危険な大通りに隠れていたハチワレ子猫 先住猫4匹が暮らす家に

 保護した猫4匹と暮らしていた愛猫家の夫婦。さすがにこれ以上は飼えないと思っていたが、オフィス街を自転車で走っていて、また子猫と出会ってしまった。しかも、大通り沿い、子猫にはとても危険な場所だった。

(末尾に写真特集があります)

幹線道路で見かけた子猫

 2016年7月の夕刻、大阪市で古書店を営む綿瀬さんは、家路につく前に所用があり、普段は通らない幹線道路を自転車で走っていた。道路は片側4車線あり、無数の車が行き交っている。

 自転車の綿瀬さんは、子猫がその通りの脇から歩道を横切って、ビルの壁の下にもぐりこむ姿を見た。子猫が道路を横切れば、あっという間にひかれてしまうような所だ。

「生きていることが奇跡的なような場所でした。明らかに迷い猫か、親のいない子猫だと思いました」

保護される前、ビルの下の隙間に隠れていた
保護される前、ビルの下の隙間に隠れていた

譲渡するつもりだったが

 なんとか生き延びてきたハチワレの子猫。ビルの壁の下にいるとはいうものの、慌てて捕まえようとしてパッと走り出せば、たちまち車にひかれてしまう。驚かさないように慎重に子猫を保護した。

「鼻がズルズルしていて、目やにが少し出ていましたが、元気そうでした」

 ただ保護したものの、家にはすでに4匹の猫がいる。さすがに5匹目を飼うのは難しい。

「子猫がとても元気だったので、きっと誰かにもらってもらえると思いました。実際、友人が飼いたいと言ったので、譲渡しようと思ったのですが、仕事が忙しかったのか、なかなか引き取りに来ない。そうこうしているうちに2、3週間が過ぎて、そのうちに子猫は先住猫と仲良くなったのです。それで結局、うちで飼うことにしました」

 ハチワレ子猫は「マルコ」と名付けられた。

「ここは天国だわ」
「ここは天国だわ」

病気乗り越え、社交的な猫に

 マルコは家に迎えて1~2カ月経った頃、体調を崩した。「なんだかボーッとしていて、風邪かと思ったのですが、ケッケッという咳が止まらなくなりました。動物病院に行っても原因が分からず、そのまま家で様子をみることになりました」

 綿瀬さんはずっと寄り添っていたが、少し居眠りでもしたら、その間にマルコの息が止まってしまうのではないかと心配だったという。だが、幸い2、3日で峠を越えて快復した。

 その後、マルコはさらにパワーアップした。目を離すとゴミ箱を漁る癖は抜けないが、どの猫に対しても“遊んでくれ、遊んでくれ”と社交的で、先住猫たちと仲良く暮らしている。

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渡辺陽
大阪芸術大学文芸学科卒業。「難しいことを分かりやすく」伝える医療ライター。医学ジャーナリスト協会会員。朝日新聞社sippo、telling、文春オンライン、サライ.jp、神戸新聞デイリースポーツなどで執筆。FB:https://www.facebook.com/writer.youwatanabe

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この連載について
幸せになった保護犬、保護猫
愛護団体などに保護された飼い主のいない犬や猫たち。出会いに恵まれ、今では幸せに暮らす元保護犬や元保護猫を取材しました。
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