フェリシモ「猫部」が生んだ猫グッズ400品、自由な発想
猫の肉球の香りがするハンドクリーム、猫の手キークリップ、かつおだしがきいた猫好き用にゃーん麺……。神戸市の通販大手フェリシモの「猫部」が販売してきた猫グッズは、生活雑貨やファッション、食品まで400品を超える。「生活全般を扱う会社のノウハウを生かした物作りをしています」と“部長”の松本竜平さん(36)。
きっかけは2010年にできた「部活動」制度。興味があるテーマで部を作り、水曜日の午前中は業務を離れて部活動できる。ただし事業化を念頭におくこと。「事業性」「独創性」「社会性」が企業理念。具現化の一手段として、業務と別に好きなことで自由な発想を引き出し、社も長い目で応援する試みだ。
サイト制作の部署にいた松本さんが「猫部」を発案。ブーム前夜だったが、猫好きには大きな需要があると考えた。当初の部員は6人。殺処分を問題視する人もいて、保護団体を応援する基金付きの猫雑貨を作って販売することにした。「猫好きさんに喜んでもらい、猫も救えるといいね」が部の目標だ。
ポーチとストラップから始めた活動の転機は13年。アイデアが煮詰まり、創部から発信していたツイッターに「猫と一緒に暮らしていて欲しい物は?」と投げかけた。「マーケティングの教科書では、効果がないとされる手法だったんですが」と松本部長。
すると漫画家の山野りんりんさんから、猫のひっかき傷専用ばんそうこうのアイデアが、デザイン画付きで送られてきた。そのまま商品化した「にゃんそうこう」は、発売日からメディアで話題に。爆発的にヒットした。
肉球状のプニプニ肌を目指すハンドクリームの開発は、「どうせなら香りも」と、飼い猫のにおい調査をSNSで実施。最多だった「ポップコーンの香り」を香料会社の社長が猫カフェでかぎまくって再現。その様子も配信した。
小池弘之広報部長は「チャレンジは山ほどあります」。現在はお寺や女子DIYなど26部ある。猫部は16年に生活雑貨事業部のグループに昇格した。価格の約3%を保護団体支援の基金にあて、寄付金と合わせた基金収入は年4千万円。寄付額は累計3億円を超えた。実店舗の展開や提携カードの発行など、事業は広がっている。
(帯金真弓)
■つぶやき
小木のり子さん 生活雑貨事業部猫部グループ
入社早々、配属先の家事雑貨の企画チームの先輩から誘われ猫部に。他部署の人とワイワイ物作りができるのが新鮮でした。部長に「自由に好きな物を作ってみて」と言われ、猫型に丸まるタオルを商品化。猫ブーム前夜の時は何でも目新しく、部活動の気軽さも自由な発想につながりました。(2012年入社、29歳)
<カンパニーメモ>
1965年創業。77年に通販カタログ誌を創刊。生活雑貨やファッション、食品など年間数万種類の商品を扱う。従業員800人。グループ売上高は292億8500万円(2018年2月期)。
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