炎天下に捨てられていた子猫 必死の鳴き声で保護される

 炎天下の住宅街、段ボール箱に入れられ子猫が捨てられていた。幸い鳴き声に気付いた近所の人に保護された。気付かれなければ死んでいたかもしれない子猫は、猫好きな家に引き取られ、お姉さん猫たちに迎えられた。

(末尾に写真特集があります)

 大阪府内の住宅地。朝8時ごろ、ニャアニャアと子猫の鳴き声がしていた。近所の人が外を見に行くと、ダンボール箱の中に小さな子猫が1匹入れられていたという。7月のうだるような暑さの中。そのまま置いてはおけず、家に持ち帰り、涼しい所で休ませた。

 しかし、家では猫を飼うことはできない。引き取ってくれる所を探し、保護団体「ワンハート大阪」にたどりついた。ワンハート大阪のスタッフは、ひとまず動物病院に連れて行って診てもらうように依頼した。病院でもらったミルクを子猫は元気よく飲んだという。

 その後、子猫はワンハート大阪に引き取られた。

まだあどけない佐助
まだあどけない佐助

「3人兄弟のように」

 京都府に住む芝さん一家は、ワンハート大阪から白キジと茶トラの子猫を相次いで引き取り、2匹と暮らしていた。ある時、よく見ているワンハート大阪のインスタグラムで、その子猫を見つけた。

 「可愛い! すぐに迎え入れたくなって、主人に『どう思う?』とメールをしたら、『どうって、その子がいいんやろ』と。早く連絡しないと、他の誰かにもらわれてしまうと思い、すぐに連絡を取りました」

 芝さん夫妻は3人の子どもを育て上げた。3人兄弟を見ていると、2人がけんかしても、残りの1人が仲裁して、丸く収まる。「3人兄弟っていいなと思ったんです。猫も同じではないかと、3匹目を迎えることにしました」

 子猫は2018年8月、芝さん宅にやって来て、「佐助」という名前をもらった。先住の2匹はメスで、初めてのオス猫だった。

子猫時代の佐助
子猫時代の佐助

下痢が止まらず

 ところが、佐助はトライアルに来る途中の車の中で下痢をした。家に着いても下痢が止まらず、動物病院に連れて行くと、お腹に虫がいたという。他の猫と隔離しなければならず、佐助が寂しくないように、網戸で間仕切りを作って隔離した。先住の2匹は、網戸ごしに佐助をシャーシャーと威嚇した。

 「ワンハート大阪は『トライアルを一時中断して、いったん返してもらってもいい』と言ってくれたのですが、わが子として迎え入れると決めていました」

 やがて病気は治ったが、まだまだ小さな子猫。夫婦が仕事で留守の時は、子どもや母らみんな交替で面倒をみたという。

 遊び盛りの佐助は、先住のお姉さん猫たちを噛んでしまうことがあった。年長の猫は小さな新入りをなめてあげるが、甘え方の度が過ぎると、怒ることもあるという。3匹は付かず離れず適度な距離を保ちながら暮らしている。

ワンハート大阪
家族の一員として大切にされる存在な一方、営利目的で産み落とされ、身勝手な飼主の都合で捨てられる犬や猫。行政の処分所へ持ち込まれ、死を待つことしか与えられず、虐待されても物言えぬ彼ら。
この悪循環を作り出しているのも人間ですが、その悪循環にストップをかけられるのも人間です。ワンハート大阪は、一匹でも多くの命を守り、その命が尽きる最期に「ありがとう」を伝え、あの子達に「ありがとう」と言ってもらえる活動を目指しています。
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渡辺陽
大阪芸術大学文芸学科卒業。「難しいことを分かりやすく」伝える医療ライター。医学ジャーナリスト協会会員。朝日新聞社sippo、telling、文春オンライン、サライ.jp、神戸新聞デイリースポーツなどで執筆。FB:https://www.facebook.com/writer.youwatanabe

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この連載について
幸せになった保護犬、保護猫
愛護団体などに保護された飼い主のいない犬や猫たち。出会いに恵まれ、今では幸せに暮らす元保護犬や元保護猫を取材しました。
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