行き場のない猫が暮らすゲストハウス 保護猫3匹、宿泊客癒やす
行き場をなくした猫が暮らすゲストハウスが高知県越知町にある。運営する女性は「きっと誰かの役に立てるはず」。保護猫は優しく見守られ、宿泊客を癒やす。
(末尾に写真特集があります)
越知町越知甲の住宅街にある「猫の思(おもい) guest house OCHI」は、民家を改装したゲストハウスだ。現在、3匹の猫が気ままに暮らす。
「ここに居るのは、みんな保護猫。来るもの拒まずです」。猫をなでながらオーナーの西森澄江さん(63)は話す。地元で保護した猫とふれあえる部屋を設けたゲストハウスは、開業から2年目に入った。
2016年7月、近所の高齢男性が亡くなった。孤独死だった。その後、西森さん宅の庭に若い猫2匹が現れるようになった。男性は猫を十数匹飼っており、行き場のない猫が周辺をさまよっていた。
「一度エサをあげれば、一生責任を持たなければいけない」。西森さんは家族で話し合い、エサを与えないと決めた。だが、食べ物がなく、セミを食べるほどやせ細った姿を見てやりきれなくなった。約1カ月後、2匹を飼うことに決めた。
管理栄養士として病院や老人ホームで働き、60歳で退職した。昔から猫が好きで、16年前に家族が高知市内で拾った猫を飼っている。「捨てられた猫は人間に対する不信感や恐怖を持っている。猫と人間の関係を取り戻せる場所をつくりたい」。母(95)が老人ホームに入り、実家が空き家になっていた。これを機に、実家を活用してゲストハウスにしようと決めた。
17年9月、猫雑貨があるゲストハウスとして開業した。施設内で猫を飼育する場合は、保健所で第一種動物取扱業の登録が必要。登録に向けて公益社団法人「日本愛玩動物協会」の愛玩動物飼養管理士資格(2級)を取得した。18年5月から宿泊客が保護猫とふれあえる「猫の部屋」を設けた。隣接する自宅にも4匹の保護猫を飼っている。
口コミで少しずつ利用客が増え、最近は収入で猫のエサを買えるようになった。猫の治療や避妊、去勢費用は、猫グッズの販売や寄付でまかなっている。
ゲストハウスの利用をきっかけに、殺処分される捨て猫たちの現状を知ってもらいたい。西森さんはそんな思いで活動を続けている。「猫が人を好きになれて、地域にも応援される場所にしたい。年齢があるから大きなことはできないけど、気長にできたらね」
ゲストハウスは2部屋。1泊1人3千円(税別)。予約はホームページ。
(湯川うらら)
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