」とされる家畜伝染病・アフリカ豚(とん)コレラ(ASF)が海外で広がっており、動植物の病気の感染源が侵入するのを防ぐ重要な役割を期待されている。

 夏休みに入り、旅行客らで混雑する羽田空港の手荷物受取場。トランクの間を嗅ぎ回っていたビーグル犬のバッキー(オス、11歳)が、ある男性の背後で「お座り」をした。肉製品などを見つけたサインだ。係員に促され、男性がリュックを開けると、手作りのハムサンドが出てきた。

 海外の肉製品は、米国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドで日本向けの検査証明書を添付して売られているもの以外、真空パックのジャーキーや機内食の残りであっても、国内に持ち込めない。違反して持ち込めば、家畜伝染病予防法に基づき、3年以下の懲役または100万円以下の罰金が科される可能性がある。

 農林水産省動物検疫所の速報値によると、今年1~5月に手荷物から見つかった畜産物の禁止品は3万9835件。うち1万4459件(36%)は、探知犬の「お座り」がきっかけだった。

 探知犬の配置を増やす背景に、ASFの蔓延(まんえん)がある。国内の中部地方などで確認された豚コレラとは別で、ワクチンも治療法もなく、発症すると致死率は100%近いという。昨夏、アジアで初の発生が中国で確認され、ベトナム、香港、北朝鮮などに広まっている。

 ASFに感染した豚の肉は、人が食べても健康に影響はないが、豚やイノシシが口にすると感染する恐れがある。調理された肉でも感染源になり得るため、旅行客によって持ち込まれるのを防がなくてはならない。

 動物検疫所羽田空港支所の渕上(ふちのうえ)佐知子次長(54)は「家畜の病気を侵入させるリスクを知ってもらい、持ち込みを少しでも減らしたい」。探知犬のハンドラーの国分英行さん(47)は「探知犬活動を通じて、多くの方に動植物検疫の重要性を知ってもらいたい」とも話す。
(荻原千明)

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