“中に入れて” と網戸をガリガリ 家に現れた野良猫を迎えた

家猫になった「こゆめ」
家猫になった「こゆめ」

 猫愛にあふれる人は猫を引き寄せるのか、猫のTNRや保護をしている家に、飼い主のいない猫が現れるようになった。ある猫は“中に入れて”と訴えるように、網戸をガリガリとひっかいた。

(末尾に写真特集があります)

 大阪府に住む井田さんは、仕事や子育ての傍ら、猫の保護団体「瓜破(うりわり)猫の会」を運営し、猫の保護やTNR(捕獲し、不妊手術を施し、元に戻す活動)をしている。まだ初めて1年余り。保護猫やTNRのボランティアや団体に聞いて勉強しているそうだ。それを猫が知っているはずもないが、「ここに来たら助けてもらえる」と分かるのだろうか、2018年1月、家に2匹の猫がどこからか訪ねてくるようになった。

 1匹は黒い野良猫。もう1匹は白と黒のハチワレ猫。ピンクの鼻の横に黒いぶちがあるのが特徴だった。

中に入れて、と訴える
中に入れて、と訴える

人なれしたハチワレ猫

 ハチワレ猫は、網戸をひっかいて、“家に入れてくれ”というように鳴いていた。飼い猫だったようで、爪も切ってあり、抱っこも簡単にさせた。迷い猫の可能性もあるため、警察に届け出たが、飼い主は現れなかった。

 この地域に限らず、近隣の住民が必ずしも猫好きとは限らない。野良猫がいつくのは困るという人たちもいる。井田さんは説明する。

「失明しているわけではないんですが、片目が見えにくそうで、最初は飼う気がなかったのでエサをあげていたのです。そうしたら、近所の方に注意されてしまい、ペットとして飼うことにしたんです。1月12日にうちの子にしました。黒猫は生粋の野良猫なので、ペットにはしませんでした」

捨てられた家猫?

 その猫には「こゆめ」という名前を付けた。推定1歳くらいのメスで大人しい猫だった。片目はかすかに見える程度だと思うが、生活するのに不自由はない。飼いにくいこともなく、捨てられた理由が分からないという。通常、迷い猫を探している人は、近隣の警察に届け出るが、届けがないことを見ると、捨てられたのは間違いないという。

「とにかく人懐っこくて、膝の上に座ったり、寝る時に頭の上にいたりするんです」

 ただ、井田家にいる他の猫との関係はまだいまひとつ。「時間がかかっても、仲良くなってくれたらいいなと思っています」

渡辺陽
大阪芸術大学文芸学科卒業。「難しいことを分かりやすく」伝える医療ライター。医学ジャーナリスト協会会員。朝日新聞社sippo、telling、文春オンライン、サライ.jp、神戸新聞デイリースポーツなどで執筆。FB:https://www.facebook.com/writer.youwatanabe

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この連載について
幸せになった保護犬、保護猫
愛護団体などに保護された飼い主のいない犬や猫たち。出会いに恵まれ、今では幸せに暮らす元保護犬や元保護猫を取材しました。
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